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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 本話よりやっと後半OP「RHYTHM EMOTION」に差し変わったものの、それすら未完成状態であるのが製作状況の逼迫を伺わせるものです。 何度も言いますが、仕事を放りだすプロ失格な輩を抱えてマトモなものを作れる筈が無いのです。 それをどうにかした辺り、残されたスタッフの苦心の賜物と賞する他無いですが、顧みる事をしなかった故に後世に幾つもの愚作が発生する温床となってしまった事は否定の余地が無いでしょう。 現在においては組織としてのサンライズは滅んだにせよ、悪しき伝統の継承だけは回避出来た事を願うばかりです。 『トーラスは全て投入しろ!このバルジに敵を近づけるな!!』 戦争の効率化が突き詰められてしまえば、戦略等数学どころか唯の算数にまで成り下がる事となります。 但しその道筋は多岐に渡るものであり、より多くの数を支度出来た者か、あるいはより早く数を減らせる者か・・・と言った具合にです。 『此処が宇宙の最期の砦なんだ、負ける訳にはいかんのだ!!』 デルマイユ共は前者に傾向し過ぎたものであり、無いなら奪うと虎視眈々と支度を進めていたカーンズらに、ものの見事に全てを掻っ攫われた。 その上で一騎当千のエースパイロットまで馳せ参じられたとあっては、何をどう足掻こうが挽回等普通は無理だった事でしょう。 『ビームはビルゴには有効では無い、あるだけの“レーザー砲”を持たせて出せ!』 『出力調整していません!直ぐにオーバーヒートを起こします!』 『構わん!少しでも敵を減らせればそれで良い!!』 しかしガンダム世界では・・・いや他創作リアル問わないお話ではありましょうが、負けが込むと軽率に決戦兵器めいたモノに手を出しがちなもの。 蛮族共が核兵器を盾に喚いて居る昨今では、まるで哂えん話ですが・・・それでも死なば諸共と発狂して今は持ち出して来ないだけ・・・。 〈ホワイトファングによる、宇宙要塞バルジ攻略戦が始まった〉 ともあれ、デルマイユが野垂れ死にした後でもバルジは機能したままであり、此処で王手と行きたいホワイトファング共との決戦に縺れ込んで居ました。 〈この戦いに勝利した者こそ、宇宙の覇権を握る事は、誰の目にも明らかである。その為に、OZ宇宙軍・ホワイトファング共に、持てる兵力の全てを此処に注ぎ込み、攻防は激戦を極めた〉 月基地を含め、コロニーの工業力も抑えられた今となっては、バルジ単体での巻き返しは不可能ではあるものの、放置して良い筈も無かったもの。 旧来より、バルジビーム砲を含めた砲門外交の立役者としてのさばった圧政の象徴を、この場で粉砕する事で一層大義とやらを補強したかった様ですけど。 その代償は割と高くついた事でしょう。 『エピオン?!ミリアルド司令か?!お待ちくださいミリアルド司令、何故モビルスーツ等に・・・貴方はホワイトファングの司令官なのです!戦闘はモビルドールに任せて後方で指揮を・・・!』 また主力はMDトーラスではあったものの、対プラネイトディフェンサー兵装としてレーザーガン(何故かデザインは「ジムコマンド」用マシンガンですけどねー)を携帯させており、地上でスーパーソニックトランスポーターが用いていたレーザーキャノンのダウンサイズ版をもって、少なからずビルゴを潰して見せています。 〈それはお前に任せる〉 『な・・・はぁ、まだライトニング・カウントで居る御積りなのか、あの御方は・・・』 また無人機故射撃戦が不能となった段階で、躊躇わずに体当たり特攻させている杜撰な運用も見受けられます。 唯根本的にモビルドールの数と性能に差があり過ぎるものであり、ビルゴに混じって出陣して来たビルゴIIも、ここぞとばかりに高性能を発揮して戦線を押すもの。 『待って下さいノインさん!』 『勝手なのは解って居る、しかし私はどうしてもゼクスに会わなくてはならないのだ!ゼクスには何か考えがあるのだ、リリーナ様とサンクキングダムの事を想っての行動の筈っ!!』 『だからって独りでバルジに行くのは危険過ぎます・・・サンドロックの修理も終わりました、僕もご一緒します』 『カトル・・・っ!』 こんな鉄火場に殴り込む事は如何にノインとガンダムパイロットとて至難の業ではあったものの、それでもと馳せ参じるのが彼等と言うもの。 『バルジの周辺には民間コロニーも多い、奴等に見つからずに忍び寄るのは簡単だぜぇ』 『デュオ?!』 今回はノインの私情も多分に入った所はあろうものでも、好きにやってるのは御互い様とばかり、カトルもデュオも、ついでのトロワすら付き合うものでした。 『・・・サリィ・ポォ??』 『どうやら間に合ったみたいね・・・待って頂戴?この中には大事な荷物が積んであるのよ・・・折角探したのに、壊したら勿体無いでしょう?』 尚、ヒイロも敵は宇宙に在りと適当な宇宙港を襲撃して身支度していたのですが、何とここにサリィが乱入。 『ヒイロ、貴方宇宙に帰るつもりだったんでしょう?だったらコレも持って行ってくれない?』 『トロワの居場所が解ったのか?!』 『私は、ガンダムはこの時代に必要だと考えているわ・・・そして、そのパイロット達が信じられる子達だって知っている。だから私も出来るだけの事をしてあげたいのよ』 サンドロックをマグアナック隊へ、ウイングをノインに譲った後も性懲りも無く活動を継続しており、今回はトロワが残置していたヘビーアームズを持ち出した上で、ヒイロに託して来たのです。 『ヒイロ、貴方達の戦いは孤独過ぎる。同情されるのは嫌いでしょうけど、少しは手伝わせて頂戴』 ロームフェラ共は当然として、ホワイトファング共すら見切りをつけつつあったガンダムとその担い手の事を。 『・・・っ?!敵だ!』 『え?』 『シャトルの発進準備をしろ!此処は俺が片付けるっ!!』 彼女達の様に貴び信ずる者達もまだ居るもの・・・その情けを無下にする程ヒイロも愚鈍ではもう無く、ゼロシステムが予測した増援部隊目掛け、サリィらの安全を図る意味でも吶喊するものでした。 『あの子、少し変わったみたいね・・・前は研ぎ澄まされたナイフみたいに、近寄りがたかったけど・・・っ!ガンダムの積み込み作業急いでっ!!』 こうなって来るともうトレーズも我慢が利かないものであり。 『今は亡きピースクラフト王よ、申し訳ありません・・・我々は理想の為に、貴方の子供達を過酷な運命に導いてしまった・・・』 『本当にそう御思いなら、私の意志に従って頂きましょう』 温存していた手勢と共にロームフェラ幹部会に殴り込みを仕掛け、無血クーデターをもって返り咲きを果たしてしまったのです。 (今、ようやく地球が平和へと動こうとしているのに、お兄様は一体何を考えていらっしゃるの・・・いいえ、お兄様が“何を考えて居ても”戦う事は間違って居るわ、戦闘を止めさせる事が、私の役目・・・) ・・・咲き誇る花々は、死地への花道を飾るものでしか無いと解った上で。 『御久しぶりだ、リリーナ嬢』 『トレーズ・クシュリナーダ・・・』 そしてそんな行く末にリリーナを巻き添えにする訳には行かないと言う点に関しては、奇しくもウェリッジ侯爵らとも合致するものでした。 『本日をもって、リリーナ・ピースクラフトをロームフェラ財団の代表から解任します。女王の地位より退いて頂きましょう』 『・・・解りました、ロームフェラの権限をお返ししましょう。でもその前に私にはやるべき仕事があります・・・兄ミリアルドを説得して、地球に敵対する事を止めさせたいのです』 徹底的に人払いをした上で、リリーナとの直接対話をもって追放の沙汰を下すトレーズでしたが。 『貴女には、其れは出来ない』 『どう言う事ですか?』 『貴女をロームフェラと言う、古びた鳥籠に閉じ込めて置く事は罪悪だ・・・ならば私がロームフェラの代表になる。“決着”は私の手で付けよう』 最早この段階では、養父ドーリアンの仇とか考える余地がリリーナにも無かった事でしょう。 『御行きなさい、貴女の行きたい所へ・・・貴女は自由だ』 その身一つででもゼクスの蛮行を止めぬ事には。 どっちかあるいはどちらも死ぬ運命しか無い・・・数多の道連れを生じながら。 『リリーナ様は宇宙へ行くわね・・・それでは、私もシャトルの用意をしなくてはね』 とは言っても、今後の修羅場においてリリーナの政治的発言力が生かされる場面は少ない。 彼女の出番は戦後にこそ訪れるものだと、ゼクスもトレーズも理解した上で・・・邪魔者を己ら共々薙ぎ倒す事に執心する事となります。 『所詮命の無い人形、私の敵では無い!』 その意味でバルジは真っ先に潰しておきたい支配の象徴と言えるものであり、ゼクスも周りの肝が冷えるのも御構い無しにエピオンで斬り込んでいますが・・・不作法な戦地では行儀の悪い戦士しか、生き残れない時もままある。 『おのれガンダムめ!これ以上防衛ラインを突破されてなるものか!“バルジ砲”の発射準備をしろ!!』 此処でホワイトファングの弛緩と言うか諜報戦の限界が露呈するもので、大改装が施されたバルジの必殺兵装の察知に失敗していたのです。 『そうだ、ガンダムは“我々”の象徴だ・・・そしてその戦闘能力はモビルドール以上なのだ』 ・・・尚ゼクス当人は知ってて黙って居たと言うか、寧ろノイン達を気遣って態々彼女らの前まで出張っていたきらいがあります。 