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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば幸いです。 *本作は2002年本放送版の再編リマスター仕様です。放送倫理抵触を含めた問題描写が改善されていない上、悪質な改竄描写も存在する事を留意下さい。 全くと言って良い程話は進みませんが、まだこの頃は尺稼ぎを仕出かしている傾向より、地固めを試みている風にも見れない事も無いですが・・・まぁ、いずれにしてもテンポが悪いのは否めないものです。 リマスターの機会を得てコレなのですから救い難いです。 一応、今後の布石は幾つか散見されるものですが・・・プラント評議会は戦争遂行能力に著しく欠けているもので、やがて国家存続を不可能とする悪手を次々下しています。 ザフトの判断・能力不足云々以前に、長期戦が出来る国力は最初から存在していなかった事を思い知るまでに、流した出血はとてつもないものとなっていきます。 ・・・兵士は畑から採れる、等と嘯く蛮族も居るものですが、最新ハイテク兵器は物量だけで圧倒等出来る訳が無く、侵略者の分際で学徒動員等と狂った事すら言い出す程に、損害を重ねている模様です。 夕餉の片手間に、国家予算規模の支援を決めて見せる様な、真の超大国を相手取る事は、とても不可能な体たらくと言えますが・・・逆に早期決戦を図る意気地も筋合いも見せていない以上は、長く苦しい騒乱が予感されてしまうものです・・・。 『追悼式典には戻れず、申し訳ありませんでした・・・』 『いいえ、お母様の分、私が代わりに祈らせて頂きましたわ』 『ありがとうございます』 少しばかりご無沙汰だったズラ野郎の再登場は、いきなり回想シーンからスタートと言う締まらないものとなりましたし、休暇中にラクスの元へと来訪した際にも、何とも男を下げる振る舞いが目立つ事・・・。 『お戻りだと聞いて、今度はお逢いできるのかしらと楽しみにしておりましたのよ。今回は少し、ゆっくり御出来になれますの?』 『さぁ、それは休暇の日程はあくまで予定ですので・・・』 幾ら現国家指導者の娘とは言え、婚約者がアポイントを取らないといけない程度には疎遠でご無沙汰だった挙句、自らが送り付けたハロ軍団が、“平時”では相当に邪魔である事に今更ながら反省している始末。 ・・・唯、ある程度の自立判断力のある偵察システムとも言えますので、この後の隠遁時には役立ったと思いたい所。 『この頃はまた、軍に入る方が増えて来てる様ですわね。私のお友達も何人も志願して行かれて・・・戦争が、どんどん大きくなっていく様な気がします』 『そうなのかもしれません、実際・・・』 国防委員長以下、議会の中核要員の子息である有害共については、もう周囲への示しを付ける意味でも致し方が無い所はあれども。 令嬢たるラクスと親交を持てる程度に、しっかりした社会的地位ある家庭であろうが、戦禍と無縁で居られない程度に、プラントは追い込まれていました。 戦争勃発から1年余り・・・華々しく成果を喧伝する割には、プラントを富ませる様な好材料は余りに乏し過ぎた。 『そう言えば、キラ様は今頃どうされてますのでしょうね・・・あの後、お会いになりました?』 『あいつは地球でしょう。無事だと思いますが・・・』 イザーク及びディアッカと遣り合っているのを見たのが現状最後の足取りの為、ラクスの問いに応える事は叶いませんでしたが・・・彼女、この蝙蝠野郎にとってのキラ・ヤマトと言う存在を、改めて問いかけている様にも。 ・・・戦場と言う狂気にかまけて、忘れ去る様な薄情者ではあるまいかと、疑ってもいたのかもしれません。 『小さい頃からのお友達でいらしたのですか?』 『えぇ、そうです。4、5歳の頃から・・・ずっと月に居たのですが、開戦の兆しが濃くなった頃、私は父に言われて先にプラントに上がって・・・アイツも後から来ると、聞いていたのに』 余りしっかりしていない、目を離せない奴と言うのが、当時のキラに対する印象だった様です。 