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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 理想の為に命を惜しまぬと言うのは、耳障りこそ良きものでしょうが、そこに自らをも勘定に入れるかどうかが、貴人狂人の大きな境目となるものでしょう。 ノインらの奮戦に違う真似となろうが、その身を捧げたリリーナ・・・は勿論なのですが、その顛末を特等席で死をも厭わず見届けたドロシーも相当イカれている娘さんです。 しかしてその勇気と狂気の狭間にこそ、人は魅了されてしまうものなのです。 命を賭けた体それた目論見に共だって挑んだ事実は、敗者にすら陶酔を、死者にも慰めを与えてしまう事がある。 その辺りの勘定を完全にデルマイユは違えた。 最早殺して象徴化されるよりも更に悪い権能を、リリーナに授けてしまった様なものなのです。 『我々の敵はOZでは無い、ロームフェラ財団、ひいては地球の支配階級なのだ』 『だからってOZのトレーズ派とやらと手を結ぶってのか?』 『まずは宇宙を我々の手に取り戻す事が必要だ、その為には旧連合の兵士も“受け入れる必要がある”』 連合軍の撃退、OZの変節と相次ぐ混乱の最中においては、無秩序に拡散された軍事装備によって、コロニー反抗勢力の勢いも増しつつありました。 『馬鹿な!奴等と手が組めるものか!』 『だがロームフェラを敵とする者達が手を結ばなければ、奴等の支配を打ち破れはしない・・・』 『しかしなぁ・・・』 ・・・最大手は此処より更に2年も雌伏して盛大に敗れ去るものですがそれはさておき。 『君はどう思うデュオ?』 元々ジャンク屋めいた非合法スレスレな、スイーパーグループと呼ばれる輩ともつるんでいたデュオには、そうした反逆の兆しが盛り返している事は、己が裏切られ見捨てられた事を踏まえても悪い気はしなかったのでしょうが。 『・・・ま、現状でロームフェラが真の敵だってのは、俺達もトレーズ派も、旧連合も一緒だ・・・だけどなぁ』 決して良い流れでは無い事を彼は学んでいたものでした。 この調子でロームフェラを退けた所で、次なる主導権を握るべく新たな戦いが勃発するのみ。 『肝心なのはロームフェラを倒した後どうするかだよ、それが纏まったらまた声をかけてくれ』 『おいデュオ!』 『それまで俺は俺で戦う、打倒ロームフェラの為にな・・・』 大人しく隷属を続ける事は論外だと起った者ではあったものの・・・いよいよその果てに来るべく結果に関してデュオも思い悩み出したのです。 『なぁ・・・本当の平和って、何なんだろうなぁ・・・』 ・・・その果てにロクデモナイ生き恥を晒したとか、酷い駄文も散見するものですが、あんま許容出来ない戯言ですなぁ。 『OZのモビルドール部隊が、サンクキングダム国境に展開し、周辺の軍事基地では兵力が集結しています・・・間違いありません、OZは・・・いえロームフェラはサンクキングダムを潰すつもりです』 今話に関しては、宇宙の側では少々不穏な予感が見受けられる程度の話しか無く、それよりもメインはサンクキングダムの末路に関して。 『リリーナ様の理想は解る、だが現実にはロームフェラ軍が攻めて来ようとしているのだ・・・』 ロームフェラ共の専横に異議を抱く者達の・・・それも非武装もしくは弱小国のみならず旧来加盟国は無論、元連合・トレーズ派等抵抗力を遺した勢力にすら、求心力を発揮しているリリーナ達を、愚かにもデルマイユは圧殺する道を選んでしまった。 『リリーナは理想に溺れている。完全平和主義等、今の世界の状況で達成出来るものか』 『リリーナ様の理想を否定するのか?』 それも武力によってです。 ゼクスのやらかしや先述のトレーズ派の存在もあるからには、突ける箇所はあろうものを、政治的闘争をかなぐり捨てての早期決着を図ったのです。 『いや、完全平和主義は人の希望だ。希望が無ければ人は生きられない』 『・・・ほう!ヒイロ、お前にも何か希望があるのか?』 『俺に在るのは支配と戦う意志だけだ』 どこぞのテロ支援国家とは全く事情が違います。 特に急いで奪う物も無い唯の小国相手に、大人げ無く戦力を差し向けてしまう等、これでは組織としての威信に傷が付く所では無く・・・この沙汰をもっていよいよデルマイユへの不信は進退に繋がるレベルとなります。 『カトルは、どうしているだろう・・・出来れば早く戻って来て貰いたいが・・・』 尚、ノイン達も懸命に足掻いているものではありましたが、その中でもカトルは僅かでも汚名返上を果たすべく奮闘した方でした。 『ん?何だ・・・カトル様?!カトル様なのか?!』 『カトル様だとぉ?!』 『みんなぁぁ!!』 砂漠地帯を強行突破した果てに、丁度ロームフェラ共と交戦状態にあったマグアナック隊と再会を果たしたのです。 『お待ちしておりましたっ!カトル様に渡すモノがありますっ!!』 この時の彼等は市街地の防衛を試みていたと言うよりも、“お宝”を抱えていた所に身動きが取り辛かった模様。 『ああそうだ、僕はそれを受け取りに来たんだっ!!』 そこに生身でカトルが駆けつけた姿にはまた脳を焼かれた事でしょう(汗 〈た、隊長!敵が反撃に転じました!あ、あの白い機体は・・・!!〉 『何事だ・・・が、ガンダム04?!』 サリィに拝み倒して譲って貰っただけに、サンドロックは彼等の手で修復が果たされた後、主の帰還までは後生大事に残されていたのです。 『往くよサンドロック!』 ・・・こうして蘇ったサンドロックと、その臣下を気取るマグアナック隊ですが。 『カトル様良く御無事で!』 『ラシード、皆・・・今まで済まなかった、そしてありがとう!』 『何を仰いますかカトル様!俺達こそカトル様に助けて貰って有り難いですよ!』 対モビルドール戦闘において先陣を切って斬り込むカトルと、その後を恐れる事無く、但し“臨機応変に”吶喊するラシード達の能力は相当な脅威となり。 呆気無く有人指揮部隊を含めて返り討ちにしてしまう程でした。 『それでカトル様、またガンダムが必要になったのですか?』 『うん、僕にやらなければならない事が出来たんだ』 唯彼等の助力をもってしても、大勢は引っ繰り返せなかったものですが、それでも最早カトルは独り善がりの戦いは止められる風になったのです。 『さぁ次は百獣の王ライオンとピエロの少年の一幕です!!』 ここで一端コロニーまでカメラが戻りますが、デュオが煮詰まって居る調子を察したヒルデが、態々気晴らしにサーカスまで誘ったのですが。 『あいつ?!あいつは・・・!!』 ・・・ピンポイントでトロワと再会させてしまうのは、正に運命的。 悪魔が紡いだ縁はそう簡単には切れないと言うものでしょう。 『トロワ!やっぱりトロワじゃないか!』 『貴方・・・!』 『此処に居たのかぁ、他の連中は?ヒイロは?一緒じゃ無いのか?』 無邪気に喜んでトロワと顔を合わせるものの。 『トロワ??』 『帰って頂戴!』 『あ、え?』 『トロワの昔の仲間でしょうけど、彼にはもう戦うつもりは無いわ!!』 当然今の彼は何も覚えておらず。 『トロワ!一体どうしちまったんだ?!』 『帰ってよ!帰ってったら!!』 『トロワ・・・』 必死に引き離そうとするキャスリンの姿を前に、流石にデュオも唖然とする他無かったのでした。 〈その頃、ツバロフ上級特佐はロームフェラ財団の指令を受け、巨大宇宙戦艦の建造に着手していた〉 ・・・さて。 コロニー側では興業に勤しむ事が出来る程に生活が豊かになったかかと言えば寧ろ逆の方で。 〈宇宙の資財、“人材”を徴用して行って居るこのプロジェクトは、コロニー市民に大きな負担を強いていた・・・〉 何らかの気晴らしが無いととてもやっていけないレベルで圧迫が生じて居たり。 『現在、作業を急いでおりますが、これ程の巨大戦艦ともなりますと今暫くの時間が・・・』 その元凶はツバロフが仕切って居るピースミリオン級戦艦の新造事業。 しかも現在組み上げ中のコレはピースミリオンよりも更に巨大であり、各コロニーからモノと“人”をかき集めてもそう簡単に仕上がるブツでは無し。 〈言い訳等良い、我々には一刻も早く“新たな象徴”が必要なのだ〉 『象徴、ですか』 〈トレーズに代わる人材が今のOZには無い。これからのOZは力の象徴によって兵士達の結束を生み出さねばならぬ〉 にも関わらず、権威主義に溺れたデルマイユはこのデカブツに象徴性を持たせようとするし。 〈そして、その結束を乱す王国の存在は処理せねばならぬ〉 『それは、サンクキングダムの事ですな』 目障りなサンクキングダムの沙汰に全力を注いでしまうと、あからさまに不味い手ばっかりです。 〈サンクキングダムはOZの平和政策の証としてのみ存在意義があった。だが今となっては我々の邪魔でしか無い〉 『するとつまりは』 これは逆に己の力の無さを内外に喧伝する様なものなのです。 ・・・そしてそんな連中に言われるがまま攻め入る様な連中もまた。 〈ロームフェラ財団の意のままにならぬ国家等、最早あってはならぬのだ〉 難癖、と言うには事実である事は仕方が無いにせよ、ロクな軍隊も持たない辺境国相手に、余りに過剰戦力を投入しての制圧作戦は、逆にリリーナの影響力を酷く恐れている事を示したものでした。 ・・・本当の英傑って奴は、自分で武勲を立てなくても周りが勝手に囃し立てる事もあろうものでして・・・。 『リリーナ様、サンクキングダムは今の世界にとって“平和の希望”なのです。それを守ろうとして、戦う者を叱らないで下さい』 『ノインさん!』 勿論それは無能だったり買被りが過ぎる相手方のみならず、言われず共心身を捧げる覚悟を有した忠臣達の手にもかかるものですが。 『駄目だ、駄目だ、駄目だ・・・黙れエピオンっ!!』 今日までに合流を果たした旧連合及びトレーズ派の兵員・装備はそれなりにはあり、リーオーやエアリーズのみならず、戦車や支援車両の存在も見て取れるものです。 『ノインさん!何とか間に合った!』 『カトルか!ようし!』 勿論ビルゴの能力を前にすれば焼け石に水も良い所であり、カトル及びマグアナック隊の遅参が果たされた後も、全体的な戦況が好転する事は無かったものでした。 『俺がまた暴走を始めたら、誰にも止められなくなる・・・!!』 何分海上・山岳含め全方位からの進撃と言う大分無理な事をやっているもので、ヒイロとエピオンによる遊撃戦も然したる効果は無く・・・唯ロームフェラ側には大変な出血を生じさせるものとはなっていました。 『戦争好きの貴女の趣味に、付き合って居る暇は無いわ』 『リリーナ様は狡いわ?』 『狡い?』 ・・・唯不幸中の幸いだったのは、かつてのサンクキングダムが問答無用で滅ぼされたのに対して、リリーナの傍には命懸けで窓口役を買って出る者が残って居たのです。 『平和なんて甘い言葉で皆を集めて置いて、いざとなったら自分では何もしないんですもん』 『しないのでは無いわ』 『ええ、出来ないだけよね、そもそも完全な平和なんて実現不可能なんだから』 もっとも、戦争に憑りつかれた哀れで愚かな祖父の役に立ちたい等とは、ドロシーは微塵も考えて居ない。 『何を言うの?!』 『私の先生は仰っていたわ、人は戦う動物であるって・・・そして戦い続けて勝った者が支配すれば良いと。それでこそ秩序は完成するのではなくて?』 『その考えでは、秩序は平和を生み出すものでは無い!単なる支配だわ!』 『この考えなら、秩序の実現に向けて“行動を起こせる”わ。現に戦いのあるこの世界で、“戦えない”完全平和主義に何が出来るの?それこそ単なる絵空事よ!』 今、此処で散りかねない本物の英雄(ヒロイン)の尊き決断を見届ける事は、殺されたって譲る事は出来ない大事であると、変な意味で覚悟が定まってしまっています。 『何も出来ない完全平和主義なんて“今は駄目”・・・戦う“動物達”の餌食にしかならないわ、今は戦うべきよリリーナ様!』 『人は戦う動物だからと言って、このままで良いとは思えません。戦わずに、平和を実現出来る道を人間は選べると、私は信じています』 『理想を掲げるリリーナ様ってやっぱり素敵ぃ!そんなリリーナ様が一声かければ、トレーズ派やOZに不満を持つ兵士達が、“直ぐにでも駆けつけて来る”でしょう!』 『?!』 死は結果だと、既に定まって居るのだと豪語した言い分に偽りは無いにしても、そうであっても期待を寄せずには居られないと、大分深々とリリーナに入れ込んで居ます。 『・・・サンクキングダムと、この“私の存在”が戦禍を巻き起こすとと言うのなら、出来る事から始めます・・・完全平和に向けての新しい一歩を』 『そう!まずは行動ですわ、リリーナ様・・・』 そして折れたり見当違いであっても己のせいであり恨みはしないと、比較的カラっとした執念に関しては・・・結構な影響をリリーナにも与えたものでした。 良くも悪くも隠し事が無いのです。 優しさの余り言葉を濁したりするノインや、そも行動からでしか真意を読み取り辛いヒイロとは随分タイプは違えど。 ドロシーもまたリリーナの“味方”である事に間違いは無かったのです。 〈私は、サンクキングダムを代表するリリーナ・ピースクラフトです〉 『は、お嬢様・・・!』 〈現在、我が国はOZの宣戦布告により戦闘状態に入っております』 こうして、ドロシーに促されたリリーナは決断を下し。 『小賢しい!他国に軍事援助を求めるつもりか?!』 〈武器を持ち、戦う事は平和主義を唱えるサンクキングダムの望む所ではありません。しかし我が国がOZの戦争を仕掛ける大将となるなら・・・サンクキングダムは主権を放棄し、自らを解体致します〉 『馬鹿な?!く、間に合ってくれぇぇぇ!!』 己の身柄をも含めた無条件の降伏を宣言したのです。 〈完全平和主義は如何なる理由があろうとも、戦いを生み出す存在になってはならないのです。私のこの身柄もOZに預ける事にします〉 『リリーナ様・・・』 仮にこのまま戦い続けられても、またドロシーに指摘された様に本格的にロームフェラ共への反抗を呼びかけ通じたとしても。 〈それが私の、平和への理念です〉 『何と大胆な・・・!!』 待って居るのは永久の闘争あるのみであり、それを避ける為に国も命も捨てる事が出来ると言うのは、さしものデルマイユも腰を浮かす程度にはショックを受けて居ましたが・・・。 『この力、ロームフェラの求心力をとして使えぬものか・・・?』 この男の節操の無さと思い上がりの何と滑稽な事か・・・こりゃ早々にドロシーからも見限られて仕方が無いもんです。 『戦闘は中止しなさい!最早戦う理由は何処にも無いのです・・・』 『・・・凄ぉい!何て凄いのリリーナ様ったら?!』 『もう様なんてつけなくて良いのよ』 『いいえ!増々ファンになっちゃったわ・・・ではリリーナ様、ロームフェラ財団へは私がご案内いたします・・・・』 (皆さん許して下さい、私はこの様な道しか歩めません) ともあれ、これにて戦闘は終息するも。 『・・・カトル、私と来てくれないか?』 『は・・・何処へ?』 『宇宙だ』 『・・・了解しました』 残されたノインとカトルは何も諦めてはおらず、宇宙に上がっての抵抗を画策中。 『・・・俺の・・・俺の敵は?!何処だぁぁぁ?!』 ・・・その間もヒイロとエピオンは無軌道に戦闘を継続しているものの、彼の言う“敵”と言うのはまだちょっと大気圏にも入って無くてぇ(汗 〈平和への理想は圧倒的な力の行使の前に脆くも崩れ去った。だがロームフェラ財団は傷心のリリーナに更に過酷な選択を突きつける〉 と言う訳で、完全な大遅刻を果たしたゼクスの憂さ晴らしに、またヒイロが巻き添えを喰らいます。 〈一方廃墟となったサンクキングダムでは、二人のガンダムのパイロット、ヒイロとゼクスが戦う!だがその戦いは時代が必要としない戦いであった〉 ついでにやっと主役機交代と相成るものであり、ここに後半主役機とラスボス機が並び立つ形となるのです。 尚そのついでに怒れる五飛の手でツバロフの悪運も尽きていく形となりますけど、コイツが居なくともモビルドールそのものの運用に齟齬は無い。 〈新機動戦記ガンダムW第37話「ゼロVSエピオン」〉 主要人物の沙汰の影響で、討たれるだけまだマシと言えましょう・・・。 #
by zendam
| 2025-08-31 15:17
| レビュー
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Comments(0)
*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 確かに話の中心は五飛であっても、同時進行で流しちゃいけない重大毎が進行するのは、良くも悪くも本作の味と言えなくも無かろうものです。 誰か強力な牽引役がストーリーを盛り立てると言うよりかは、誰かしらの行為が情勢に僅かずつ、最終的には巨大な結果を齎す様な形だとも言えましょう。 〈ゼロシステム。戦闘状況下で発生する、あらゆるデータを即時演算し、得られた莫大な予測値を直接パイロットにフィードバックする、コックピットシステムの通称である・・・だがこのシステムはパイロットを極限状況にまで追い込み、自らの死すらも厭わない結果、得られる完璧な勝利を実現するものだった〉 ナレーターも危惧を口にしていましたが、ウイングゼロとエピオンはモビルドールの対となる、究極の有人兵器を騙っても過言では無いものでした。 〈A.C.195年。世界が混沌の時代を流転する中、人間を究極の兵器として完成させるモビルスーツが存在した〉 人智の及ばぬ領域を機械が担う所か、人間を辞めさせてでも勝ちを取らせに行く貪欲な悪魔共。 〈ウイングゼロと、エピオンである〉 ・・・しかし彼等すら使い伏せる程、強欲に塗れた者達の手によって、この世界は前へと進む事となったのはある意味皮肉でした。 『トロワじゃ無いの?!私よ、キャスリン!忘れた訳じゃ無いでしょう?』 さて、タイトルにいきなり叛逆するものであり、本編で最初に姿を見せたのは何とトロワ。 カトルに討たれて以降一切の消息が無かったものの、宇宙を漂流した挙句に、その辺のコロニーの作業員によって回収はされたのですが・・・。 『きゃす、りん・・・?』 五体は満足であっても、彼の心は様々なものが抜け落ちたままだったのです。 久しぶりにキャスリンと再会しようが、曖昧で何かに怯えた様な調子のまま・・・。 『と、トロワ・・・!?』 唯引き攣ってでも笑えていたのは、彼女を僅かでも信を置ける存在だと、覚えていたお蔭なのか。 