『ああ?!』 『な、何だありゃ?!』 『・・・ふ!』 システムエピオンの権能を使えば、バルジの改装内容はおろか、物資搬入履歴を遡れば何を仕出かされたかを察知出来るのですから。 『な、何て事を?!』 『あいつ等正気か?!あんなもんが当たったらコロニーが沈むぜ!』 果たして、宇宙ポートを潰してまで増設された超大型ビーム砲、新装バルジ砲は一切の妨害も無く撃たれてしまい、リーブラ制圧等で働いて居たセディッチなる幹部も此処で蒸発してしまいます。 『な、何だ?!コイツ敵なのか?!』 『パイロットはヒイロじゃ無い!!』 『・・・ようやく来たな?』 『その声はゼクス?!』 ゼクスが態々ノイン達を挑発してくれなくば、諸共に危機的な状況になっていた事でしょうに・・・お優しい事で。 『どういう事だ?ガンダム同士が戦うとは・・・何にしてもコレはチャンスだな!再度バルジ砲発射準備!次の一撃で奴等を殲滅してやる!』 問題はこの新バルジ砲は、セディッチ共の管制艦を潰したいが故に、コロニーを平然と掠める大惨事を招いて居た事です。 『デュオ!バルジが!』 『またアレを撃つ気か?!く、こんな所で遊んでる暇は無ぇんだよ!!』 即座に崩壊する様なダメージは無かった事だけは不幸中の幸いでしたが、最早こんなものをのさばらせる事はホワイトファング云々の話で済まない。 『ノインさん危ない!離れて!』 『此処は私が抑える!バルジ砲の発射を止めてくれ!』 『でも!』 『早くっ!!』 ノインに促され急ぎバルジの阻止に動くデュオとカトルではあったものの、何分前線に展開されているのはMDトーラスばかりであり、何処も動揺等起こす筈も無い。 『ゼクス、ゼクス!私が解らないのですか?!』 『聞こえている』 『ゼクス・・・ゼクス、貴方の考えを御聞きしたいのです、今地球はリリーナ様の指導の元、平和への道を歩み始めて居ます・・・なのに何故!リリーナ様に敵対する様な事をっ?!』 ・・・そうした心意気を持つ様な奴は、さっさと脱出を支度していた事が次話で発覚しますがそれは置いといて。 『私の考えは宣言した通りだ。宇宙にとって地球こそは、争いの原因に他ならない・・・』 『しかし・・・っ?!』 『ならば私が正して見せる!』 『そ、そんな・・・ああ、ゼクス?!』 ゼクスも何も考えて無かった訳では無く、ノインへ訣別を告げながら、良い感じにデュオとカトルがMDトーラスの注意を引いて居る隙にバルジまで肉薄。 『必要無いのだ!宇宙にとって、貴様達は!!』 そのまま最大出力のビームソードで、バルジを一刀両断してしまったのです。 この一閃をもって管制室を焼き払った他、新バルジ砲用のエネルギーをも利用して美味い具合に誘爆を招き、そのまま跡形も無く消し飛ぶ形で自壊するのでした。 〈孤独な戦いを続ける五飛に、ウイングゼロは取るべき未来を見せる。その頃地上では、トレーズの元へバルジから脱出した部下達が帰還、その中に意識不明のレディ・アンの姿があった〉 尚、そうこうしている間に、密かに脱出を果たした将兵らはトレーズの元へと帰還し、その中には未だ意識不明のレディ・アンも・・・以前の総集編のは矢張り生霊であったか(マテ 〈一方ゼクスは、完成した巨大戦艦リーブラを地球へ向けて発進させるのだった〉 ゼクスも意気揚々と凱旋を果たし、バルジ撃沈と言う紛れも無き実績を盾に、いよいよホワイトファング首領として決戦に挑まんとするのです。 ・・・両者揃って業を背負い、多くの犠牲をもって“全てを終わらせる”腹積りで居たのですが、其れを由とする様な奴は、ハナからガンダムなんぞに乗りはしない。 〈新機動戦記ガンダムW第42話「リーブラ発進」〉 特に五飛は、打倒トレーズの為とは言えやっと腰を落ち着かせてくれる程でしたから・・・。 #
by zendam
| 2025-10-05 16:45
| レビュー
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 カーンズに諭されたゼクスが全てを台無しにしたかと言えばそうでも無く、燃え盛る反抗の意志は、今更マトモな手段で鎮火出来るものでは無いのだと、他でも無いゼクス自身が見切るものでした。 それこそコロニー建立から積み重なって来た因果は、一気呵成の清算を図らない事には寧ろ後世まで禍根を残すのだと。 ゼクスはその業火に諸共に焼かれる事も辞さない所であり、それでこそだとトレーズまでもが便乗して来る所ですが、それを黙って見過ごす程ヒイロ達も御人好しでは無い。 その過程で生じる数多の犠牲を、嫌ったが故の戦いの日々だったのです。 最終ラウンド開幕に伴い、いよいよガンダムのパイロット達も纏まりを要する頃合いとなった訳ですが・・・。 『現状を整理してみよう、地球ではロームフェラが、リリーナ・ピースクラフトを利用してその勢力を一つに纏め上げようとしている・・・さてリリーナの方がロームフェラを利用しているのかは解らんが、地球は“一応”平和への道を歩み出している』 御誂え向きに、ヒイロ達を一時だけでも集結させ得るに相応しい拠点として、ピースミリオンは健在のままでした。 『問題は混沌を始めたこの宇宙だ、まあ5勢力と言う所だなぁ』 『そんなに勢力があったかなぁ??』 『あぁまずはホワイトファングだ、コレが最大の問題だなぁ・・・』 ハワードを中心として維持されているこの独立勢力は、従うスタッフ達も中々の気合いと聡明さを備えたものであり。 『アイツ等がOZから奪取した、あの巨大戦艦をどうするかだ』 『建造は続行中だ、OZ宇宙軍との戦いに使用するんじゃないかな?』 『まぁOZ宇宙軍がもう、1つの勢力だからな』 武器を手に完全にのぼせ上がったホワイトファング共とは毛色が違いました。 『ホワイトファングに押されているとは言え、宇宙要塞バルジも健在だ・・・この両者の戦いが、目下最大のものだよなぁ』 『そしてその両者にゲリラ戦を仕掛けているガンダム達が居る』 ・・・真のオペレーション・メテオ実施を躊躇った各コロニーの人員をそのまま匿って居た、何て話も聞きましたけどそれは良いとして。 『残る二つの勢力が解らないんだけど・・・』 『二つとも勢力と呼ぶにはちと“無力”だからなぁ・・・一つはホワイトファングに属さぬコロニー市民達だ、数としては最も多いだろうが、その意志を表明するだけの組織も力も無い』 ハワードと分析していた通り、地球上の反抗勢力に関してはほぼ掃討が終わり、現在では宇宙に点在する各勢力の動静が重要視されていました。 『もう一つは?』 『我々に決まっておるだろうが?』 決起以降勢力を伸ばし続けるホワイトファング。 バルジの失陥だけは阻止し続けるOZ宇宙軍。 両者の間で態度を決めかねる所も多数なコロニー。 『ゼクスの計画通り、我々はガンダム達と手を組もう』 そして孤独に戦い続けるカトルや五飛達に加えてついでの己らと、最も無力な有様を鑑みてカトル達への接触を試みんとしたのです。 『それにしてもゼクスの奴、地球に行ったまま何故戻って来んのだ・・・』 こちらに関してはカトルらにしても渡りに船も良い所でしたが、皮肉にもゼクスが出奔したっ切りだったが故に上手く行った側面も(汗 『ガンダムだ!ガンダムは矢張りOZと戦ってくれるんだ!!』 『ガンダムが何故ゲリラの味方をする?!うわー?!』 尚、ロームフェラ財団内部における政争に関してもほぼほぼケリが付く寸前でした。 『リリーナ・・・ロームフェラの中に在るお前は、矢張り偽りの平和しか生み出して居ない』 確かにこの連中は上流階級の支配者気取りな御貴族様でしたが、完全に根元まで腐り切る寸前で理性が働く程度にはロイヤルだったのでした。 (ロームフェラは私の自由を奪い去るかもしれない、いえそれ所か抹殺されるかも・・・だけど、このままではロームフェラは私を利用して戦争を続けていく) 故に、リリーナの訴えに加えて去ってしまったトレーズの忠言に関しても、今ようやく理解が及びつつあったのです。 『クイーン・リリーナ、世界国家確率に向けて、貴女なりの方針があるそうですが?』 『現状では、矢張りロームフェラは力で人々を支配していると思われても仕方ない存在です。まずロームフェラが、人々に正しき平和の在り方を示す必要があります』 『具体案を御提示下さい、クイーン・リリーナ』 唯力に任せての支配体制確立は、後に消えない遺恨を遺すだけで在り、結局永久に火種を後世まで残すのみの愚行でしか無いのだと。 『世界各地に治安維持と称して派遣しているOZの兵力を、全て撤収するのです』 そんな戦いそのものを飯の種にする程落ちぶれたくは無いし、そんなものは早計に破綻する他無いと気付けたのです。 『伝統ある我々が変わる必要等無い!』 『それは、貴方個人の御考えなのでしょうか、デルマイユ候?それともそれがロームフェラ全体の考えでしょうか?』 『ロームフェラ全体の考えを私は代弁している“つもり”だがね?』 『そうなのですか?皆さん?』 戦争における破壊と再生のペースが噛み合う事等決して無い事は、世界大戦の折には察するべきだった所でしょうけど。 『・・・いや、見解の統一にはまだ至って居ない』 『?!』 『クイーン・リリーナの意見も、頷けるものがある』 それでも彼等は自らの過ちを認め、恥じ、正す機会は今しか無いのだと動いたのです。 