割と傲慢な姿勢も垣間見れたものの、良き兄貴分めいた振る舞いをしていた様で、また同居していたレノアが余りに多忙だったせいで、かなり長い間寝食を共にする間柄だったのだとか。 『ハロの事をお話したら、貴方の事、相変わらずなんだなって・・・』 『え?』 『嬉しそうに笑っておられましたわ。自分のトリィも貴方に作ってもらったものだと。キラ様も大事にしてらっしゃる様でしたわ』 『あいつ!まだ持って?』 『・・・ええ!何度か肩に居るのを見ましたわ』 その大事な昔馴染みへの最期の餞別が未だ健在な事に、驚きと微かな喜びを浮かべていたのを・・・ラクスは気付いたのでしょう。 だから・・・今のうちはまだ、アスラン・ザラと言う輩はマトモなのだと、信じる事が出来た。 『そう、ですか・・・』 『私、あの方好きですわ』 『えっ』 しかしそれも、果てなく拡大していく憎悪の渦の前にはどれ程のものか。 自分もまた、色々な意味で“無関心では居られない”事を示唆した所で。 どれ程意味があるものかと、ラクスも遠い目をする他無かった様です。 『ザラの言っている事は正しいさ。反対するクラインの方が分からん・・・』 イザークとディアッカは蛮行と無謀の果てに地球にダイブしたものですが、ズラ野郎同様ニコルも帰省を果たしており・・・実質最期の家族団欒を過ごしています。 『お前の乗ってる、ブリッツだったか・・・構造データを見たが、見れば嫌でも危機感を覚えるよ』 評議会議員の一人でもあったニコルの父、ユーリは工学エンジニアでもあり、ジンの模倣どころかそれらを軽く凌駕するXナンバーの存在には、専門家として肌身にプレッシャーを覚えた形でした。 それに対抗し得る兵器も鋭意企画中だったものの・・・それを加速させる悲劇に見舞われるのは、もう間もなくの事だったのです 『オペレーション・スピットブレイク、何としても早急に可決させねば・・・ザラの言う通り、我々にはいつまでもダラダラと戦争等をしている暇はないのだ』 『クルーゼ隊長も、そうおっしゃってましたよ』 『可決されれば、お前もまた行くのだな・・・すまんと思う』 『い、いえ』 ニコルを含め、初期のザフト構成員は純粋な志願者で固められており、ユニウス・セブンでの所業を目の当たりにし、愛国心から銃を取った勇敢な若者ではあったのですが・・・幾ら肉体スペックが軍務遂行を可能にしていようが、本人の気質性質は別問題。 ユーリも本来、息子はそんな荒事に向く様な少年では無いのだと、憂慮していました。 ・・・ちなみにディアッカの父たるタッドの方は、“そもそも向いて無い”と、ディアッカの志願には反対していたそうですが(汗 『お前を誇りに思うよ・・・家に居る間は、ゆっくりと好きな事をしなさい』 『はい』 『下まで、お送りして来るわね』 尚、玄関先まで見送る事は無く、母ロミナ共々出立を見送っていますが・・・どうもこれ二人の時間を与えたいと言う気遣いからだった模様。 そこまで気を配れる良識がありながら・・・蝙蝠野郎の場当たり的な考えに振り回されたか、戦地で正気が失せたのか、ニコルの末路と言うのは本当に・・・。 『そんなものを見せて、まだ駄目押しをしようと言うのかね』 『正確な情報を提示したいだけですよ』 『正確に君の選んだ情報をか?君の提出案件、オペレーション・スピットブレイクは、本日可決されるだろう・・・世論も傾いている、最早止める術は無い』 この当時のプラントでは、更なる侵攻作戦遂行の為に根回しが続いていた形ですが・・・はっきり言って現状でも各戦線の維持が不可能になりつつある中では、無謀極まり無かった。 それは次回、バルトフェルドがちょっとの攻勢を試みても、ロクな支援が為されぬままであった事からも立証されるものでした。 『我々は総意で動いているのです、シーゲル。それを忘れないで頂きたい』 『戦火が広がればその分憎しみは増すぞ? 何処まで行こうと言うのかね、“君達”は』 パトリックが扇動した事で、ザフトやプラント国民の一部が戦争に酔いしれている事に、シーゲルも辟易していました。 そうしなければ、とても正気では居られない。 さもなくば、煮え滾る憎悪が臓物を焼き尽くしていくものと、理解はしていたのでしょうがとても恭順は出来ない。 