『それまで・・・五飛』 『老師竜(ロン)、修行の場を与えて下さり感謝しております』 『いやいや、良くお前は此処まで登り詰めた・・・アルトロンもお前を悦んで受け入れてくれるであろう』 いきなりトロワの大事を目の当たりにしても、全く気を抜けないのが本作の意地の悪さよ(お 『完成したナタクは強い、だが俺はまだその強さに相応しい力を持ったとは思えない』 『力とは心じゃ、心とは己との戦いの事じゃ・・・お前がお前自身に打ち勝っていかなければ、お前の敵は永遠に倒す事は出来ない』 月基地脱出後の五飛は、故郷であるL5コロニー群が一つ「0200」まで帰還。 指導者竜老子以下、僅かに残って居た郎党と共にアルトロンガンダムの最終調整及び鍛錬のやり直しを図って居たものでした。 『我らは100年以上もの間、宇宙の悪と戦って来た・・・だがその長きに渡って我等を守ってくれたこのコロニーも、もう命を繋ぎ止める力さえ無く、我らを滅びの道へと誘って居る・・・』 このコロニーは、記録上ではサリィの計らいでとうの昔に破棄・無人扱いとなり航路図からも除外されていたものでしたが、流石に物の流れ等を完全遮断は出来ず、ロームフェラ側も此処がまだ活きている事に気付く事となります。 『されど我等は最期まで天命に従い、正義を貫くつもりじゃ・・・解るか五飛?』 『正義・・・』 『己を信じる事、己を偽らぬ事、己自身を裏切らぬ事じゃ』 唯、元よりこのコロニーは老朽化が著しく、先は永く無い処か滅びを待つばかりの有様でしたが、成ればこそ己らの本懐たる“宇宙の悪”との闘争を、今際の時まで続けんと言う執念があった。 『・・・何?滅び逝く者にも容赦はせぬかぁ』 ・・・孫娘たる妹蘭にもそんな気質は受け継がれてしまって居ましたし、彼女亡き後“真のオペレーション・メテオ”実施に関して反対の立場は取って居なかった御仁ではあったのです。 『竜老師!俺は敵に勝たなければならない!俺の戦う相手は悪なのだ!』 『ならば迷う事はあるまい・・・お前が悪を倒すのでは無い、お前が倒した者、それが即ち悪なのじゃ・・・正義は、お前が決めろ!それが我等の意志、またアルトロンの意志でもあるのじゃ』 しかしそれに反発し、何より妹蘭を喪う事に怒りを覚えた(真のオペレーション・メテオは本来、0200を含めて複数コロニーを落着させる大虐殺だったのです)五飛の決断を、それはそれで尊重するものでした。 (ナタク、俺を導いてくれ・・・正しき道へ!!) 故にロームフェラ共の襲撃が開始された折も、最期が僅かに前倒しになったに過ぎない程度にしか鑑みて居なかったものでした。 〈ガンダムのパイロットへ通告する!無駄な抵抗は止めろ、我々は0200を攻撃する準備がある、これ以上抵抗を続ければ、コロニー全体を巻き込む事になるぞ?〉 『?!』 竜老子はおろか、残存している取り巻きすらもです。 『さらばじゃ五飛、我が一族の最期、しかと見るが良い・・・準備は良いか?』 『覚悟は出来ております』 ・・・斯様な覚悟の定まった者達に送り出された五飛とアルトロンは、正に暴龍としか言い様の無い殲滅力を発揮します。 ・・・と言うよりも、“現時点でのアルトロン”はエピオンにすら勝る最高の白兵戦闘能力を有していたのです。 双頭となったドラゴンハングや、諸刃のツインビームトライデントのリーチ・破壊力は無論ですが、背部にはヴァイエイトのテクノロジーを流用した二連ビームキャノンが増設。 龍の尾を模したこれは射角が非常に広く、実質的に超遠距離以外の死角が消えているのです。 『我が一族は最期まで誇りを忘れてはならぬ・・・我等の意志は五飛が継いでくれる、やれ』 『は!』 流石にこんなのと正面切って戦う覚悟はロームフェラ共には無く、0200そのものを盾にせんと試みますが、最早此処まで極まった輩相手には悪手極まるものでした。 『竜老師?!』 〈五飛、迷うな・・・お前の迷いは更なる戦禍を生み出す事となる・・・戦え!〉 『竜老師っ?!』 とは言え、それでも動揺を見せるのが五飛の性根であって、それすら捨てさせるのが竜老子の覚悟であり苛烈なエゴでした。 『戦うのじゃ五飛!己の正義の為にっ!!』 そこまで多くは無いだろうとしても、住民共々即時コロニー自爆に及ぶ暴挙の果てに。 『う・・・ぅぅぅぅ・・・あぁぁぁぁ!!!』 五飛の絶叫と共に“悪”は狩り尽されて行くものでした。 『正義は・・・正義は俺が決める!!』 それを遠目で見ているだけと言うのも大分ゼクスも御行儀が悪い所はありますけど、流石にこれは竜一族の果断が過ぎたものでした。 『我々の戦力はこの艦とウイングゼロ、真っ向からロームフェラと戦うには余りに不利です。彼を“同志”として迎える事は出来ないでしょうか?』 『難しい問題だな・・・・ガンダムのパイロットはあくまで個人で戦闘を挑んで居る、大義を掲げるお前さんに力を貸すかどうか・・・』 『我々の敵は共通のものです!話し合う機会さえあれば・・・』 どこぞの赤いの宜しく、引き込みを試みる辺り、ゼクスもまだまだ甘くガンダムのパイロットの一元認識っつーか神格化が過ぎた過ぎる所があります。 〈モビルドールは局地戦でしかその能力を発揮出来ん、もっと大局的に効果を齎すモノが必要なのだ・・・ツバロフ技師長、お前にピースミリオン級宇宙戦艦の製造を命じる〉 唯人間に頼れぬ輩に関しては更に愚かしいものであり、唯でさえモビルドール大量生産で財政が厳しい所に、ピースミリオン級再建造等と言う愚慮を為してしまう辺り、本気でデルマイユの判断は不味い。 『う、宇宙戦艦???』 ツバロフすら呆気にとられる程の無茶であり、程無く案の定な事態を招く結果と・・・。 (待ってて、僕のサンドロック・・・今行くからね・・・!) 唯それはそれとしても軍事力でのロームフェラ一強の情勢には変わりが無く、これに危機感を覚えたカトルは単身中東まで赴き、マグアナック隊が回収した筈のサンドロックを求めて強行軍と、あちこちで動きが見えるものでした。 『確かに我が国はロームフェラ財団に在籍しておりました・・・しかし今、ロームフェラ財団は我が国から軍事費を搾取するだけの存在です・・・これではとても、ついて行く事等出来ません!』 尚、デルマイユの焦りとも言うべき判断に関しては実の所的外れでは無し。 強引に戦乱平定を目論んだ事で、膨れ上がって行く費用はいよいよ所属国すら圧迫し始めていたのです。 『ロームフェラ財団は己の支配欲を満足させるだけで、戦禍を広げているに過ぎません・・・これではかつての連合と何も変わらない・・・』 『皆さんの仰る事は良く解ります。真の平和は、軍事力では得られないのだと言う事がこれではっきりしたのではないでしょうか?』 『全くです・・・』 矢張りこれでは連合やOZと何の変わりも無いのではと、不満や反感、厭戦気分が蔓延する事となり、その一部はリリーナへの賛同者に鞍替えを図る等、深刻な分断が始まって居たのです。 『サンクキングダム一国の平和でさえ持て余している私に、他の国々の平和等約束して宜しかったのでしょうか・・・』 『リリーナ様、ロームフェラ財団の約束した平和は偽りのもの、ピースクラフトの完全平和こそが真実であり、各国の代表もそれを拠り所としているのです』 勿論、世界情勢に妙により求心を集めつつある事は歓迎したい所でしたが、流石にリリーナも呑気に喜べる立場には無し。 『でもロームフェラの軍事力は余りにも強大です』 『ロームフェラ財団には、トレーズ・クシュリナーダが失脚した後は“求心力となる人物がおりません”。財団代表代行のデルマイユ侯では“その任は務まりません”でしょう・・・今のロームフェラ等恐るるに足りません!どうかお気をしっかり持ってリリーナ様の理想を実現して下さい・・・!』 復活したパーガンは焚き付ける方でしたが・・・彼の言い分に関しては的外れな訳では無く、この数十年地位に居座ったデルマイユの、資質を疑う声はいよいよ大きくなったりもしていたのです。 『私はもう特尉では無い、お前達と同じ一近衛兵でしか無い』 『いえ・・・しかし・・・我々はOZトレーズ派の残党ですので、中々癖が抜けません』 『せめてノイン隊長ぐらいは言わせてくれませんか?』 しかしそんな時勢に何時までも乗れないし、乗らせる訳も無いとノインは覚悟している方でした。 『ふ、それでお前達の気が済むならな・・・だが我々は規律に縛られた軍事組織では無い、それだけは忘れるな!』 『『は!』』 気付けば旧OZはおろか旧連合所属将兵までもが、近衛部隊として再編制されたものでしたが、その呼び水となったは皮肉にもエピオン。 『あまり期待しない方が良い、俺はカトルと違ってこの国を守る事に意義を感じて居ない』 『しかし、お前の持って来た“トレーズ閣下のガンダム”は多くの兵を導いて来た・・・ロームフェラに対抗する象徴としてな』 トレーズがヒイロに齎したガンダムであると言う噂は大分広まったらしく、その威光に縋る様な形となっている事は、ヒイロ当人も疑義を抱くもの。 (トレーズ、コイツを俺に託してどうするつもりだ・・・?) 己が正気を喪えば敵味方全てを灰にする、呪いの機神に縋って何とするのだと。 『ふん、命のやり取りを機械に頼れば人間は堕落する。OZを倒すのならば今なのかもしれんな・・・ん?』 