『どう言うつもりだ?!財団の主だった幹部ですら儂の意見を聞こうとしない・・・皆あのリリーナに従おうとでも言うのか?!』 『だってぇ、それがリリーナ様の御力ですもの』 『OZの結束を固める為に取り込んだリリーナだが、これでは邪魔者だ・・・こうなれば・・・』 『駄目ですわよ御爺様、今リリーナ様の身に何かが起これば、まず御爺様が疑われます・・・そして今の御爺様には皆を説得するだけの力はありません』 最早デルマイユの政治的生命は断たれる寸前で在り、それを取り繕う手段も最早奪われた様に思われた所に、ドロシーが悪魔の様に囁くもの。 『はっきり言うなドロシー・・・だがその通りだ、財団は今揺れ動いている、強力な指導者が皆を束ねねばならぬのだ、それはリリーナでは無い!アイツはOZや民衆を束ねる象徴で良かったのだ!』 『リリーナ様の平和路線が、このまますんなりと進むとは私にも思えません。きっと武力が必要になりますわ、ロームフェラの兵力を維持して来た者が、強力な指導者として皆に承認されるでしょう』 自らが仕立て上げた兵隊達であれば、邪険に扱われる事は直ぐには無いのだと。 『ロームフェラの兵力はリリーナが解体しようとしている』 『御爺様にはOZの宇宙軍があるではありませんか』 『儂に宇宙に行けと言うのか・・・?』 実質戦地に追い遣る形にてデルマイユを叩き出してしまったのです。 『明日の財団総会で御爺様の意見は通りませんわ。皆リリーナ様の意見に耳を傾けるでしょう・・・そんな負ける戦いを挑むよりかは、次の戦いの為に兵力を整えておくべきです』 『お前はどうするのだドロシー』 『私はリリーナ様の傍に残りますわ、あの人の周囲には、きっと戦いの嵐が吹き荒れるでしょうから・・・ふふ♪』 『・・・はぁ・・・この歳で前線指揮官になろうとは・・・』 矢張りそうなるか、と言う予想が半分。 〈デルマイユ候爵は宇宙へと向かった。台頭するホワイトファングを牽制する為、OZ宇宙軍を自ら率いると言うのがその名目である〉 此処で諦めてくれれば、と言う願いと失望が半分・・・くらいはあったと思いたい所。 『朗報ですわリリーナ様ぁ!御爺様が宇宙に行ってしまわれましたぁ!』 『何ですって?!』 ともあれドロシー、リリーナの覇道を阻む輩が消えてくれた事を我が事の様にはしゃぎ、リリーナに報告しに行く有様は中々の悪女ぶりですけど。 『一番の反対者が総会には出席しなくなったの・・・後は、リリーナ様次第だわ』 それも彼女なりの強がりであろう事は後半で察せられる所です。 『時間か・・・』 ・・・そんな静かな政変が上手く進んでいる事も知らずに、ヒイロはまんまと現地まで潜り込んだ上で、リリーナの命を今度こそ奪わんとするものですが。 彼とてリリーナ最大の理解者、彼女が操り人形に堕した訳では無く、寧ろ糸を手繰り寄せて操者を引き倒すくらいやってのけた事を、直ぐ解ってくれたのでした。 『ガンダムはコロニーの為に戦って来たのでは無いのか?!何故宇宙の独立を目指す我々に戦いを挑むのだ・・・?!』 『あんな力は、宇宙に必要無い!!』 唯生命を賭して互いを知り合う等凡俗に出来る訳が無い。 ホワイトファング共もロームフェラ側との決戦に備えて戦力増強に余念はありませんでしたが・・・ここでいよいよピースミリオン級「リーブラ」の実戦参加が為されてしまいます。 『あるだけの部隊を出せ!』 『“バルジ攻略部隊派遣中の為”、現在リーブラ周辺の護衛部隊は殆どありません!』 『リーブラを起動させろ』 天秤の名を冠した通り、地球と宇宙のパワーバランスを一気に傾けるレベルの超巨大戦艦であり、その全体像は四つの菱形を広げた花弁の様にも見えるものです。 『しかしリーブラはまだ!』 『主砲と推進システム以外は動く筈だ、リーブラのビーム砲を使え!!』 尚未だ未完成の為身動きは取れないし「主砲」運用は不可能と言う有様でしたが、大量のモビルドールによる防備に加えて、船体方面に配置された無数の砲台による怒涛の艦砲射撃は、五飛とアルトロンの強襲すら退けかねない程。 尚友軍モビルドールも諸共と言う酷く行儀の悪い(リーブラにはMD専用管制“システム”もあるのです)所業は、増々五飛の気分を損ね、完全に悪認定される事となります。 『皆さんは世界の指導者です。ですが、これからも指導者で在り続けるには、ロームフェラ財団は変わらなければなりません、今この時代が変革していくようにです』 その最中でも、リリーナによるロームフェラ財団幹部に対する訴えは続いて居るものであり。 『何故対立が無くならないのか?自分では無い他者の存在は、常に対立の対象としての存在となるからです、対立を無くすには全てが一つにならねばなりません』 (リリーナ、それは理想だ) ヒイロは壇上に銃口を向けながら、黙してそれを拝聴しているもの。 『私は“再び”宣言します。対立の図式を無くし、平和な統一国家を創る為に・・・最大の力を保有するOZこそが、まず武器を手放すのです!』 そう上手くは行く訳が無いと言う諦観も混じりながら。 『ホワイトファングは、まだコロニー全ての意志とは言い難い・・・これは良い機会なのだ、コロニーの意志を一つに纏める為のな』 『人形とは言え味方の損害も構わず敵を討つか・・・同じだよ貴様ら、それではOZと変わらない、宇宙に必要無き存在だ・・・』 実際問題現実は更に救い難い段階まで進行しつつありましたがそれは後に回すとして。 『・・・世界が一つなると言う事は、地球に限るものではありません。二つの存在が対立を生むのです、私達は宇宙と共に一つになるのです。地球は宇宙と、宇宙は地球と共存を始めるのです!』 (地球と宇宙の共存??) 『OZの武装を解除し、宇宙に共存を呼びかけるのです・・・皆さんにはこれまでの指導者として、この変革を受け入れる事を望みます・・・っ?!』 それはリリーナ当人も覚えが無い訳でも無く、ヒイロの姿を認めながらも。 (ヒイロ?!) (リリーナ・・・) (・・・良いわ、ヒイロ・・・私を、殺して) これが己の精一杯なのだと逃げも隠れもせず、唯彼からの“慈悲”を静かに乞うものでした。 『ん・・・?』 が、両者の想いは万雷の拍手をもって断たれる事となります。 『おめでとうございます、クイーン・リリーナ!ロームフェラ財団は貴女に従い、生まれ変わります』 『はい・・・!』 幼き女王が、先頭に立って世を正さんとする高潔さを示した姿に、後追いせずに何とするのだと、財団幹部達は全会一致をもってその決断を称えたのです。 (ヒイロ?) この末路を見届け、静かに去って行ったヒイロを追う事はリリーナには叶いませんでしたが。 (いいだろう!リリーナ、やって見せてくれ・・・俺は、俺の“敵”を倒す!) それはヒイロが、直ちに“敵”を倒すべく踵を返したからに他ならなかったのです。 ゼロシステムが、そしてシステムエピオンすら提示して来た平和への“敵”は、直ぐにでも動いて来ると確信していたが故に。 『なーハワード・・・えーい解らないのはアンタだよぉ、どうして俺達に援助するんだ?それにこの艦で一体どーしよって言うんだ?!』 『どーするかは、実は儂も困って居る』 『何だよそりゃあ?!』 丁度この辺りで、カトル達もハワードとの合流に成功。 『だが何故援助するかと言えば、“責任”を果たす為だよ。ガンダムの製造に関わった者として、な』 『貴方が、ガンダムに?!』 『実を言えばトールギスに、だ』 サンドロックの宙間戦闘最終調整も進行させつつ、今後の方針を議論していた頃。 『あの、ゼクスの所在は本当に解らないのですか?』 『奴の事だ、生きては居ると思うのだが・・・』 『ハワード!ホワイトファングが、地球に向けて声明を出したぞ?!どうやら宣戦布告らしい!』 『矢張り、か』 『儂が・・・この儂がこんな所で・・・あぁ?!』 『?!で、デルマイユ候・・・?!』 『御爺様?!』 尚その過程でデルマイユは呆気無く道すがらに戦死しとりますが、最早ドロシーは泣いてもくれない。 『立派ですわ御爺様・・・ドロシーは泣きません・・・御爺様“も”最期は戦場で勇敢な兵士として、散ってしまわれたのだから・・・!』 ・・・そんな事出来る御身分では無いと必死に耐えて、両親の元へ逝ったかの者を悼む事を選んだのでしょう。 〈宇宙が一つになった時、我々の残る敵は地球である!我々には大義がある、そして我々はその大義を貫く新たな指導者を迎えている〉 『新たな指導者?!』 唯余り揶揄する事も憚れる所です。 『地球と宇宙、この二つの存在が対立の図式を生むのだ・・・』 こうでもしないと“収まりがつかない”所まで、地球と宇宙の関係は悪化の一途を辿ってしまった事は、もう取り繕う事が出来ない確固とした現実として在る。 『私の名はミリアルド・ピースクラフト。宇宙に対立する存在・・・地球の排除を此処に宣言する!!』 それを正す為の荒療治を為すべくゼクスは。 ミリアルド・ピースクラフトとして起つ道を選んだのです。 『馬鹿な?!』 『そんな、ゼクス?!』 『お兄様?!』 『何故だ?!ロームフェラまでもが、変わろうとしているこの時代に?!』 ゼクスのやらかしに関しては、ヒイロとウイングゼロはとっくに察知するものであり。 『ゼクス、エピオンが見せた未来からお前は“ソレを選んだ”か・・・ウイングゼロが見せた未来から、俺が選んだのは・・・』 モニターへの手鉄砲と言う仕草をもって、逆宣戦布告をかますエレガントな事をしております。 〈トレーズによってクイーン・リリーナは、財団代表の座から追われてしまった・・・その頃宇宙では、覇権をめぐる戦いの火蓋が遂に切って落とされる、宇宙要塞バルジの攻防戦である〉 が、それにも増して嬉しそうに支度を整えたトレーズの手によって・・・次回で即時リリーナは追い落とされる羽目になります。 〈数において勝るホワイトファング軍は、確実にOZのモビルドール部隊を圧倒して行くのであった〉 とは言っても、この時勢で起つ事自体が貧乏籤所では無い果断であるものであり。 〈新機動戦記ガンダムW第41話「バルジ攻防戦」〉 いよいよゼクス共々、トレーズも全てにケリをつけるべく悪逆を為す道を選んだのです。 #