『そうさせない為にも早期終結を目指せねばならんのです。戦争は、勝って終わらねば意味が無い・・・我等コーディネイターは最早別の、新しい種です。ナチュラルと共にある必要は無い』 『早くも道に行き詰まった我等の、どこが新しい種かね?!』 コーディネイターとして与えられた明晰な頭脳を、シーゲルは理性をもって行使出来ていたのは・・・ある意味惨たらしい事だったのかもしれません。 どう足掻こうが、己らに待っているのは滅亡しか無いのだと、知る羽目になったのですから。 『婚姻統制を敷いてみても、第三世代の出生率は下がる一方なのだぞ?』 『これまでとて、決して平坦な道のりでは無かったのだ!今度もまた、必ず乗り越えられる!我等が叡知を結集すれば・・・』 『パトリック!命は生まれ出るものだ!造り出すモノでは無い!』 次作ラスボスにして、数代後のプラント評議会議長も、この絶望に膝を折ったものです。 命を冒涜した報いが天から下されたか、あるいは人類種の遺伝子そのものが、道を違えた怪物共を除去せんとしたか。 『そんな概念、価値観こそがもはや時代遅れと知られよ!人は進む、常により良き明日を求めてな!』 『そればかりが幸福か!?』 プラントの出生率は著しく低下していたのです。 それも凄まじい速度にて、カズイが老齢となる頃には、国家維持など夢のまた夢、ブルーコスモス“が”保護しないといけない程に落ちぶれる事となります。 常人同士の受精卵を遺伝子操作して生まれたコーディネイターが第一世代であり、彼ら同士で子を為した上で更なる操作を実施したのが第二世代。 ・・・此処までなら一応、“生まれて来る”事までは問題無かった様ですが、この二世代同士ではそもそも受精する事すら困難となってしまったのです。 『・・・これは総意なのです、クライン議長閣下。我等はもう、今持つ力を捨て、進化の道をナチュラルへ逆戻りする事等、出来んのですよ!』 そう言い捨てシーゲルとの議論を打ち切ったものの、実質的にコーディネイターの未来を、パトリックは見切っていたのやもしれません。 ・・・だとしても。 今己らが為すべき事は、徹底的かつ容赦の無い、報復以外にありえないと。 もうとっくに理性は燃え尽きた有様で、理屈を振りかざすだけの復讐者が、権力を握ってしまっていた。 『我等は進化したのでは無いぞ・・・パトリック!』 さりとて、シーゲルが試みた施策も現実的なものでも無かったと言います。 南米奥地にて、元第一世代及び彼らを建造したナチュラル親族(当然かなりの高齢ばかり)が中心になって、一切の処置をせず唯ナチュラルと世代を重ねて回帰を試みる隠れ集落を“護衛戦力込み”で設けたりしたようですが、それは実質的な遅滞滅亡に等しい。 もう一つは・・・エヴィデンス01の存在を担保に、更なる外宇宙探査を実施して“地球外生命体の遺伝子情報”を己らに組み込む事で、状況打破を目指すと言う夢物語・・・。 まあコッチの方は色々“関連設備”は悪用されてしまいましたし、やれた所でデザルグだのヒディアーズみたいな末路を辿るだけかと思いますが・・・。 『う・・・っっ・・・うぁぁぁぁ・・・くっそぉぉぉ・・・』 ともあれ、パトリックがプラント共々破滅目掛けて邁進していく中。 それら共々、あるいはハナからそうあるべしと“定められた”輩は、のたうち回って苦悶の声を上げています。 ・・・恐らくは友人謹製であったであろう“老化抑制剤”で、無理矢理に肉体を現世に繋ぎ止めていたこの男・・・クルーゼの意地は途轍も無いものでした。 『・・・クルーゼです』 〈私だ〉 『これはザラ委員長閣下。このお時間ではまだ評議会の最中では?』 〈こちらの案件は通った。まだ2、3あるが・・・終わったら、夜にでも君と“細かい話”がしたい・・・どうかね?〉 パトリックの腹心として、表沙汰にはされない様な動きをクルーゼもして来たものですが、その目的は野心等では決して無く。 パトリック以上に純粋で救い難い、憎悪。 『うっ、うぅ・・・ふふ、せいぜい思い上がれよっ・・・パトリック・ザラ・・・』 冗談抜きで、人類滅亡手前まで持ち込んで見せたこの男の狂気を前にするには。 