〈ガンダム05、此方はピースミリオン・・・ゼクス・マーキスだ〉 ・・・皮肉にもゼクスも、早い段階でその恐ろしさを堪能する事となります。 故郷を喪った後も、五飛の戦いには何の躊躇も遠慮も無く、矢次にモビルドール部隊を殲滅するものでしたが、最早そこには恐れ等無い無味乾燥な作業としか感じなかったのです。 『ウイングゼロ?!』 『私は君と交渉の場を持ちたい』 そしてそれはノコノコ対談を望んで来たゼクスも同じ事。 嫌な巡り合わせでしたが、前話での一戦等慣らしにもならず、命の危機を覚える所か“勝って当たり前”の所業だったのです。 『はぁぁぁ!!』 『待て!私は君の敵では無い!』 『俺の敵は、宇宙に戦闘を齎す全ての悪だ!』 『その通りだ!だからこそ、共にOZとロームフェラ財団に戦いを挑もうでは無いか!』 故に、何処か上から目線なゼクスの態度が癪に障った五飛との決闘騒ぎをもって、遂にウイングゼロの脅威を目の当たりにします。 『お前もOZでは無いのか?!』 『かつてはな!しかし今は違う!』 『寝返る奴を俺は信用しない!』 ・・・2年後も対峙する可能性があった折も、ゼクスはどう戦えば良いかと苦悩するレベルで、アルトロンの対モビルスーツ戦闘能力はずば抜けて居ました。 『うぅ、どうすれば私の話をマトモに聞く気になる?』 『俺を倒してみろ!』 『よかろう!その姿勢、間違い無くガンダムのパイロットだ!!』 ウイングゼロの機動性はトールギスすら凌駕するものですが、背部増設の姿勢制御翼「ランダムバインダー」のお蔭で、アルトロンも速力以外ならほぼタメ。 『“コレ”に頼らなければ勝利は無い!!』 こうなると手数の豊富さと間合い自在なアルトロンと殴り合い等自殺に等しいもので、何分負けず嫌いなゼクスは直ぐツインバスターライフルを回収してしまうのですが・・・。 『は?!ピースミリオン?!ぐあ・・・はっ、無事か・・・何?!うぉぉ?!』 これを使うならば、ピースミリオンの巻き添え等気にするものではなし。 さもなきゃ直ちに龍の咢が貴様を喰い殺すのだと、存分にゼロシステムは教授してくれるものでした。 『はぁ、はぁ、何なんだ、この映像は一体何なんだ?!わ、私の敵・・・ち、違う!私の戦う相手はこの男では無いっ!!』 『俺には解る、貴様が悪だっ!!』 ・・・客演時のルルーシュは、ゼロシステムに対して導き出された演算結果に即時改善策を返して使いこなしたものでしたが。 『違ぁう?!』 ゼクスもまた己や己の守るべき者の破滅を避けて、求めるべき結果を目指さなければならない所を、今回は見事に失敗しています。 『『『うぉぉぉ?!』』』 『ゼクス!!ゼクスしっかりしろ、お前はゼロシステムに翻弄されているんだ!』 『間違い無い、奴は敵となる男だ・・・』 出力を落として速射したツインバスターライフルでは、五飛には呆気無く見切られた挙句ピースミリオンにも流れ弾が掠める等、とても勝利には程遠い始末で在り、この翻弄具合には五飛も踵を返すもの。 『あらゆるデータを提示し、そして戦士としての躊躇いを打ち消すシステム・・・だがそれは悲劇しか生み出さない、機械に翻弄される精神程悲しいものは無いからな・・・今のゼクスにそれを乗り越えろと言うのは酷かもしれん』 ・・・唯いざともなれば引き金を引く事を躊躇わぬ者だと、最大級の警戒は忘れぬままで。 『・・・アイツを此処に置いている以上、何時巻き添えに遭うか解らんだろう・・・俺達は移動するしか無いんだ』 『そうね・・・記憶喪失は気の毒だけど、トロワはこのままの方が幸せよ・・・』 ・・・そうしたイザコザは最早情報統制も不十分になりつつあり、キャスリン達もガンダム出現の報を受け慌しく出立を試みて居ました・・・拾ったトロワ共々に。 『ガンダム?何だろう、何か、懐かしい気もするけど・・・う、まただ、さ、寒い・・・!』 記憶は大分失って居ても、身に着いた身体能力は嘘をつかなかった様で、唯のサーカス団員にしてキャスリンの弟として新たな日々を送っていたのです。 (トロワ、大丈夫よ・・・貴方を戦場へ何か行かせたりしない・・・私が絶対守ってあげるわ・・・) キャスリンはおろか、団長らすら、かつてのトロワが何であったかを知った上で、それを隠してでも匿ってくれるのですからまあ、温かい話ですけど・・・。 〈宇宙でデュオはトロワを見つける、地上ではロームフェラ財団がサンクキングダム攻略を開始、マグアナック隊と再会したカトルはサンドロックと共に戦線に駆けつける〉 それじゃあ話が進まないのでまたしても貧乏籤引いたデュオに見咎められますが、それでもキャスリンはトロワの盾となる健気さを発揮するのです。 〈だが、平和を求めるとは言え、戦うと言う愚かな行為に終止符を打つ為、リリーナは自らの身を財団に引き渡すのであった〉 そうこうしている間にサンクキングダムでは決戦が勃発となり、一応カトルは間に合ったものの、流石にガンダム数機で覆せる戦況では無かった。 〈新機動戦記ガンダムW第36話「王国崩壊」〉 ・・・しかしこれがあらゆる意味で、デルマイユの命運を絶たせる第一歩にはなるものでした。 #
by zendam
| 2025-08-24 15:13
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 苦労は買ってまですべきでは無いのでしょうが、厄介毎のカタの付け方は経験則からしか学べません。 何処かに聞いたら直ぐ答えが返る様ならそれは些末事か、あるいは答えが出鱈目もしくは非現実的である事を疑う所でしょう。 確かにゼロシステムとシステムエピオンは、強大なテクノロジーにて成立した疑似未来予測を可能にしたやもしれませんが、余りにその回答は統計学的に過ぎるものです。 それを答えと見做せないトレーズは無論。 結果を前に狼狽え苦しむヒイロ達は、無いかもしれないより良き答えを捜して惑う、まごう事無き人間です。 誰かが、何かが寄越して来たモノに縋るだけならば運命の奴隷、機械にすら劣るものとなる訳です。 『トレーズ様、万歳!!』 ルクセンブルクにおけるヒイロの虫の抵抗は、然したる結果も出ぬままに終息を迎えたかに見えました。 『お、おい?!』 『と、トレーズ様を・・・頼む・・・』 ところがその場限りにせよ相当な出血をデルマイユ共に強いた形となった様で、一時的でも勢いを取り戻せたトレーズ派は、肉弾特攻をも辞さない形でビルゴと相打ち、ヒイロもそのおこぼれに預かる形になります。 死に逝く兵隊には、駆け寄ったヒイロが敵か味方かすら解らぬ所でしたが、命を看取る様なら同じ生きた兵士なのだと信じて、割と無責任に未練を語って果てて居ます。 『所詮トレーズは兵士達を幻惑する虚像でしか無い、反乱分子の象徴として扱われるガンダムと同じだ・・・』 名も無き兵に言われるまでも無く、この混沌を助長する形となった元凶たる、トレーズの元へと意識を向けるヒイロ。 『だがその二つが手を組むのは何としても阻止せねばならん!』 ・・・まあ足を向けた段階では徒歩っぽいですが、彼なら数時間以内に到達したでしょう。 そしてその間も泥沼の攻防戦が、トレーズ派が全滅する事も無く継続した訳です。 既に皮算用すらデルマイユにはままならぬ有様でした・・・用兵が出来る人材が出ていったきりなのです。 『よく来てくれたヒイロ・ユイ、我が愛する平和の使者よ、心から歓迎する』 『トレーズなのか?』 『問い質すまでも無い、さあ私を討ち給え』 無論、事を急いたデルマイユからの増派が到達すればそこでケリが付いたでしょうけど、そんな凡俗程ヒイロもトレーズもモタモタしたりはしませんでした。 『どうしたのだ?私がこの世に居る限り戦いは終わらない、そう思ったから此処に来たのだろう?』 『俺を此処に入れた理由を聞こう』 恐れる事無く人気の無い古城に飛び込んだヒイロは、何の妨害も無くトレーズと対面を果たして居ました。 『あれは数か月前にコンピューターにインプットしておいたものだ、何時の日か“君を含む”ガンダムのパイロット達と、心ゆくまで語り合う日が来ると思ってね』 『俺はお前に興味等無い』 『当然だ、君達は平和の事“だけ”を考えて居れば良い。この地球の、いや地球を含めた宇宙全体の平和をな』 ・・・尚全員とっ捕まるあるいは志願している関係上、掌紋を含め身体データの採取が終わっており、何時誰が訪れても良い風には支度していた様ですが・・・。 『俺は戦う事しか考えない、平和等、戦いが終わった後の結果でしか無い』 『では聞く、君の敵とは何だ?私か?OZか?ロームフェラ財団か?それとも君達を裏切ったあの遠き故郷コロニーか?』 『俺の目の前に立ち、俺の命を奪う者、それが俺の敵だ』 この時のトレーズは完全に受け身です。 『その戦いに決着はつかないな、君の敵とは運命の事だ』 『かもしれん、だが俺は戦う・・・戦い続けるしか無い、そして“何時死んでも構わない”』 唯その分ヒイロ達目掛け大き過ぎる期待を抱いてしまって居ますが。 『己の運命を享受する気にはならないのかね?その意味では君よりリリーナ・ピースクラフトの方が“強い”ぞ?』 それが買被りでは無かった事を、改めて確認している小狡い所もあります。 『君が闘い続ける事に限界を感じて居るとはなぁ・・・だが事実、この時代の流れは“誰にも”変えられまい』 『お前なら変えられるだろう?