by zendam
| 2025-09-28 16:07
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 いよいよリリーナの働きが花開きつつある頃合いに、悪い流れが加速しような予感もする所ですが。 話してどうにかなる段階は、指導者ヒイロ・ユイを亡くした頃、とっくに過ぎているのです。 さりとて戦い勝ってどうこう出来る余地もこの世界には無いものであり、こうなれば残された道は“勝ちも負けも無い”有様を全世界に示す以外に残って居なかったのです。 その最大最悪の汚れ役をゼクスが引き受けんとした頃、悩めるヒイロも軽挙に及ばんとしていましたが・・・此方は幸いにしてリリーナの奇縁の結果を前にして、思い留まる事が出来たものでした。 〈ロームフェラ財団は、平和の象徴的存在であったリリーナ・ピースクラフトを、財団の代表として迎える事で、人々の支持を得、世界国家実現を正当化させていた〉 AC世界の人類は、愚かな所はあっても知性が無い訳では無い。 〈一方宇宙では、植民地的支配を強いるOZに反抗し、ホワイトファングと呼ばれる武装市民が、各コロニーで蜂起し、独立運動を始めた〉 女王リリーナ出現の報を聞いても、地球だろうが宇宙だろうが浮足し立つ様な真似は伺えず、唯その存在に関しては軽視もせず細心の注意を払う方でした。 〈A.C195年。戦乱の時代は更に加速を続け、大きな変動の瞬間を、駆け抜けようとしている〉 ・・・その上で何一つ変わる事無く戦禍は広がって行く。 デルマイユの急かしは何も稚拙な脅し等では無く、強硬策を続けないのであれば、強烈な象徴(イコン)でも立ててどうにかしないと、終わりが見えないものだったのです。 『失礼、ゼクス特佐ですね?』 『人違いだ』 『ではミリアルド大使ですかな?』 ・・・逆に此処で終わって貰っても困ると、早急に立ち回って見せたカーンズの見識はある意味恐ろしいものでした。 『申し遅れました。私はコロニー市民の自由意志の為に立ち上がった、革命闘士ホワイトファングのカーンズと言います』 五飛とのドサクサの果てとは言え、ツバロフを討って見せたホワイトファングは紛れも無く地球側の大敵であり、そんな御身分ながらも自ら地球に降りゼクスに接触したのです。 『それで?今度はコロニーだけでは飽き足らず、地球に革命を起こすと言うのか?』 『ふふ、面白い冗談ですな・・・流石はライトニング・カウントだ』 こんな所まで赤いアイツにソックリですけど、キシリアと違ってカーンズは我が身顧みず説得を試みて来た辺り、その真剣さには明白に差があると言えましょう。 『残念だが、君達と話す事は何も無い、帰ってくれ給え』 『貴方が我々を信用して下さらないのも当然かもしれません。我々は指導者ヒイロ・ユイの考えを継承したに過ぎません・・・貴方もかつては、サンクキングダムの大使として、ミリアルド・ピースクラフトを名乗り、コロニーの独立を御理解したのではありませんか?』 カーンズに巧みな誘い文句があったかと言われればやや疑問な所ですが。 『この私に何をさせようと言うのだ?』 『再び宇宙に来て頂きたい、貴方のガンダムと共に』 『ガンダムと?』 この男の場合はゼクスに対してのタイミングが非常に巧妙であった事、そして五飛の時は余地が無かった事を顧みて大分ゼクスに寄り添った上での“提案”に留めた事が決め手となったのです。 『はい、ガンダムは反抗の象徴です』 そも、デルマイユの足元が今にも崩壊寸前等とは、余人には計り知れぬと言うか、愛い妹が魑魅魍魎蠢く上流階級の世界で、真剣に担がれ様としている等と、ゼクスが思い至れる訳が無い。 『我々には“貴方とガンダムが”必要なのです』 都合国を2度焼かれておいてそんな慢心を抱く様な奴は唯のバカです。 進むべき道を見失ったゼクスにしてみれば、このまま立ち止まって死に果てるよりかは余程・・・と、覚悟を定めるには然したる時間は不要だった形です。 『クイーン・リリーナの世界国家宣言により、“我々の地球”からつまらぬ紛争が消えつつある、真に喜ばしい事だ・・・だが我々の責任は此れで果たされた訳では無い、宇宙には我々が“守ってやった”恩を忘れ反抗の意志を見せる逆賊が存在する!』 しかしその雷の如き鋭き果断は、結果としてリリーナの利を損ねる事となったのです。 『我々はこの逆賊を排し、地球圏全てを平和にしなければならないのだ!』 『・・・よろしいですかなデルマイユ候』 『何でしょうかウェリッジ侯爵?』 『貴方は、ロームフェラ財団の何ですかな?』 モスクワでリリーナに力添えしてくれたウェリッジ侯爵以下、相当数の貴族は最早デルマイユを見限っており。 『・・・仰る意味が良く解りませんが??』 『我々の新たな代表であり、指導者は、クイーン・リリーナなのではありませんか?貴方がその場所に立って、今後の方針を示す事は、非常に不敬な事だと思われるが?』 『む・・・』 『貴方も、トレーズ・クシュリナーダ同様、この財団から勇退為されるべきだと考えるのは、私だけでは無い筈だ・・・しかし私達は“貴方と違い”横暴に事を進めない・・・民主的に採決を取られる事を提案致しましょう』 はっきりと勇退を薦めるまで言ってのけた程。 その動きに賛同する要因は、少なく見積もっても過半数に上るとされ・・・その静かな謀反を裏から支えていたのは、よりにもよってドロシーだったのです。 『・・・クイーン・リリーナに“名実共に”世界国家の元首に成って頂くのだ・・・これで、本当に宜しいのですか?ドロシー嬢??』 ・・・かつて両親を守ってくれなかったと言うか、“死に追いやってしまった”とでも祖父を認識していたのでしょうが。 それでも死を望む程の恨みは無く、幾らかの逃げ道は残しながらも・・・多分、もう無理だろうなと予感していたのでしょうかね。 『はい、時代は、正しき方向に流れるべきですから』 デルマイユはこのまま、過ちを犯しながら終わる他無い人種だと。 『そうですか、五飛は矢張り』 『彼には彼の生き方がある、誰にもそれを強要する事等出来ない・・・だがトロワ・バートン、君が来てくれただけでも有り難い!』 『記憶の無い俺が何かの役に立つとは思えない・・・だがそれでも俺は、アンタ達と一緒に居る事で安らぎを感じて居る』 『トロワ・・・嗚呼!』 唯己の生き様を顧みる事は、年齢立場等は然して関係が無いと言うか、積み重ねも何も無い現状のトロワですら立てているのだから、出来ないものでは無い。 『自由と平和・・・本当、皆どうしちゃったのかしら・・・そうね、ちょっと前までの私がこうだったのよねぇ・・・』 唯あっただろうけど忘れた、と積んでも積んでも報われた覚えが無い、では天地の差が存在するものであり。 『ガンダムは我々の象徴として必要だったのだが・・・残念“だった”よ、デュオ・マックスウェル、ガンダムが敵になるとはな』 『本気で俺を怒らせるなよ・・・長生きしたかったらな!さあ行け!!』 悲しいかなデュオは後者の方でした。 『・・・良く聴けヒルデ、奴等は信用出来ない、ちょっと前までのOZと同じ匂いをしていやがった』 『でも、今のままじゃ全然“報われない”じゃ無い、ホワイトファングに行けば、貴方は英雄として扱われるのよ?』 『そんなもんに興味は無ぇよ!』 ホワイトファングからの参加要請を蹴ったまではまだ良し(そしてその場は大人しく引き下がる奴等も大変紳士でした)。 『俺は“ずっと”死神のまんまで良いのさ』 こんな調子で気の向くまま、己らしくを貫いて生きて来たつもりな彼ですが。 『孤独な戦いね』 『ああ、それが俺達の選んだ道さ・・・俺達は、コロニーを戦争に巻き込んじゃいけないんだ』 『優し過ぎるんだよ、アンタ達は』 結果誰も何も残らないとなるとすっかり虚無感に囚われてしまっており、既に甲斐甲斐しいヒルデに対しても腰が引けている調子が伺えるものです。 『だから、生きていられるんだ』 まあだからといって完全に身を持ち崩すまで墜ちる・・・とか言われても、流石に製作者様とて許せぬ案件って奴です。 御望み通り二度と本作世界に関わりを持たないで頂きたい所ですが、果たしてどうなるかぁ(汗 『何が世界国家だ、そんな事で我々を騙せると思って居るのか?』 ・・・さて一旦デュオからカメラが離れてホワイトファング側に向いて居ますが。 『しかしセディッチ大佐、リリーナ・ピースクラフトは真に平和を望む指導者と言われて居ますが?』 『ふん、あんな小娘にそんな力があるものか!奴等はOZであり、ロームフェラ財団なのだ・・・これまで我々を抑圧して来た実態を見失うな』 『は・・・!』 