キラ達の心構え等余りに頼りないものでしか無かったものです。 『議会が終われば父も戻ります・・・貴方にもお会いしたいと申しておりましたのよ?』 『やる事も色々ありまして・・・その、余り戻れないものですから』 正直、今この瞬間すら、言う程大事に出来ず終いなズラ野郎が相方ではなぁ・・・一体、何なら勝てたと言うのだろうか。 (糞っ!無理なのか、キラ!) まあ蝙蝠野郎の主体性が余りに無さ過ぎたと言うか、本当に勝てる陣営相手にフラフラ立ち位置を変える人間のクズであるが故。 都合の悪い世界を自ら変えていくと言う気概に欠けているからには、何も為せなくて当然。 ある意味人類種のリセットボタンと化した、クルーゼの害意に抗う術も無いし、戦禍を断ち切る女帝として起ったラクスに、不釣り合いな輩になってしまいましたし・・・一番当人がそれを痛感して、更に立ち回りが鈍くなる悪循環っつーか、嫌な意味でリアルな奴なんです、アスランって(汗 『キラは顔出さない方が良いよ。鍵開けたらドアの影に居て』 『え?』 『また切れちゃったら嫌だろう?あのサイがさぁ』 ではキラの方はと言うとコッチもコッチで針の筵っつーか、自業自得で増々孤立を深めています。 周りが全く悪く無い、とまでは言わないものの・・・根本からして甘ったれな所が更に状況を悪化させる傾向が強い。 『サイ!大丈夫?』 『ああ・・・』 『一週間キツイだろうけどさ、規則じゃしょうがないもんな? 我慢して?』 『分かってる、大丈夫だから』 己も一回死罪喰らっている身でしたが、ストライクの土下座案件もまた懲罰モノであり、サイは謹慎処分中。 カズイが差し入れを行うものの、もうその段階でキラの同伴を拒否する程度に、互いの関係が拗れている事まで周知されている始末。 ・・・幸いにして、一回仕出かした事でサイの方も頭が冷えた様で、気遣うカズイにもかなり落ち着いた応対が出来ているものの・・・。 『あっ・・・』 サイをこんな目に遭わせた首謀者共は気が気でないもので、直接見舞う事すらキラは出来ませんし、そうまで追い込んだ事をフレイすら気負う有様。 ・・・二人して、詫び倒す事も開き直る事も出来なかった事で。 袋小路に追い詰められていく様を、嗤って見れる様な高尚な趣味は、当時も今も持ち合わせておりませんで・・・ひたすらに胃が痛いですな。 『虎に従い、奴の下で、奴等の為に働けば、確かに俺達にも平穏な暮らしは約束されるんだろうよ。バナディーヤの様にな・・・』 キラが身勝手にダメージを蓄積していく中でも、情勢は進みます。 補給も実施出来た事で、明けの砂漠は実質的な最終作戦として、アークエンジェルの突破支援を敢行するつもりでした。 目標はバルトフェルド率いる、レセップス他の陸上艦隊。 『女達からはそうしよう、って声も聞こえる・・・だが、支配者の手は気紛れだ。何百年、俺達の一族がそれに泣いて来たと思う?』 『・・・』 『支配はされない、そしてしない。俺達が望むのはそれだけだ。虎に押さえられた東の鉱区を取り戻せば、それも叶うだろう・・・へっ、こっちはアンタらの力を借りようってんだ。それで良いだろう?変な気遣いは無用だ!』 更なる犠牲は避けられないとしても、尚抗う事をサイーブは諦めず・・・次の戦いでそれは報われました。 運が良かった事もありますがそれ以上に、我武者羅に戦い、血を流し命を取合う事に酔う事無く、これまでの日常を取り戻さんと尽力したが故の、正当な報酬が齎されたと言えるでしょう。 勿論、その対価としてバルトフェルド以下、もとい“彼以外”の大多数のコーディネイター共が、砂塵で果てる末路を迎えるのです。 『何やってんの?』 『あぁ、トール見て! この子凄いの!』 ・・・そして余裕無き戦地で犠牲になるのは。 弱く共意気を失わない、勇敢な若人ばっかりです。 どんな陣営もそこは変わらない。 『確かにやるねぇ、えっと・・・カガリちゃんだっけ。実戦経験あるの?空中戦?』 『えへへー、おっ!』 調子に乗っているカガリは得意げにしているものの、実際に軍用シミュレーターで好成績を叩き出す等、変な才気を発揮しています。 