かつて、歴史の主導権はお前が握った、同じ事をもう一度やれば済む事だ』 『ふ、私にその気持ちは無い』 『そうか』 己の役割はとうの昔に終わっているのだと、能動的に動く気概が見えないもので。 『君と語り合えたこの時が、私の人生最大の幸運だった・・・そして私は理解した、私の死は、君の死と“共に”なければならない・・・互いに認め合った上で神に召され様』 トレーズは自らを、その資質を失した者と定義していたのです。 若き日から戦いに明け暮れ、その果てに平和が築けると愚直に信じた果てが、己の存在そのものが、闘いを生み出す理由に成り下がるものでした。 『往生際の悪い奴だな、俺はそれでも構わないが』 それを正すには己の死しか有り得ぬと覚悟していた所に、五飛を筆頭としたガンダムのパイロット達と出会ってしまった。 悪は、斯様な英傑の手で裁かれる事で輝き、暗き世を照らす一時の道しるべになれると。 『死を厭わない兵士か。私はその姿勢こそ、正しい人間の、正しい闘い方だと思う』 ・・・唯永年蓄積された因果の清算には、己独りではやや心ともない。 何より目の前のヒイロもまた、超人・・・いや肉体はさておいて精神的超越者等では決して無い事を知って、全てを彼等に押し付ける事への愚も悟った形です。 『だが今、君は敵を見失って居る。それでは私と同じなのだ、私の戦いも既に終わって居る』 『終わって等居ない!今もお前の為に何人もの兵士が死んでいる、少なくとも、お前の戦いは終わっては居ない!!』 それは今尚トレーズを信奉し果てていく将兵らの生き様を、踏み躙る真似だとヒイロは憤るものでした。 『終わっているとしたら、いいや終わるべきものは・・・俺が未だに続けて居る、“惨めで無駄な抵抗”だけだ』 少し前まで敵として相対していた者にすら情けを抱ける。 それはヒイロの純粋さであり、戦争の狂気に懸命に抗えている事の証明とも言えました。 斯様な優しき者に何の施しも無い等、紳士が廃る。 『ヒイロ・ユイ・・・どうか、これ以上私を悲しませないでくれ・・・君は私と同じであってはならない!』 エピオンはその為の新たな悪魔。 『此処に、君の今後の生き方を示す道標が在る』 手詰まりに陥ったヒイロの道筋を切り開く為に鋳造された、魔剣とすら言えるものです。 血の様なワインレッドに彩られた禍々しき巨体は、ヒイロをして一目で言葉を喪う程のプレッシャーがあった事でしょう・・・。 『矢張り、アレを爆破するか』 『当然でしょう、OZにとって、いやロームフェラにとって、ガンダムと名の付くモノは支配の障害となる虚像ですから』 『ふ、奴等に本当の価値を教えてやろう』 そんなヒイロの予感は直ちに当たってしまうのですが、それと並行してウイングゼロへの乗り換えイベントが勃発中でした。 『トールギスです!ライトニング・カウントが来たぁぁぁ?!』 ・・・主役機じゃ無かったかって? いや稀に良くあるパターンなんですが、ヒイロの手元に収まるまでにワンクッション・・・と言う形でゼクスが掻っ攫おうと試みて来たのです。 『何故戦いから逃げる?モビルドールは戦士に戦い方さえも忘れさせるものなのか・・・それとも、この私の考えが既に古いものなのか?』 〈気を付けろゼクス!モビルドールの高速輸送船が接近している!〉 『ふ!私が来る事を予測した上での布陣かっ!』 唯現地のOZ共も狡猾と言うか大分慎重で、爆破処理中にゼクス等が奪取して来る可能性も念頭に置いて、あらかじめMDトーラス部隊の派遣準備までしていたのです。 『モビルドールに頼った戦いを踏まえれば、当然と言えば当然の作戦だが!』 「トーラスキャリアー(もしくはトーラスクルーザー)」とも呼称されるキノコ型の輸送艇は、変形したトーラスを複数機露天懸架した状態で戦線に突入、MDトーラスを迅速に投入する事を可能とした艦艇となります。 ちなみに懸架状態でもトーラス側にマウントしたライフル・キャノン類の運用が可能な様射線が確保されている他、機首は大気圏突入すら可能な強靭さがあると、余りナメられない補助兵器です。 『トールギスよ!お前のお蔭で私は此処まで戦って来れた、心から感謝している・・・』 それが纏めて投入された結果、あっと言う間に数十機のトーラスに包囲されてしまうゼクスだったものの。 『ぐ・・・お前と別れるのは忍びない!しかし今は戦い抜く事が先決なのだっ!!』 この時既にトールギスの運用に関して限界を感じており、ハナから乗り捨てる覚悟ではあった様です。 『うぅ・・・さらばだ、トールギス・・・我が愛機よ、安らかに眠れ・・・』 ・・・唯それで随分未練がましい様子を見せる辺りは、愛着は有った様なのですが、そんな感傷でどうにかなる時分はとっくに終わっていると、今度もまた己に役割を“押し付ける”事を選んだ訳です。 ・・・まあシャアと違って何もかんも遣り切れる程の器用さは無かろう所でしたけど。 『こちらスケアクロウ5、任務完了。ウイングゼロ及びトールギスを破壊、同時にゼクス・マーキスを抹殺し・・・?!』 『ふふふふ・・・ウイングゼロについては過小評価だった様だなぁ?』 『な?!わぁぁぁぁ?!』 こうしてウイングゼロは一時的にゼクスの手中に収まる事となります。 『素晴らしい!この反応速度!この戦闘能力ゥ!!』 たかがリーオー数機を破壊可能な火薬量でどうにか出来る等と、安く見積もって居た辺りはトラント以下です。 『戦士として完璧なお前なら、あの“忌まわしい機体”にも翻弄されずに済むだろう・・・お前の選んだ道が、正しい道である事を祈るぞ?ゼクス・・・』 監督していた有人トーラスは真っ先に蒸発し、残ったMDトーラスも慣らし運転の良い的と言わんばかりに薙ぎ倒される事となりますが・・・。 『お前は平和への道標、ピースクラフトなのだ』 最早これしきではゼロシステムも反応しない程度には安い相手でした。 『名を、エピオンと付けさせて貰った』 さて話はエピオン出陣に戻ります。 『この機体は戦う敵の姿と、そして自分自身の“未来”をパイロットに見せてくれる・・・私には選択すべき未来は存在しなかった。もし君がこの機体に乗って、私と同じ結果になるのであれば、共にこの世に別れを告げよう』 一応、この機体には「アクエリアス」と呼ばれる電子戦闘用機によるモビルドールの攪乱に乗じ、有人指揮系統まで吶喊、撃破すると言うコンセプトがあった様ですが、本編中には然して関係無いので割愛。 『こんなモノを何の為に創った?』 『私は戦い続ける事が人間の存在意義だと考えて居た・・・だがそこに答えを見出す事は出来なかった。私の戦いは終わったが、戦いと言う行為に解答を見つけねばならない・・・その為のモビルスーツとして、ガンダムが最も相応しいと考えたのだ』 このガンダムはトレーズの美学が追及された純然たる接近戦用モビルスーツであり、戦いの中で理解と回答を得ると言う贅沢実現の為、速く固くしぶといものの、武装すら近接戦闘特化型。 『そして私は勝者と敗者に祝福を与えたい。之はそれを可能にする機体だ』 『神でも造ったつもりか?』 『かもしれん。このエピオンは戦士に純粋な“戦う意志”がある以上、“迷いを消す”機能がある』 唯その分スラスター等へ出力が回る為、一概にはデメリットとは言えませんし、プラネイトディフェンサーが幅を利かす今の戦地では、奇しくも合致するものではありました。 『迷いの無い戦士は崇高で美しい。ある意味では、最も神に近い存在と言えるだろう』 『俺は神等信じない』 『見せてくれ給え、君の戦いを、君の未来を』 ・・・問題はこの機体に積まれた「システムエピオン」。 トレーズ自らその効能を語って居ましたが、完全にゼロシステムと同一と言うか、更にシステム的に改良が施されたシロモノだったのです。 〈ヒイロ・ユイ、一つだけ忠告しておく・・・その機体に乗って“勝者となってはならない”〉 ヒイロも聞き流しはしていなかったでしょうに、何も懸念とかは抱かなかったのは、OZのテクノロジーでアレを模倣する事が出来ないとタカをくくっていたか。 〈ガンダムエピオンは兵器では無いのだ、君が敗者として帰還する事を望む〉 『俺もそれを望んでいる』 もしくはあんなモン造っても仕方が無かろうと、トレーズを見誤ったか・・・兎も角ウイングゼロに続いてまたしても散々な目にヒイロは見舞われるのです。 『ヒイロ、私を殺すまでは勝手に死ぬ事を許可しない、故に自爆装置は解除する』 果たしてルクセンブルクまで舞い戻ったエピオンでしたが、この時奇怪な姿へと変形を果たして居ます。 『おい・・・あれは味方なのか・・・?』 逆海老固めと言うか、ハンブラビと同一パターンと断言しますが・・・爪先を首に見立てた双頭龍の様な形態です。 これはかつて、「ワイバーン」と呼称されたドクターJ謹製の戦闘機を参照したとの事で、乗り手は何とリリーナの祖先なんて話もありますがさておき。 『うわぁ?!来たぁ?!あぁぁぁ?!』 この有様では一切の攻撃手段が無いかと思われますが、腕のクローの他爪先にも開閉機構が備わるなんて話もあります(映像化はビルドファイターズが初とか)。 (俺の、敵?違う、コイツ等は戦わされているだけだ) ―今だ!行けぇ! (では、コイツ等なのか??いや・・・ぐ?!) 