流石に奴等も、リリーナが元首となった所で祭り上げられたに過ぎないと、何の油断も無く軍備拡張を継続するもの。 『我々のコロニーは独立した国家だ、それを地球の奴等に解らせる意味でも、一刻も早くこの戦艦を完成させなければならん』 一応、その身を犠牲にして戦乱を収めて見せた胆力に関しては評価はした上・・・と言うのが、奴等が唯の革命屋気取りと侮れない部分ではあります。 『接収した月面基地はどうなっている?』 『は、ツバロフのモビルドール工場に残された、大量のビルゴのパワーアップパーツは、我がホワイトファングの戦力となるべく、着々と組み上げられております』 尚、今回ちらっと映っていた辛子色をした機体がビルゴの後継機「ビルゴII」。 プラネイトディフェンサーの装備数を倍にし、背部にはトールギス用ブースターのダウングレード型を据え付け、基本武装も過大威力のビームキャノンでは無く、ライフル及びサーベルと真っ当に改善が為された機体。 事実上初代ビルゴの難点を全て潰した、ほぼ完璧なモビルドールとなり・・・“取り扱う人間”次第ではガンダムすら完全に封殺出来る程となっています。 『このコロニーも武装した結果、OZ宇宙軍の駐屯基地として使われ、ホワイトファングに攻撃されたのだろう・・・最近の戦闘だ、珍しくもあるまい』 唯この時期の戦場において、モビルスーツの操作技量とモビルドール運用適性は必ずしも比例していません。 遠隔地からの大雑把な指令では不十分な状況も当然あり、相変わらず有人指揮機の統制は不可欠。 『全滅か・・・』 ・・・故に使って居る奴が錯乱していてはどうにもなりません。 『宇宙は、間違った方向に進むのか・・・』 『宇宙に武器を持ち込んだのは旧統一連合だ・・・コロニーで武器を造らせようとしたのはかつてのOZ、市民を抑圧し支配したのはロームフェラ・・・今回のホワイトファング蜂起を含め、全てが地球側が蒔いた種だとすると、時代に翻弄されたと言う事態は余りに哀れだ・・・』 まあ、既に大本から宇宙全体が正気を失いつつある事は、カトルを例に挙げるまでも無いのでしょう。 『蒔かれた種から噴き出した芽は、誰が刈り取る?』 『リリーナさんはそれをやろうとして、ロームフェラに身を投じた。僕達はその為の戦士にならなければいけないんだ』 既に幾つかのコロニーが交戦の果て大破する様な惨状が勃発しており、せめて住民の避難は完了している事を願う他無いのですがそれはさておき。 『は?!エネルギー感知?!く!動力部をやられた!識別もせずに攻撃かっ!!』 『OZ?!』 『ホワイトファングめ!のこのこ現れおって、我が宇宙軍の力見せてやる・・・!』 コロニー一つ潰しておいて、まだ飽き足らないロームフェラ共との交戦状態に入ったカトルらは迎撃戦を強いられるのですが・・・此処はある意味トーラスの独壇場でした。 『トロワ、無茶だよ君独りで行くなんて!!』 『どうやら身体が覚えている様だ、やってみる』 『トロワ?!』 先陣を切ったトロワからして、キャノンとライフル両持ちによる濃密な射撃戦にて、MDトーラスを圧倒する立ち回りを魅せるもの。 『し、白いトーラス?!何者だ?!』 お前本当に記憶喪失かい・・・と言いたいレベルです。 尚トーラスですら、敵陣に飛び込んだ後は然して動かずほぼ棒立ちで撃ちまくって居るのは、敵機の射線を見切って必要最低限の動作で回避・防御を試みるトロワのクセみたいなものであり、2年後で即座にデュオも気付いた様な戦い方です。 『がぁぁ?!つ、強い!何故だ・・・あぁぁ?!』 ところが相手となったトーラスの有人、MD機共に余り馬鹿に出来ません。 最終的には撃墜されたにせよ、僚機が全滅する中大分粘ったパイロットも居たりと、有人モビルスーツ最終型(見込み“だった”)として意地を発揮するものでした。 『くうぅ?!鈍い!サンドロック!!』 こうなるとMDトーラス等シャレになってないもので、宙間戦闘調整が終わって居ないにせよ、サンドロックの斬撃を一回は躱せる程の反応速度を発揮。 『ここじゃ此れが精一杯か・・・あぁぁ?!』 戦闘経験の蓄積を反映する速度は、矢張り人間とは比べ物にならない所はあったのです。 『か、カトル?!何をする気だ?!そのシャトルは爆発するんだぞ?!』 『このサンドロックのバーニアじゃ、トロワのとこまで間に合いませんっ!一か八かやってみますっ!!』 『カトル?!』 唯機械は配られた札でしか仕掛けませんが、人間なら時折イカサマっつーか無茶や博打を仕掛ける所。 『う・・・(キャスリン・・・)』 『トロワぁ!!!』 包囲されたトロワの救援の為、航行不能の為自爆直前だったシャトルを背にして、その爆発力で彼の元へ参じようとするとか、かつての償いにせよカトルも大分捨て身です。 『ああ?!』 『お前等機械を相手にだらしねぇぞ?!』 ・・・こうした人間の悪足掻きは死神の大好物であった事でしょう。 『全く・・・俺も人が良いぜぇ。デスサイズヘルよ、お前を壊した奴を助けてやるんだからよぉ!』 己は独りでは無かったのだと、現金にも調子を戻したデュオの乱入もあって、この場に関しては返り討ちを果たすものでした。 『アイツが死ねば、世界国家も、この偽りの平和も消し去る事が出来る・・・』 ・・・さてゼクスも支度を始めてしまった今となっては、唯一ヒイロだけが地上で動き回っているのですが。 『リリーナ、お前を殺す』 よりにもよって次の標的としてリリーナを定めてしまって居ました。 〈ヒイロはロームフェラ財団の指導者暗殺を計画する。一方財団内で理解者を増やすリリーナは、平和への第一歩を踏み出そうとしていた〉 彼女が願った平和を齎す為には、他でも無い彼女自身の排除が必要になったと。 〈しかし宇宙は、地球側の真意を理解せず、ホワイトファングを率いるミリアルド・ピースクラフトが、地球の排除を宣告するのだった〉 それが終わり次第後を追う気満々だった様ですが、幸いにしてドクターJの目に狂いは無く。 〈新機動戦記ガンダムW第40話「新たなる指導者」〉 リリーナが向かいつつある世界を、改めてヒイロは垣間見る事を果たすのですが・・・。 #
by zendam
| 2025-09-21 15:48
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 カーンズ共の決起から一気に情勢悪化が垣間見れる所ですが、これはカーンズ当人の能力が自認よりも遥かに高いと言うか、上手い事時勢に乗る事が出来た運にもよる所。 それもまた才気の一つでしょうがさておき。 レディ・アンが融和の名の元に下ごしらえした様なものであり、モビルスーツを筆頭に武器に塗れた宇宙で戦禍が拡大するのはあっと言う間でした。 戦う術を無くせば平和に暮らせる程、人間は賢いナマモノでは無いのです。 では戦う術無き民草は踏みにじられるままが相応しい、かと言われれば断じてノウ。 声無き者の力となり得るのがガンダムであり、完全平和主義と言うもの。 人類の本能と理性のせめぎ合いが、いよいよ顕在化している情勢と言えました。 〈地球の混乱は、宇宙コロニーの混乱を招いた。ロームフェラ財団の支配体制に反抗するコロニー居住者達は、武装集団ホワイトファングを組織し、コロニー開放の為に立ち上がった・・・〉 権力者の都合の果てに右往左往する事になるのは、抗う術を持たないコロニー市民のみならず、前線で死に逝く兵士達も同様でした。 〈これに対しOZは、司令官ツバロフを喪いながらも、力で対抗しようとモビルドールを投入、各地で戦争の火花が広がり始めていた・・・〉 特に本作は、初代から逆襲のシャアまでのガンダムの歴史をなぞる様な急展開を、たった一年余りで駆け抜ける様な無体な状況であり、唯一つの立場を貫ける等、ヒイロ達にも誰にも果たす事が出来ない混沌と言えました。 『モビルドールに真っ向から突っ込むな!“コロニーのビーム砲”の射程距離に誘導しろ!』 カーンズがあらゆる勢力からの合流を許しながらも、組織的な活動を維持できたのは奇跡的な部分はありました。 『貴様らは何故、無意味な戦いを宇宙に持ち込む?!』 『が、ガンダム?!』 それもモビルスーツ及びモビルドールと言った過大な武力。 そしてそれを取り扱える人材だけでも、その気にさせられる詭弁に長けていた事が成功の秘訣ですが、何よりカーンズ自身がそれを“長続き”しないと危惧して即時対策に動く、慎重さを備えた人物だったのです。 『戦闘空域にガンダムが現れたそうです』 『来たか』 『しかし、このシャトルではこれ以上接近出来ません・・・』 唯どれだけ頭が回ろうが武力闘争を肯定する革命屋気取りである事実に変わりは無く、ほぼ無制限の戦禍拡大はコロニー間の治安を絶望的なまでに悪化させたものです。 『ありがとう、此処までで良い、後は私独りで行く』 『お気をつけて!』 『ガンダム05のパイロットか・・・彼もまた正義を信じて戦って居る・・・』 月基地を筆頭に、各地で鹵獲した機体は遠慮無く前線に回され、OZが訓練してくれた工作員はおろか、元連合もしくは元トレーズ派が乗り込み、ロームフェラ共と一進一退の攻防戦が出来る程拮抗するものでした。 『武器を捨てろ!!』 『っ?!』 『全ての武器を捨てろ!』 戦略家としては無能であったツバロフだろうが、居るだけマシ程度には仕事をしていた方だったのです。 『弱い者が武器を持てば、己の心に負けて暴走する!弱い者は戦うな!!』 