『はぁ、でも凄いじゃん、俺なんか戦場に入った途端落とされたもん』 『あたしもー』 通りすがりのノイマンも褒めていましたが、れっきとした軍の備品で成果を出せているのは本当に凄い事で、カズイやミリアリアの様な素人では、瞬殺間違い無しな難易度でした。 『何々?もうみんなやったの?』 『お前ら、軍人のくせに情けなさ過ぎるよ! 銃も撃った事無いんだって?んなこっちゃ死ぬよ、戦争してんだろ?戦争?』 『確かに・・・』 ・・・はっきり言って、彼女は強い戦士にはなれなかった。 戦場向きの性質では無かった等と、ゲリラ戦で実際に死地に立っていた彼女に言えた義理は無いですが。 もっとも重要であろう“敵に対する殺意”って奴が後になる度に薄れて行ってしまったせいで、その才気は生残にだけ活かされる事となります・・・勿体無いと言うべきなのか、それで幸いだったと考えるべきか。 『ふん!何よ、威張れる様な事じゃないわよ、銃撃ったことあるなんて』 『軍人なのに撃った事無いってのも、威張れる事じゃ無いぞ』 そもそもこれまでの旅路の行程にて、何人ものコーディネイターを宇宙の藻屑にして来たものです。 立派に人殺しに加担して来ていると言う実感が余りに薄く、それがキラとの認識に乖離を生み出したばかりか。 『俺やっても良い?ねぇ、やらせて!』 『ゲーム機じゃ無いんだぞ!』 『は!分かっております!訓練と思い、真剣にやらせていただきます!』 『そんならよぉし!撃墜されたら飯抜き!』 『えぇぇぇ?!』 少しばかり軽い動機にて、戦地に飛び込んだばかりに死に急ぐ少年を、一人出してしまったものでした・・・。 『駄目ですよ!?本物は!?』 『分かってるよぉ!』 ・・・まあ、カガリ共々。 頑張ってくれないとアークエンジェルは持たなかったやもしれない程度には奮戦してくれたので。 無駄死にでは無かったのでしょうが、トール・・・。 『さっきは、どうしたの?』 『え?』 『サイの所、来てたでしょ?』 カガリやトール等、自ら好き好んで戦いに赴いて来る向こう見ずも居るには居ますが。 それでキラの圧力が弱まる所か増々重荷が増えて行くと言うものであり、そもそもの心の芯って奴が、今この瞬間にもスカスカになっていくのが、キラの酷い所でして。 『・・・サイ、馬鹿よね・・・』 『え』 『貴方に、敵う筈なんか無いのに。馬鹿なんだから』 今のキラには逃げ場が無い。 折角フレイがその身を賭して身体を許してくれたと言うのに、その心が未だサイにも名残がある事に、気後れする始末。 ・・・幾ら文通止まりだったとは言え。 他人の色恋沙汰に干渉した挙句暴力を持ってケリをつけておきながら、今更良心を発揮した所で概ね手遅れってもんです。 『大丈夫よキラ。貴方には私が・・・』 と言うか理由はどうあれ。 己に尽してくれる存在相手にキラの姿勢は余りに薄情です。 その辺ズラ野郎とは逆と言うか、アレは間違った尽くし方を他者にしてしまい、勝手にそれで負い目を感じると言うか・・・。 『止めろよ!』 『ああっ、キラ・・・!』 『・・・ごめん』 慰撫しようとするフレイを、身体毎押し退ける様な無様な有様は本当に情けないものですし。 『キラ・・・はあ・・・』 そんな情の無い拒絶の仕方をすれば、フレイすら尚傷付く事に。 キラは余りに無頓着が過ぎたのです。 その報いを、一生賭けても償えなくなるとも知らず・・・。 〈避けては通れない。敵という名である以上、倒さなければならない。そんな、単純な構図・・・定めたのは誰か。思う間もなく、灼熱の大地は戦場へと変わる〉 次回はやっとバルトフェルドとのケリをつける事となるものの、しゃしゃり出て来たイザークとディアッカは賑やかしにもならず・・・。 〈互いに向けた銃口。その先の存在とは・・・次回、機動戦士ガンダムSEED、「砂塵の果て」。そのトリガーを引け!ガンダム!〉 と言うか地上に降りて以降、激戦で相打ち果てて見せるイージスと鹵獲(奪還か)後が本番のバスター以外、連中の活躍ぶりは目を覆わんばかりっつーか・・・。
by zendam
| 2022-05-22 02:30
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