何よりシールドから伸びるムチの様な「ヒートロッド」は、しなやかに踊る尻尾の様に振る舞い、高速移動時にも運用は出来る形です。 『同じだ・・・コレはゼロと同じだ・・・!!』 まあ今回は敵陣に飛び込んで直接ぶん回す方が先ですが、エピオンの速力と予測困難なヒートロッドの軌道が合わさった場合、モビルドール如きの判断力では全く回避も防御も間に合わずに、一方的に切り刻まれる結果となるものでした。 『―全てを消し去る』 幾つもの節に別れたヒートロッドは鋸の如く装甲を引き裂きまくりますが、これはあくまでサブウエポンと言えます。 『戦う者、全てが敵だぁぁぁぁ!!!』 本命は腰部にマウントしている有線式大型ビームソードで、通常のビームサーベルとは段違いの出力をもって、モビルスーツも建造物も纏めて斬り倒して回る姿は、正に戦場を支配する怪物そのものでした。 『俺の・・・俺の未来・・・俺の、死・・・うぐ!』 当然この過程で敵味方の判別なんぞ一切無く、モビルドールもトレーズ派も纏めてずんばらりん、です。 『見えたか?君の未来は・・・そうか、では始めるとしよう』 『トレーズ・・・俺に・・・そんな資格は・・・無い・・・っ』 此れでも終わってから正気に戻れた辺りヒイロもタフではありましたが、流石にこの醜態は言い訳無用とばかり、トレーズにすら弱音を吐いて倒れ伏せる始末でした。 矢張りエピオンもまた、乗り手を喰いにかかって来る機械仕掛けの悪魔であろうものでした。 〈カトルは日増しに増すロームフェラの圧力に対抗する為、サンドロックを取りに行く!ゼクスはガンダムのパイロットと共に戦う道を求め、故郷のコロニーに戻って居た五飛に会う〉 次回は久方ぶりに五飛の出番とはなるものの、同時に彼の故郷の終焉ともなります。 〈だが完成したアルトロンガンダムのパイロットに再び選ばれた五飛は、ゼクスを敵と見做し戦いを挑んで来るのだった!〉 妹蘭の墓標もこの時に喪われる形となりますが、最早諦めとも区切りとも彼は無縁と言うべきもの。 〈新機動戦記ガンダムW第35話「ウーフェイ再び」〉 己と、己に命懸けで正義を示した妹蘭に、納得が行く結末と言うのは。 悲しいかな、トレーズを討とうが彼には訪れる事は無かった・・・決着は更に2年後にまで縺れ込んだのです。 #
by zendam
| 2025-08-17 15:09
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 武力制圧以外の決着が見い出せず、妥協による落とし所すら探れないともなれば、唯只管に消耗するばかりとなります。 順当に勝ち進めている筈のロームフェラも、デルマイユが鈍過ぎたせいで随分な出血を強いられているものであり、損切りを余儀無くされる所まで後僅かでした。 そして地上で弱い者虐めに勤しむ間に、宇宙では明白に動きが露わになるもの。 ピースミリオン級の戦線復帰等はまだまだ序の口で在り、尻が重過ぎる“財団”を振り切り決起を目論む者達も、そろそろ下準備を詰めていた頃なのでしょう。 『もう自分を責めるのは止した方が良い、戦いの中では仕方の無い事も有る』 『いいえ、人の命の遣り取りです、仕方が無いでは済まない事です・・・僕が強ければ、トロワはあんな事にはならなかった筈です』 トーラスの段階で大概であった所に、ビルゴの質と数の暴力を叩き込まれれば、大概の勢力ではひとたまりは無い。 それはまごう事無き事実ではあろうものであろうが、所詮外宇宙進出も出来て居ない文明レベルでのお話です。 『・・・僕達なら、モビルドールに対抗出来ると思います。自惚れなんかじゃ無いです、でもガンダム程の性能の在るモビルスーツならば、ですが・・・』 モビルドールは無限に等しく生産は出来ないし、取り扱う者達も有限でしかない。 『しかし戦ってモビルドールを破壊したって戦争は終わりはしない・・・たかがパイロットに出来る事には限界があるんだと、僕等は身をもって知らされたんですから』 平和に対する絶対的な脅威となり得るまでは今一歩足りないままであってくれたのは、所詮はデルマイユが凡俗であったお蔭。 『リリーナ様は・・・サンクキングダムは、そんな兵士達の慰めにはならないのだろうか?』 『確かに此処は安らぎの場なんでしょう、だからこそ血に汚れた僕等が居てはいけないのかもしれません・・・ヒイロもそう感じて居ると思います』 機械の如く、絶対的な理念に基づき狂信に等しい理想を貫くと言う程では無く。 唯邪魔立てする存在に勝ち続けたいと言う、安っぽい自己満足等、あらゆる意味で何時まで続けられるものでは無かったのでした。 〈宇宙で大量生産されたモビルドールを、地球上の紛争地域へと降下させるオペレーション・ノヴァは、着々とその成果を挙げていた。モビルドールの脅威を世界中の人間が目の当たりにし、OZの権力は拡大している・・・それはロームフェラ財団の支配体制が確立する事を意味していた〉 勿論、惰性で続けて目的が果たされかねない所もありましたが、本作世界にはそこまで寝ぼけた奴等はそう居ない。 『モビルスーツ急速接近!!』 『出たか!』 トレーズ派の様に決死の抵抗を続ける者も居ますし、死に損ないが墓から這い出て来る事も茶飯事と言えました。 『トールギスです!間違いありませんっ!!』 暫し姿が見えなかったゼクス等その筆頭と言えるもので、親善大使の上っ面を呆気無く捨ててトールギスで暴れ回って居る始末。 『全滅だと?!人間がモビルドールに勝てる筈が・・・わぁぁ?!』 尚MDトーラス相手でもやや気後れ気味でしたが、ビルゴ相手だとドーバーガンですらプラネイトディフェンサーを抜けないものの・・・矢張り近接戦闘時の反応の悪さが全く改善されぬままで、バッサバッサと叩き伏せられています。 〈此方“ピースミリオン”、作戦完了。トールギスを収容次第この空域を離脱する・・・流石じゃない、ライトニング・カウント〉 『私にはこんな事しか出来ませんからね、貴方には感謝しています、ハワード』 〈なーに儂等は持ちつ持たれつ、遠慮等要らんよ〉 『では御言葉に甘えて、トールギスの再調整をお願いできますか?』 『どうした?被害は受けておらんじゃろう?』 ・・・ドクターJ共とト-ルギスを仕上げた後、真っ当な技師として仕上げた最期の逸品「ピースミリオン」級戦艦と共に彼等も起ったのです。 トールギスとのサイズ比から見てもべらぼうなスケール(手前は300m級宇宙高速戦闘艦)ですが、この艦は3000m級外宇宙航行艦艇だったと言われて居ます。 『いえどうも反応が鈍く感じるのです』 『そりゃ“お前さんの反応速度が速過ぎる”んじゃ。こんな短期間でトールギスの機動性を超える力を身に着けるとは思わんかったなぁ・・・収容するぞ』 一応、地球連合軍の要請で建造されるも配備される事無く月面に隠匿されていたものを、ハワードが引っ張り出して来たのです。 尚本作における艦艇はシャトルや輸送艇ばかりであり、後はバルジやピースミリオン等殆ど宇宙要塞に等しい規模となります。 ともあれ、明白な足掛かりを得て妨害活動に走るゼクスの動きは、本気でデルマイユ共には目障りではありました。 『サンクキングダムかぁ・・・この機会に始末してしまうべきなのかもしれん・・・』 唯それとて物量で押し通る事が叶わないものでは無く、寧ろデルマイユはリリーナ達の方へと危惧を抱きつつありましたが、正直対応を誤ったとしか言い様が無い。 『宇宙に帰って居たのね・・・でも貴方の故郷は貴方に優しくは無かった・・・辛かったのでしょう?』 政治的圧力を加えて黙殺出来る立場にあろうものを、態々好き好んで事を荒立てようとする辺りは、根本的に統治者としてのセンスが無かったとすら言えましょう。 『それでもヒイロは戦う事を止めないのですね・・・その厳しさを秘めた瞳は、初めて逢った時から変わって居ないもの』 『俺は・・・』 勿論、そうした血気盛んな輩だからこそ、ヒイロ達が相手取るに足る者であり、皮肉な話ですが彼等がサンクキングダムから離れぬ理由にもなってしまった形です。 『・・・ロームフェラ財団からの、招待状です』 戦いが彼等を、ガンダムとそのパイロットを必要とする限りは。 『ヒイロ、約束して頂戴。私に黙って、居なくなったりしないと』 そしてその現状に甘える程ヒイロもカトルも賢くは無い。 やがては己らが不必要となる世界の為に全力で足掻くものでした。 『決着がつけば、そこからモビルドールが世界中に広がる』 『無茶だ!幾ら君でも独りでこれだけの数を落とせる訳が無いっ!どうしても行くと言うんなら僕も一緒に行く!!』 特にヒイロは、ビルゴによる総攻撃が予期されるルクセンブルクへの単身突撃を画策する一方で。 『駄目だ、お前は此処に居ろ、“お前は”まだ死ぬ訳にはいかないだろう?トロワを見つけるまでは』 『っ?!』 縋るカトルにはリリーナの守りを任せる等、相変わらず自罰主義的な所は見えますがそれは兎も角。 『カトル?!どう言う事だ、ヒイロは?!』 『ヒイロは選んだんです、一番死の確率の高い戦場を・・・』 そうした無謀に関しては、リリーナから触発された所も無きにしもあらぬ所で、デルマイユからの会合出席招待に、罠を覚悟で敢えて飛び込む姿勢に意気地を見出したのでしょう。 