最悪な事に、レディ・アンの口車に乗せられて各コロニーが武装化していた事も事態悪化に拍車をかけたようなもの。 『相変わらずだな張五飛、覚えているか?君とはレイクビクトリア基地で会った』 増設砲台をアテにする様な戦い方を両軍仕出かすものであり、こうなるとコロニーそのものが攻撃対象となる事も止む無きもの。 『あの時の女か』 『ルクレツィア・ノインと言う』 五飛も怒り心頭で両陣営を叩いて回っても完全に焼け石に水でした・・・ガンダムに無念を託し、担い手も厳しく己を律して尚無様を晒したからには。 生半可な覚悟で武器を振り回すだけでは、悪戯に犠牲ばかり出ると言うのに。 『妙なものだ、今はもう君に対する蟠りが湧いて来ない、この宇宙の広さに比べたら、私の“屈辱”等小さな事なのだ』 『戦う為に来たのでは無さそうだな』 『君の力を借りたい、いやガンダムのパイロット全員の力をだ』 斯様な理不尽を前に孤独に立ち回る五飛だったものの、そこに早速ノインが勧誘を仕掛けるもの。 『私は宇宙が好きだ、そして地球も愛している・・・何方も傷付けたく無いと思って居る・・・だからこそ平和を築く為の力が欲しい、君達ガンダムのパイロットなら、この気持ちを理解出来るだろう?力を貸してくれないか?』 かつての因縁を脇に置いた事もそうですが、サンクキングダムを最期まで守らんとした意気地を五飛も認めるものであり。 『ん・・・サンクキングダムか、だがあの国は消滅した、お前は何故、まだ戦う?』 ゼクスの時とは違って途中でドラゴンハングを降ろし、最後まで話は聞いてくれる律儀な所は見せてくれました。 『確かに国は亡びた、だがサンクキングダムの尊い精神はまだ生きている・・・私はそれを守りたい』 『女の考えそうな事だ・・・だが、俺は俺の道を往く、誰の指図も受けない!』 まあそれで靡く程五飛も素直な奴では無いのですが、拒絶と言うよりかは今回は物別れ程度と、大分態度は軟化した方です。 『デュオ、あの人の事気になってるんでしょ』 『うん・・・同じガンダムのパイロットだった奴が、ああなっちまってるのを見るとなぁ・・・それに、コロニーはこれからどうなっちまうのかなぁ、とか、色々考えちまって・・・』 ・・・寧ろこの頃はデュオの方がスランプ気味と言うものであり、進んで貧乏籤を引いた割には何一つ事態は良くならず。 『何弱気になってるのよ』 『え』 『貴方は、自分の信じた道を往くんでしょ?そう言ったのはデュオよ?』 『・・・そうだったなぁ!』 それ所かコロニーの皆々はこぞって殺し合いに飛び込まんとしている現状には、無力感すら抱いて居た形です。 『・・・どうやら帰ってるらしいな?ウィナー家の坊ちゃんは!』 しかしそうした現状を鑑みる為には、古き戦友との再会は割と気付にはなってくれた・・・と、実の所今話、完全に別働しているヒイロを除けば、デュオ達の因果が大分相互作用する展開でした。 『解った、後は任せ・・・あ!』 『よ、カトル久しぶりだな』 『デュオ!あは・・・!』 特にカトルは、ノインと共に地球を脱した後は即時ウィナー家へと帰還し、戦乱の気配漂う中でも果敢に動き回っていた形です。 『カトル、何処に行ってたんだ?』 『地球へ。ヒイロと一緒に何をするべきなのかを考える為に』 ・・・と言うかウィナー家そのものの堅牢さも少し伺えるもの。 『で、答えは出たのか?』 『戦うよ、その為に君達を探しに来たんだ・・・地球には優しい人が沢山居る、“本当は”コロニーもそうだ・・・皆が平和に暮らせる世界を創りたい、その為にサンクキングダムの完全平和主義を守りたいんだ』 『完全平和かぁ・・・本当にそんな世界が出来るのかな?』 前当主にして父ザイードを抹殺して来る様なコロニー側とも“お話”は終えたらしく、彼が命懸けの抗議の果て離脱させていた資源衛星は再びウィナー家が制圧、再開発が始動していたのです。 『デュオ?』 『俺は、コロニーの為に戦って来た・・・戦うのは俺一人で十分だ、あんな思いをするのは独りで十分だったんだ・・・それなのに、コロニーが戦争を始めちまった!これからはもっと沢山の人間が死ぬ事になる・・・』 表向きはカトルの姉達が未だに資産運用を行って居るものであり、OZに楯突いた事での没落とかは一切見受けられないものでした。 『俺は、信じられなくなっちまってるのかもしれない。俺達が夢見ていた未来を、平和何か所詮実現しない夢じゃないか、ってな』 『・・・僕は一度過ちを犯した・・・赦されるとは思って居ないけど、僕の全てを賭けて償いをしたい・・・それが、平和と言う希望を、消さない事なんだ』 ・・・ザイードの贄が効いたと言うよりかは、ウイングゼロによる衛星・コロニー破壊行脚やロームフェラ共の悪政を前にしては。 『夢を喪ってしまったら、それで全てが終わりだから』 地に臥し赦しを乞う以外に道は無かったか、数十年後もカトル共々ウィナー家は健在である模様です。 『そうかもしれねぇなぁ・・・もっとも?死神には“真っ暗な未来”ってのも似合いかもしれねぇが』 『・・・デュオ??』 デュオが来訪した際も、ウィナー家関連の人員と直接応対を為していた辺り。 カトルがガンダムパイロットである事は周知はされずとも、ウィナー家縁の者にとっては知ってて不思議では無い事柄なのやもしれません。 ザイードを討たれた今ともなれば、悠長な真似等出来やしないと覚悟が決まった所もありましょうがね。 『あー・・・えぇい、やっぱり此処は上品過ぎて居心地が悪い、そろそろお暇させて貰うぜ?』 何より今のカトルには、幾度もの失敗と敗北を得て培われた胆力が備わっているものであり、それは戦乱の最中リーダーシップを委ねるに相応しい所もあったもの。 『・・・ガンダムのパイロットを探してるんなら、アイツにも逢いたいよな?』 その辺りにデュオも気後れは感じる所はあったものの、そこは己への発破として扱う事も出来たし、貧乏籤の御裾分けすら仕出かす方。 『デュオ?!それって・・・!!』 『・・・っ・・・』 ・・・決してカトルには良き真似では無いにせよ、必要ではあるという厳しさ故に。 『トロワ!!嗚呼・・・トロワ、トロワなんだね・・・?!』 『誰だ?』 『トロワ?!』 『俺を知っているのか??』 結果、とうとうカトルはトロワとの再会を果たしたものですが、これは記憶を取り戻す意味では大きな効果があったものの。 『トロワ、僕が解らないの?!』 『?!トロワ、向こうに行ってなさい!!』 キャスリンにとっては堪らない所でした。 『何しに来たの?!またトロワを戦いに連れて行くつもり?!』 『貴女は・・・?』 『あの子は私の弟っ!このサーカスの子よ?!』 『でも彼は・・・』 唯それに関しては他でも無いカトルが自認し後悔をしているものであり。 『トロワには、もう辛い想いはさせたくないの!あの子には記憶が無いわ、それは辛い過去だから・・・思い出したくないからよ!』 『僕の・・・僕のせいです・・・ごめんなさい・・・トロワは、僕が犯した過ちを正す為に、犠牲になったんです・・・謝って済む事じゃないけど・・・本当に、ごめんなさい・・・』 そこは彼女とてある程度は酌んでくれた方ではありましょう、手とか出ませんでしたし(お 『そう思うなら、そっとしておいて!トロワは、“私達と居る今”が幸せなんだから・・・』 『ごめん、トロワ・・・』 『・・・うう、く・・・あれは、誰だ・・・俺は知っている?!懐かしい、感じがする・・・!』 それよりも、後悔を背負って力無く去って行く背中は、トロワに対しては大きな衝撃を与えた様で、間違い無く己を取り戻すきっかけにはなったのですが・・・。 〈カトル様、此方の空域に、交戦中のOZとホワイトファングの部隊が接近しています、このままでは此処も巻き込まれる可能性が・・・〉 『どうして?!此処には唯、静かに暮らしていたい人達が居るのにっ?!』 もっと単純で救い難い事態が、いよいよトロワを戦地に引き戻していくものでした。 『糞、OZめ、コロニーを背にするとは!』 ロームフェラ共とホワイトファングによる攻防戦の影響が、トロワ達のコロニーにまで及んでしまったのです。 『皆で客達を誘導してくれ!他に手の空いている者は動物達を頼む!!』 これでは興業所では無い処か、両軍なし崩しにコロニーにダメージが入る様な戦いを仕出かしていました。 『一体何が起きてるの?!』 『戦闘です、コロニーの近くでモビルスーツ戦が始まりました』 一応加減や遠慮は見受けられるものの、そんなものは己の生命と天秤にかけられるものでは無く、何時破局が招かれるものか知れたものではなし。 『どうして?!私達は静かに暮らしていたいだけなのに?!一体どれだけの犠牲を出せば気が済むのよ?!』 『・・・っ』 『もう嫌!大切な人を喪うのは、もう嫌よ・・・』 それを唯やり過ごせる事を祈るしか無い。 そんな者達の代理として起つのもまた、白い悪魔と眷属達と言えます。 『泣かないで、姉さん・・・姉さんは俺が守るから』 『トロワ・・・』 『僕も、もう誰も喪いたく無い・・・君は僕を、僕の心を救ってくれた・・・だから今度は、僕が皆を守るよ・・・ガンダムは、その為に創られたんだよね?』 カトルはこの理不尽を前に果敢に挑むもので、今回は宇宙まで戻せたサンドロック共々全軍を向こうに回して阻止を試みるもの。 『あ、あれはガンダム?!』 『これ以上コロニーは傷付けさせないよ!!』 ・・・正直両軍のトーラス相手にするには厳しい性能差ではありましたが、この場は男の意地を貫き通したのです。 『呼んでるんだ』 『誰も、呼んでなんて・・・』 『解る・・・アイツが泣いてるんだ』 それを気のせいだと見過ごす程、トロワも薄情なままでは居られなかった形です。 『駄目よ!貴方はあんなに辛い目に遭ったのに、また戦うつもりなの・・・あ・・・』 『昔、“誰かが”言った様な気がする・・・感情のままに行動する事は、人間として正しい生き方だ、と』 『・・・どーしても・・・行ってしまうのね・・・強情な所は、ちっとも変わって無いんだから・・・馬鹿よ』 孤軍奮闘しているカトルの苦しみを察したか、殆ど何も思い出せぬまま彼の力となるべく出立してしまったのです。 『必ず生きて帰って来るよ、姉さん』 『トロワ・・・本当に、馬鹿なんだから・・・』 この意志の強さにはキャスリンも根負けした形で、涙と共にトロワを見送る他無かった形です。 『・・・こんな事は・・・終わらせなくちゃいけないんだ・・・あ?トロワ・・・?!』 ・・・斯様にコロニー側では混沌が広がる只中において。 『ふふふ、いよいよリリーナ様が“世界の頂点”に立つ日が来たのですわぁ・・・皆驚きましてよ?私自分の事の様に嬉しいの・・・あらリリーナ様、そんな御顔は駄目ですわ、もっと優雅に、微笑んでいらして?貴女は今日から、世界の女王なのですから』 デルマイユ“に”祭り上げられたリリーナによる、連合国家建立と武装解除要請は、今正に死生の只中に居る者達には、当惑の方が強いものだった形です。 〈全世界の皆さんに申し上げます。私、リリーナ・ピースクラフトは、本日をもってロームフェラ財団の代表となりました・・・しかしこれはロームフェラ財団の為ではありません、世界の紛争を無くし、平和な時代を築く為に、皆さんと共に歩いて行く事の出来る“最善の道”の第一歩であると考えて居ます〉 五飛とかはこの辺りで既に、戦う者の心を置き去りにしている、等と憤っていた様ですが、その辺りの摺り合わせは2年後ヒイロとタイマンして何とかするとして(お 〈皆さん、武器を捨て争いを止めて下さい。きっと皆さんが願う未来は同じ筈です。私と共に、その未来へと進もうではありませんか・・・私は此処に世界の紛争の元である、国家の垣根を取り除き・・・地球を一つの国と考える、世界国家の設立を宣言します〉 『財団も考えたものだ、確かに彼女ならロームフェラに人心を吸収する事が出来る』 トレーズも嗤って居ましたが、デルマイユの姦計には大きな穴がある事をまるで気付いて居ない。 『・・・だが、それがロームフェラにとって、リスクが大きい事に気付いて居ないようだが?』 ドロシーとかは解って居て事の趨勢を見守って居た方でしたが・・・既にロームフェラとて、単純な力を振りかざして支配者を気取る事には、疲れ果てていたのですから。 〈反ロームフェラを掲げ独立運動を開始した、コロニー側のリーダーカーンズは、ゼクスに接触し反乱の象徴であるガンダムと共に、宇宙へ上がる事を要請した!〉 そうした動向をカーンズ等は寧ろ好機と捉える方であり、今後の組織体制を盤石とすべく、リリーナと対等かそれ以上のカリスマを有するもう一人のピースクラフト・・・ミリアルド事ゼクスを取り込む事を画策するのです。 〈その頃宇宙では、カトル達のシャトルが攻撃を受ける。記憶が戻らないトロワも、トーラスで出撃するのであった〉 自分では組織の長は務まり切らないと、謙虚と言うか逆方向にプライドが高過ぎるが故の奇策であり、長い目で見れば迷采配と言えましょう。 〈新機動戦記ガンダムW第39話「トロワ戦場へ帰る」〉 が、確かにカーンズのみでは辿り着けない境地へと、全人類を誘う方ではあったのです。 #
by zendam
| 2025-09-14 16:01
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 デルマイユの蛮虐をもってして、またしてもヒイロ達の敗北による一時の終息が訪れ・・・る訳も無いどころか、誰にも収拾不可能な混沌を招く事となった次第です。 本来のプロットではこの辺りまでしか存在しなかったらしく、ポッと出のカーンズ蜂起による一大決戦勃発は、アドリブと称するには余りに苦心が伺える、製作サイドの苦労の賜物なのだとか。 唯全体的な流れから破綻とかは覚えない辺り、如何にストーリーとキャラクターを尊重して作成されたかが感じ取れると言うものです。 矢張り軽率に時間軸が飛ぶ様な話と言うのは、もうそれだけで作品の品位を貶める所があるものでしょう。 折角後半主人公機を預かって置きながら何もする事が無かったとか、流石にゼクスに課せられた咎は重過ぎるものでしょうな・・・。 衛星軌道上で増援を阻止していたとか、言い訳すら今回は許されなかった訳で、只々祖国がまたしても滅び、挙句リリーナの身柄を奪われると言う大失態は、只管にゼクスの心を苛むばかりだった事でしょう。 『間に合ってくれぇぇ?!』 ・・・まあ宇宙では今にも、厄介極まる連中が爆発直前であった事を鑑みれば、目を離せる戦況では無かった所はありましょうけど。 『敵は・・・俺の敵は何処だ・・・く・・・戦略上優位消失、戦術レベル最大効果、確認』 『どうした?!まだ増援は来ないのか?!』 『司令、敵の戦力は未だに落ちず、戦線離脱する兵士が増えて来ました・・・此処は撤退した方が宜しいのでは・・・』 尚同様にヒイロも、たった一人で継戦を続けて居る心積りとしては、言葉とは裏腹にリリーナとその理想を守ってやる事も叶わなかった事は、相当理不尽かつ腹立たしさを覚えている様で、憂さ晴らしの為にビルゴを斬り壊し回って居る始末。 『馬鹿者!このまま引き下がったら貴族共の良い笑い者だぞ?!』 『しかし相手はガンダムです!!』 『だからこそ!尚更奴を倒さなければならないのだ・・・財団はガンダムと言う名称を認めない、我が第42モビルドール空挺師団は、たった一機の“名も無いモビルスーツ”に全滅させられた事になるんだ!』 最早こんなもんには付き合えんと、賢しいロームフェラ共は逃げ出して居るも、そんな輩の下っ端に甘んじる他無い元OZはそう言う訳にも行かないもので。 『敵モビルスーツ此方に来ます?!』 『何?!ぬわー?!』 飢えと渇きでのたうち回る、エピオンの餌に成る以外の未来は無かったのです。 『このウイングゼロでどれだけやれるのか?問題は敵よりも私自身だな!』 『ウイングゼロか・・・戦闘レベル、ターゲット確認、排除開始・・・!』 その最中にゼクスとウイングゼロが遅参したとしても完全に後の祭りであり。 『ヒイロ・ユイ!?』 『ゼクス・・・』 『何故お前が此処に?!』 『ゼクス、貴様がその機体を選んだのはミスだ』 手前がチンタラしてたせいで故郷は火の海だと。 『ヒイロ!戦況を確認する!貴様は敵か?!』 『ゼロに聞け』 『何?!く・・・っ、戦いは、サンクキングダムはどうなったのだ・・・っ?!崩壊したと言うのか、サンクキングダムが・・・遅かったか・・・う?!』 ゼロシステムも無遠慮に教授するもの。 『では、この戦いに何の意味がある?!どんな意味があると言うのだ?!』 ・・・如何にデルマイユが軽率に事を起こしたとしても、そんな奴だと言うデータはとうにゼロシステムも情報集積・演算していた事でしょうから・・・五飛との醜態以降、トラント程もゼロシステムに向き合う度胸が無かったのでしょう。 『こ、殺しに来た者は殺せ、か・・・そう言うのだな?ゼロ・・・』 機械ですからな、聞かないと応える訳も無いのです。 『・・・いーだろう、純粋な戦士として、貴様との因縁の戦い!今此処で決着をつけてやるぅ!!』 最早誇りも何もあったもんでは無い始末ではありましたが、それでも戦士としての意地を発散すべく、ヒイロへ八つ当たりめいて襲い掛かるゼクス。 『モビルドール上陸部隊を増員しろ、敵モビルスーツは2体確認された・・・奴等には10倍の戦力を投入しなければならない』 余り情けないとは言い辛いのは、一応必死にやってコレでしたし、何より結果的にロームフェラ共の戦力を更に削る結果には繋がって行くものでしたし・・・。 『デルマイユ侯、私にこの様な持て成しは必要ありません・・・私は・・・私は貴方方に投降したのです』 『だから牢獄が似つかわしいと言うのですかな?だがそれは違う、我々は貴女を“保護した”のです』 『保護・・・?!』 ちなみにデルマイユとて本作の悪漢ですので、何の考えも無しに仕出かした訳でも無く、暴力に溺れるばかりでも無しに、狡猾かつ残忍に立ち回る事はします。 『貴女はあくまで平和を望んでおられた・・・だからこそ我々も支援した。しかし貴女の周囲にはかつてOZを裏切った者やコロニーの反乱分子等が“集まってしまい”、貴女の理想を踏み躙って行った』 『な、何を言っているのです?!』 『我々ロームフェラ財団は貴女の理想を守る為に、貴女を救出したのですよ?』 『え・・・?!』 サンクキングダムを討たねばならなかったのは、その威光を盾にする旧連合やらトレーズ派のせいに過ぎず。 『世間では、今回のサンクキングダム紛争をその様に理解されているのです・・・フフフ』 『そんな・・・!!』 リリーナはあくまで被害者として救出したに過ぎないのだと宣ったのです。 『貴女が世界に向けて宣言されたあの完全平和の意思は、崇高で美しく多くの人々の共感を得ました。そして我々はその意志を守るべく戦った・・・』 『そんな事、誰も信じる筈ありません!』 『いいえ信じるでしょうな、その証拠にロームフェラ財団はリリーナ・ピースクラフトを財団の代表にするのですから』 『財団の代表?!この私が?!』 リリーナの聡明さと決断を平然と踏み躙る実に下種なやり口ですが。 『そしてロームフェラ財団は貴女を前面に押し出す事によって全世界の支持を得る事になる、我々の地球統合の理想も現実のものとなる訳だ・・・無論?これは貴女と“我々”の合意が必要ですがなぁ・・・財団代表になって頂けますな?プリンセス・リリーナ・・・いやぁもうプリンセスではありませんなぁ?世界の頂点に立つ、クィーン・リリーナとでも御呼び致しましょう?』 安易に血を流す事を好む輩よりも余程厄介かつ侮れないものです。 『お断り致します!!私の為に戦って下さった人々を、裏切る訳にはまいりません!』 『貴女の目の前に、この地球上で得られる“最高の地位”があるのですぞ?』 『そんなもの要りません!抑圧された人々の悲しみの上に、土足で立つ様な真似はしたくありません!!』 『貴女と我々は“方法論が違うだけ”です・・・結果は同じ、我々も貴女も戦いの無い平和を望んでいる』 当然、必要に迫られて戦う他無かったヒイロやノイン達を愚弄する態度には怒りを覚えるものの。 『違います!』 『よぉく考える事ですな、時間は“まだ”ありますから・・・だがこれだけはお忘れにならない様に。貴女が迷って居る時間の分だけ、同じ平和を望む同士が戦い、多くの人々が死んでいくのです』 『っ?!』 まあ実際には。 デルマイユは情勢を見据える事等叶って居ませんでしたし、敵だろうが身内だろうがその動静を読める程、賢しく無かったのですけどね。 『遅い!遅いぞエピオン!!奴の反応速度を超えろ・・・っ!!』 『ウイングゼロ!私に勝利を見せてくれっ!!』 もっとも、考えが的外れなのと、小難しい事を考えて居る余地も無く没入しているのではまるで話が違って来るもの。 『次で決まりだぁぁぁ!!』 『ゼクスぅ!!』 両者、半ば現実逃避めいた感傷すら抱きながら、無意味な戦いを継続していたヒイロとゼクスは・・・。 『う、これは・・・?!』 『な、何だ?!』 遂にはゼロシステムとシステムエピオンを使い潰してしまったのです。 同種のシステム同士が莫大な情報を吸い上げつつ演算しても、勝ちの目を探る事すら出来ないままオーバーヒートした訳です。 瞬間的にとは言え、両者システムを凌駕したとも言えますが、最早全てを出し尽くした両者には戦う意気地すら無し。 あー崖よじ登ったゼクスの方がやや元気かな(コラ 『何だ、まだあんな有人機を使っているのか?ああいった人材は戦艦作業班へ回せと指示しておいた筈だ・・・』 『はあ、申し訳ありません・・・我々は戦力を無駄に出来ないのです、反乱を起こす為のね』 こうして主役とライバルが揃って倒れ伏す激戦を終えた頃・・・今更になって宇宙で動乱が巻き起こります。 〈了解〉 逃亡者が簡易なプロットすらこの先は支度して無かったらしく、急遽登板した割には随分な結果を招いて来るのが。 『我々はコロニーの革命闘士、ホワイトファングだ』 革命闘士「ホワイトファング」。 〈コロニーの同胞達よ!我々が遂に立ち上がる時が来た!これまで我々に圧政を強いて来たツバロフは現在、我々の同志が監禁している!もう何者にも従う必要は無くなったのだ!〉 カーンズ・カラントなる男を中心として結成されたこの武装組織は、大本は古参独立運動組織だったものの。 〈地球は我々から多くの労力と資源を貪った!だが本来我々は誰の支配も受ける事無く平等であった筈ではないか!立ち上がろうコロニーの民よ、共に宇宙の平和を築こうでは無いか!!〉 トレーズ派や旧連合すら併合して決起を果たした辺り、はっきり言ってカーンズなる男は途轍も無い指導力を有する方でしょう。 『遂にやりやがったか・・・これでコロニーはまたグチャグチャの戦争の真っ只中に飛び込んじまう・・・』 流石にトレーズには遠く及ばないにしても、です。 唯良くも悪くも“志が高過ぎる”きらいがある為、真トロワもコロニーの為にせよあわや特攻死させられかけたりしましたし、自らも理想を高く持ち過ぎる所が若干のウィークポイントにも。 尚若かりし頃は、目元の鋭さ以外はゼクスに似た面影があったらしいそうです(お 『反乱分子共が!私が何の策も持っていないと思ったのか?!』 それにしても、ロームフェラ共が跋扈する情勢でいきなり優勢を取れた様子は不思議ではありましょうが、そこにはご都合主義等一切無し。 軽率に労働力をコロニー側から搾取した結果、工作員も潜り込み放題だっただけの話なのだから。 最早信用の置ける要員を支度する事等、ロームフェラ共にはおぼつかなくなっていた訳です。 『私のモビルドールが、貴様らの企み等打ち砕いてくれるわぁ!!』 それを元来の人間不信から加速させたツバロフの責は重いものでしたが、その沙汰に関しては直ちに神の使いが下す事となります。 『駄目だ、この装備じゃ歯が立たない!』 『・・・この宇宙に戦いを望む者、邪悪な意志を持つ者は・・・“全て”この俺が消し去る!!うぉぉ!!』 ホワイトファング決起に伴う拘束・監禁から脱した、ツバロフによるモビルドールの抵抗の最中に、アルトロンが突っ込んで来たのです。 『ま、待て!我々は・・・』 『問答無用!!』 『が、ガンダムはコロニーの味方では無かったのかぁ?!』 ちなみに諸共にホワイトファング共も薙ぎ倒されている通り、五飛は早くも奴等がロクデモナイ存在であると見抜いていた・・・と言うか見るまでも無し。 『へへへ・・・私のモビルドールに敗北は無い・・・負ける事等ありえんのだ・・・最後に勝者となるのは私と、私のモビルドールなのだ・・・』 戦局を徒に混沌とさせる輩である事は、デュオすら危惧する所でしたからな・・・。 『へへ、見るが良い!私のモビルドールは無敵なのだ!この宇宙に敵は無いのだ・・・へへへ、ひゃははは・・・私は無敵なのだぁ!!』 この過程にて、ツバロフは呆気無く巻き添えを喰らって息絶えたものの、最早完成したモビルドールの運用体系は、生みの親の手解き等とうに要らなくなっていたものでした。 『俺は俺の正義を貫くだけだ』 ・・・尚五飛も多少の容赦はするもので、カーンズ共諸共月基地の生産ライン等に手出しする事は無く立ち去ったもの。 少しは見据えるつもりだったのでしょうが、結局は・・・。 『お互い機械に翻弄された様だな』 ・・・こうして、今日までは抑え付けられていたコロニー側の火種が遂に燃え上がる最中。 『俺の選んだ道に、貴様は障害だとエピオンが言って居た。俺もそれは間違いだとは思って居ない』 『そうか・・・現れた様だ』 『ああ』 燃え尽きて灰になって居る暇等ヒイロ達には無し。 『・・・どう言うつもりだ?』 『俺はウイングゼロで行く、海上の敵は俺が叩く』 まだ生きて、戦え、機械仕掛けの悪魔達も急かす所に、背を背ける様な男共でも無かったのです。 『あのガンダムはどうする?』 『好きに使え、アレはトレーズが創ったものだ、俺には奴の考えが理解出来ん』 但しこの場は、上陸戦を試みてきたモビルドール部隊の掃除をもって流れる事にはなります・・・やっと主役機交代を果たす形で。 『ふ、確かにトレーズなら、私にエピオンを託しただろうがな・・・!』 そう、これ以降ヒイロはウイングゼロの方に乗り続ける形となり、ゼクスはエピオンと共に本作の幕を下ろすまでラスボスを務める形となるのです。 『トレーズ・・・君とは違う道を選んだつもりだったのだが、今はこのエピオンを使わせて貰う・・・はぁぁぁ!!』 何方も隙あらば乗り手を喰いに来る奴等ですが、一夜の戦いを得て調服する手立ては多少得られたのでしょう。 『・・・デルマイユ侯爵に御伝え下さい、私リリーナ・ピースクラフトは、ロームフェラ財団の代表となる事を承諾致します、と・・・これで良かったのですね?リリーナ・ピースクラフト・・・』 そしてリリーナも、愛する男共がもがく最中で、己もまた戦う心構えを立て直す事を果たすものでした。 〈武装したコロニー市民達はホワイトファングを名乗り、OZが駐留していた宇宙の要所を、次々と攻略した・・・その渦中で、カトルとノインはガンダムのパイロットを探していく〉 このままデルマイユを筆頭とした、ロームフェラ共の軽い神輿となる事をリリーナは由とした、訳は無かろうものです。 〈一方、地球圏を完全に掌握したロームフェラ財団は、平和的求心力を有するリリーナを、その代表に擁立するのであった〉 と言うかサンクキングダム侵攻の結果、いよいよデルマイユの足元は崩れたものであり、お前にリリーナもロームフェラも任せて置けんと、大体手遅れながら起つような傑物も姿を見せるのです。 斯様なロイヤルの意地すら背負って立つリリーナの姿を前に、ヒイロが思う所は? 〈新機動戦記ガンダムW第38話「女王リリーナ誕生〉 とまあ、ホワイトファングさえ居なきゃ、ある意味クライマックスと言える場面でしょう。 しかし何も終わっちゃ居ないのです。 カーンズ共が背負った怒りと無念もまた真実ではあるのですから #
by zendam
| 2025-09-07 15:52
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