『リリーナ様頑張って・・・(ふふ、さあリリーナ様これからが貴女の力の魅せ所よぉ・・・私をガッカリさせないでね♪)』 ・・・尚それはデルマイユ以外のロームフェラ財団幹部にも実は同じ事で、臆せず参じた彼女の姿に、唯の小娘と言う侮りは消えつつありました。 『・・・あのパイロットは現在も、ミリアルド・ピースクラフトを名乗っているのですか?』 『いや、それは』 『ならば彼は我が兄、ミリアルドではありません』 『ん?!』 ゼクスの跳梁跋扈に関してつついた所でまるで動揺も見せず、無関係とすら言い切った姿を前には余計に関心を抱かれる始末で在り。 『ふふふふ・・・立派だったわよぉリリーナ様!流石に私が見込んだだけの事はあるわねぇ・・・ふふふふ』 別室で盗み聞きしていたドロシー等酷く盛り上がっている有様だったのです。 尚ゼクスによるルクセンブルク降下作戦阻止に関しては、指導して居たツバロフがあらかじめ護衛部隊を展開し降下部隊数を増加させたせいで失敗。 基地陥落には十分過ぎる戦力投入を許す事となりますが、そこはヒイロとウイングガンダムによる孤軍奮闘が待って居るのですがそれは置いといて。 『・・・だからリリーナ様、“今は”貴女を助けてあげる』 恐らくドロシーからの通報によってリリーナ襲撃計画の報がノイン達に届くのですが・・・。 『ノイン隊長!!たった今匿名の通信が入りました、リリーナ様の御車が、テスト飛行を装ったモビルドール部隊に襲撃されると!!』 『何?!』 如何に彼女がデルマイユの身内だろうが、そんな謀が直ちに外に漏れる筈も無い。 リリーナへの隠れシンパが確実に増えつつある事は間違い無く、デルマイユの懸念は決して杞憂等では無くなりつつあったのです。 『ノインさん・・・!!』 ・・・そもそも襲撃についても機動性と自己判断能力に欠けるビルゴを寄越した辺り、レディ・アンと違って汚れ役を熟せる将兵がもう居ないと邪推してもおかしくはありません。 何分不意打ちしてもリムジン一つ潰せないし、飛び蹴りで一機潰して後は背を向け盾に為ったノインのトーラスも破壊出来ない、まごついている間にカトルのトーラスからのサーベル二刀流でバッサリと、何一つ良い所無しで終わってますし。 『どんなに綺麗事を並べても、私には誰一人助ける事が出来ない・・・そうでしょう?!私は何時も誰かに助けられてばかり!武力の必要無い平和等、有り得るのでしょうか?!』 ・・・唯この襲撃でパーガンが病院送りにされた事は流石にリリーナも堪えてしまってましたが。 『完全平和等、“戦う事の出来ない者”の戯言なのでは無いでしょうか?!』 『しっかりして下さい!貴女がそんな事では、僕達はどうすれば良いのですか?!』 なればこそ負けてはならないとカトルが檄を飛ばすのは中々心憎い。 『貴女は自分の信じる道を進むべきです!僕達の様に、“戦う事しか知らなかった者”にでも、平和に暮らせる場所を貴女は創る事が出来る・・・ヒイロや僕達は、それを信じているんです』 闘いに明け暮れ、呑まれて、取り返しのつかない過ちを犯した者だからこそ、二度と後追いが出て来ない世界を、ヒイロ共々望んでいるのだと。 『平和に暮らせる場所・・・』 『そうです、何時か来る完全な平和・・・それを信じて僕達は戦い続けるんです』 『何時か来る、完全な平和・・・』 当世最高の戦士にそうまで乞われれば、リリーナとてその切実さを解するものですが・・・カトルとしては寧ろ、尚戦って居るヒイロの事も解って欲しい所だったのでしょう。 〈死ぬな〉 『?!』 〈諦めてはいけない〉 何せ自ら死地に飛び込んだ形のヒイロは、未だ己の生命に頓着していない所がある。 〈君はまだ、死んではならない・・・戦え、戦って生き延びるのだ・・・君は・・・君達はまだ死んではならない〉 リリーナの目指す世界の為と、自棄の果てでは無い分余計に悲壮感と覚悟が定まって居た為、近場のトレーズが一声かけないと大分ヤバかった場面と言えましょう。 〈ゼクスは宇宙でウイングガンダムゼロを手に入れ、OZのトーラス部隊を殲滅する。一方ルクセンブルクの古城に潜入したヒイロは、トレーズから新型のガンダムを託される・・・だがそれはゼロと同じ魔のモビルスーツであった!〉 こうして、トレーズに託される形で一端エピオンはヒイロの手に渡る事となりますが・・・コイツが積んでいる“システムエピオン”もまた厄介極まる仕掛けでして・・・。 〈新機動戦記ガンダムW第34話「その名はエピオン」〉 そして因縁のウイングゼロの方も、トールギスから乗り継ぐ形にゼクスの手中に収まる事にはなったものの。 ヒイロにせよゼクスにせよ、相性が悪過ぎる初陣を強いられる羽目となるのです。 #
by zendam
| 2025-08-10 16:56
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 終わりの見えない絶望に疲れ果て、機械仕掛けの悪魔に縋ってでも答えを乞うても。 腐っても悪魔であったせいで、誠実かつ残忍な回答を返すばかりであったのが、ゼロシステム及びシステムエピオンでした。 何処かの誰かを葬り去れば全てが丸く収まる等、今時フィクションですら許されない沙汰と言えるものであり。 上辺だけでは無い、複雑に絡み合う事象を緻密に計算し尽して、独りと一機風情では何をどうやろうが、平和等訪れる事は無い。 それを認めて、あくまで目的の為の道具として用いる事が出来る狂人あるいは超人で無くば、完全に手に余るシステム。 ヒイロとついでのルルーシュがそれを為せたのは、それに加えて己の生命すら賭け得る者、あればこその話だったのでしょう。 『死神が地獄から舞い戻って来たぜぇぇぇ!!』 今話は冒頭のダイジェストを除けば、一切ヒイロ達の関わりが無し。 代わりにデュオにカメラを向け続ける構成は、私個人としては大変好ましいものと鑑みるものです。 話に集中できると言う意味では非常に誠実な構造と言えましょう。 そのデュオは、月面基地脱出からこの方相棒デスサイズヘルの完成を目指していた形でした。 『凡そ8割か、まぁ残りの調整は大した事無ぇな・・・さてと撤収するか!』 脱出時に7割、現状でも8割程度と低く見積もって居ましたが、それでもリーオー如きを並べた所で皆殺しに出来る出鱈目なスペックを有していたものでした。 このガンダムは強靭さに関してはウイングゼロにすら匹敵するものがあり、肩部から伸びたフレームに前後脇に取り付けられた、装甲兼バインダーはビルゴの砲撃すら弾くレベル。 当然コレもまたステルス性能が強烈であり、ハイパージャマー(腰部肋骨状パーツも“リブ”と言う補助システム)を展開されれば殆どのモビルスーツでは察知不可能。 〈オペレーション・ノヴァ。豊富な月資源によって生産されたモビルドールビルゴは、地球の反乱勢力鎮圧に向けられ、作戦は順調に進んでいるかに見えた〉 唯武装に関してはオリジナルとの差異は然程では無いものの、その分大型化及び威力の倍化が著しいもの。 大型化した棺桶型バスターシールドは勿論、ビームサイズは刃を2枚としたツイン仕様となり、一層の破壊力を得ているものでした。 『馬鹿者!遭難等では無い、これは破壊工作だ!恐らくガンダムのな・・・』 デュオはデスサイズヘルの隠密戦闘能力をフルに活かし、月面でのビルゴ生産に支障を来すレベルでの通商破壊作戦を成功させていたのです。 (このコクピットは、宇宙の弱点を曝け出す) 何分トレーズを排してしまったOZには伝統も矜持もあったもんでは無く、只々力を振りかざす事に酔いしれる様なカスばっかりが悪目立ちするものでした。 『ここからだ・・・っ?!腕が、動かん?!うあぁぁ?!』 結果的にヒイロ達を取り逃したトラントも例外ではありませんでしたが、コイツはコイツで邪道を突き詰めた果てに潰えた方なので、まだマシです。 (何故あんな幻覚を見るのだ・・・奴等も幻覚に振り回され、暴走したのか?シミュレーションでは無い実戦データがあれば何か解る筈・・・) 最早この頃ともなれば、ウイングゼロの可能性を理解しないツバロフに対しての、明白な叛意を隠そうともせず、モビルドールと艦艇を勝手に持ち出して好き放題検証を重ねている始末でした。 (宇宙にはまだ、月面基地から脱出したガンダムのパイロットが二人いる・・・) ・・・唯この男がゼロシステムの探求を真摯に果たしていた事は、不幸な事に事実でした。 『ふ、何方でも構わん!必ず見つけ出しデータを取る!そうすればツバロフ特佐をも説得出来る筈だ・・・』 未だ人の手に余るシロモノであると言う認識はあろうが、その先に革新があるものと思い違って一線を踏み越えてしまった事で。 トラントの命運は尽きる事となったのです。 『おいおい!中身見なくて良いのか?!』 『えぇ・・・奴等の支配が完全になれば、儂等なんてやっていけん!それまでにお前さんに頑張って貰いたいからなぁ・・・へ!』 『はぁ』 その傍らでデスサイズヘルの完成度向上の為、ちまちまジャンク屋紛いの事をやっていた様ですが・・・。 『必要なら“弾も用意する”、“何時でも”・・・いいな!』 『あの親父、代金受け取らずに行っちまったぜ』 もしかすればこの辺りから、“抵抗組織”辺りの目こぼしもあったのやもしれません。 ・・・気に食わないし上手くいかんにしても、目晦ましや時間稼ぎには最適と。 『駄目ねぇ、新しい輸送計画の情報は無いわ』 『OZだって馬鹿じゃ無い、警戒を強めたのさ・・・ここらでバルジでも叩きたいとこだけど、まだまだ先になるなぁ』 そうで無くとも、変節を繰り返すOZへの態度に関しては、段々と訝しがる様子も出て来るもの。 『デュオはこのまま独りで戦い続けるの?』 『他の連中は何処で何しているか分からないからな、俺は俺でやるしか無いさ』 無事だったヒルデ等すっかりデュオの片腕気取りで細々手を回してくれています・・・いや彼女みたいなのが居ないとデュオは無理しがちでしょうから、感謝こそすれ逆怨みせんでも(お 『あ、あれは・・・ガンダム?!』 『動くな・・・デュオ・マックスウェル、大人しくついて来て貰おう。逆らえば今此処で死ぬ事となる』 ・・・尚トラントの身の上に関しては後付けや解釈違いもあって色々複雑な所もあります。 『あー好きにすれば良いさ!だけどそのビーム砲は強力だぜ?このコロニーが吹っ飛んじまっても良いんなら・・・』 『構わんさ』 『何?!』 『こんな所どうなろうと俺の知った事では無い・・・私は唯の技術士官で終わるつもりは無い、このガンダムのシステムさえ解明出来れば、ツバロフ特佐のモビルドールも、時代遅れの無用の長物となる!』 初期案を下地にしたコミカライズ版によってはヒルデの幼馴染であり、昔から上昇志向ではあっても彼女への気遣いが出来た頃もあった・・・とされていましたが。 『新しいOZには新しいシステムが必要だ、その為にはどんな事でも私は行う・・・さあこっちへ来いガンダムのパイロット、用があるのは“お前だけ”だ!』 本アニメ版では忘れて良い事です(酷 それより問題は、この男がヒイロの養父にしてリーオー実用化の立役者、セイス・クラークの弟と言う話があったり無かったり。 ・・・どうにも本シリーズの外伝とかは話の理解や肉付けに役に立たないと言うか、半ばノイズになりかねない所が大変多い。 まあ火星云々のアレコレに比べりゃ些事ですがね?! 『えーい妙なモンくっつけやがって・・・俺に何をさせようってんだ?!』 『このウイングゼロでモビルドールと戦闘して貰う、勿論実弾でな』 愚痴はさておくとして。 すっかり悪魔の下僕、もといゼロシステムの求道者に成り下がってしまったトラントは、己では荷が重いとあっさり変節し、ガンダムのパイロットの更なるデータを求めてデュオを探し当ててしまったのです。 『無理だな』 『え・・・』 ・・・輸送船団毎潰し回るド派手な立ち回りでも、今日までデュオは尻尾すら掴ませて居なかったのです。 『ウイングゼロは外部から機能を停止出来る様にしてある、更にお前が少しでも妙な真似をすれば、モビルドールの攻撃目標はあのコロニーに為る様にセットしてある』 『く・・・!』 唐突に思えるかもしれませんが、それだけこの時のトラントが、ゼロシステムを使いこなせていた・・・もとい“使われていた”事の証なのでしょう。 (この位置でライフルを使えばコロニーに被害が出てしまう!ここは・・・!!) 『ふふふ、そうだその調子で戦え、お前の目に何が映るのかを見せてみろ!』 コロニーすら盾に使ってのテスト強要には、デュオも何も出来ず従う他無かったのですが・・・実際に乗ってデュオもウイングゼロの恐ろしさを味わう事に為ります。 『ば、馬鹿な?!』 『矢張りお前にも見えるのか?ならば答えろ、ウイングゼロはパイロットに何を見せようとしている?』 『解るかよ?!こんなもん・・・?!』 前段階のトールギスであれば、ゼクスが生還出来た様に僅かな躊躇いがあれば素直に機械として応えて、退く事も許してくれる。 『う?!あ、あああ・・・あぁ、あアぁぁぁ?!』 けれどもウイングゼロはそれすら許さない。 何としてでも勝つ他無いのだと、ありとあらゆる選択肢を示して選ぶ事を強制して来るのです。 『嗚呼ぁぁぁぁぁ?!』 ・・・ゼロシステムとは、超高度な演算機能を用いての疑似未来予測を可能としているのです。 コクピット内のパイロットの仔細から、胸部センサーから収集したデータに加えて・・・通信可能範囲に存在する電子機器内蔵の制御チップから、様々なビッグデータを取り込んだ上で答えをはじき出して来る。 ・・・ちなみにこのチップは若かりし日のドクターJの特許品で、極めて高性能かつ代替不可能レベルの基幹装置であり、ほぼ全ての作中文明圏をカバーしているのだとか。 『何て事を?!俺は一体何て事を・・・?!』 問題はそうした演算結果を反映させるべく、パイロットに対しての働き方が物凄く直接的なのです。 DG細胞とか「ナイトロ」の様に勝手に乗り手を造り替える程無法では無いにしても、それに匹敵する程度には危険です。 搭乗者の脳内物質分泌を欺瞞させた上で制御し、肉体の限界を機械的に“誤魔化す”様な真似はまだ序の口。 ゼロシステムは効果的かつ確実な結果を導き出す為に、無理かつ容赦の無い答えを突きつけるものであり、そこには周りの誰かはおろか、己の生命すら考慮に入れてくれない。 デュオもまた、ゼロシステムが示した死の演算結果に抗う事が叶わず、ヒルデが残る筈のコロニー毎MDトーラスを消し飛ばす悪夢に惑わされたものでしたが・・・流石にそこは死神の相方。 『あ・・・そ、そんな・・・』 脳裏とは裏腹に肉体はデュオの魂が希う通りに、辛うじてコロニーへの被害抜きで目標を全滅させて見せています。 『こ、こんな事、人間に出来るもんか・・・』 『出来るさ?出来る筈だ・・・人間の意識を改革、いや新しいソレへと“改変”させる、画期的なシステムに、不可能な事等無い』 しかしそうした手本があろうが、所詮は凡夫にして悪魔の走狗に成り下がったトラントでは何の参考にもなりませんでした。 『やってやる、私はやってやるぞ!』 『止せ、トラント・・・そのシステムは・・・』 業を煮やして(逆にここまでは待つ辺り多少御優しい)ウイングゼロの始末をつけに来たツバロフの手勢を。 『まだだ!まだ全てが見えない!さあ来いどんどんかかって来い!!』 デュオを放り捨てて嬉々として殺しに向かう辺り、最早奴の正気は完璧に喪われて居ました。 〈止めてデュオ!その身体じゃ出たって戦えないわ?!〉 『心配すんなって、俺はガンダムのパイロットなんだぜ?!』 追って来たヒルデが止めるのも他所に、デュオはデスサイズヘルで阻止を試みるもの。 (あのシステムは人間に扱えるシロモノじゃ無い!何としても止めなきゃ・・・!!) ・・・流石にアレは人の終わり方としては下も下であると。 『広がって行く・・・私の意識が広がって行くぞぉ?!もう少しで全てが見えるぅ、もう少しだぁ!ハハハハハハ!!!』 唯追手を殲滅した後のトラントは、確かにシステムを使い・・・。 『まだだぁ、まだ足りない・・・まだ足りないぞぉ?!』 『止めろぉ!!』 もとい使われているもので。 『くうっ?!何てスピードだ?!』 『見える、お前の動きが手に取る様に見える・・・“お前が死んで行く姿”までもな!!』 『ほざくなぁ!!』 技量では遠く及ばない筈のデュオを翻弄する程でした。 『パワーでも向こうが上かぁ?!』 唯、だからと言ってゼロシステムの僕に為り切れた訳でも無かった為。 『はははは!終わりだ!お前は此処で死に!私は栄光を掴むぅ!!』 ―それはどうかな? 『何?!』 ―相打ちって手があるぜ? “いざともなればガンダムのパイロットなら自爆する”と言うヴィジョンに翻弄されてしまった。 『お前が負けるとしたら俺じゃ無い、ウイングゼロに負けるんだ!』 『私が負ける筈が無い!!』 『まだ解らないのかぁぁぁ!!』 もうこの頃には正気を保つ事も出来ず、ツインバスターライフルの斉射をバスターシールドで相殺された際のショックで機体制御喪失。 『私は負けない!負ける筈が無い!こんなシステムぐらいでこの私が・・・あぁぁぁぁ・・・!』 当人はその衝撃で息耐えたか・・・どうあれ二度と姿を見せる事は無くなります。 『人間にはそんな事出来やしないぜ、もし出来る奴が居たとしたら、ソイツは“人間を超えた存在”だ』 コミカライズ版では更に悲惨で、ヒルデの必死の懇願もあってデュオは救命に励むも・・・気付けばトラントは限界を迎え静かに事切れていた形。 デュオの絶叫だけが虚しく響く顛末と相成って居たものでした。 〈ゼクス・マーキスが再び仮面をつけ、ロームフェラのモビルドールを粉砕して行く!この行為を苦々しく思ったデルマイユ侯爵はリリーナを呼び、ミリアルド・ピースクラフトでは無いかと問い正す〉 ともあれ、デュオを含めた他の面子は、ヒイロ達と合流するのはまだまだ先となります。 〈一方財団のトレーズ派殲滅作戦を察知したヒイロは、独り最も死の確率の高い戦場に向かっていくのであった〉 尚その間にもゼクスはまたぞろトールギスで暴れていた形ですが、流石にこうもド派手に動いちゃデルマイユとて黙りはしない。 〈新機動戦記ガンダムW第33話「孤独な戦場」〉 何と言うか、何もしない訳にはいかないのは解りますけど、大分世の為他人の為に動こうとすれば空回りになってしまう・・・シャアと違ってその星の巡りの悪さは不憫ではあります(お #
by zendam
| 2025-08-03 15:50
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