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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 綺麗事が過ぎる事はリリーナ本人も痛感している事であれ、実の所本気でサンクキングダムの存在は、厄介なものとなりつつありました。 旧連合・OZ共に武力による弾圧は行って来たものですが、多少の手緩さや容赦、そして見せかけだけでも酬いをちらつかせただけ、まだまだケジメはあった方だったのです。 それが服従か死かの二択しか寄越さない相手等、マトモに相手する事自体を避けて当たり前なのです。 こうなって来ると増々トレーズ派の勢力は衰える所か維持され続けるものであり、裏ではもっと厄介な奴“等”に人も資財も盗られて続けてしまって居た。 その辺の沙汰を後からヒイロ達が処す羽目にはなりますが、今は唯リリーナ共々混迷の世界に挑むばかりの頃合いとなります。 『リリーナ様は校舎の理事長室で御待ちです』 『此処からは僕達だけで行きます・・・僕も嘘は苦手ですが、パーガンに嘘をつかせる役は似合いませんからね』 『俺は付き合わない。ガンダムを返して貰いさっさと此処から出て行く』 今一度己の進む道を探りたいと願うカトルとは違って、ヒイロはウイングの回収さえ果たせれば直ちに立ち去る所存でした。 『駄目だよヒイロ、この国にはガンダムが必要なんだ!そしてその事は秘密にしなきゃいけないんだよ?』 『“リリーナは”ガンダムを必要として居ない』 それはリリーナが掲げる完全平和主義に、迎合するつもりは無かったからではありますが、決して理解をしていない訳では無い。 『でもプリンセスを守るには必要なんだ、解ってあげて?ヒイロ・・・』 寧ろその理念を前にして、何より己の存在が邪魔である事を理解していたからに他ならなかったのです。 兵士として、兵器としての役目を期待されて今日まで闘って来た己は、やがてはリリーナの目指す世界にて淘汰されるべきものと鑑みていた様ですが。 『お優しい方じゃ・・・』 真っ当な兵士は人間しか為れず、兵器を効率運用出来るのもマトモな兵士だけなのです。 それらを正しく用いる事が出来ないならば、平和等永久に訪れる訳も無いのです。 全てを機械任せ等と言うのは、正に論外の所業なのですから。 『サンクキングダムにガンダムのパイロットが居ては、不味いんじゃないか?』 そしてリリーナも、戦い殺し合う者が全て愚かなのだと、驕るような女でも無し。 『態々公言する必要はありませんが、逃げ隠れしたって問題は解決しません・・・それに、この国に戦いはありません。だから此処では、貴方も唯の男子生徒です』 と言うかレディ・アン相手に立派に殺り合った仲なのですから、蚊帳の外に置くには些か獰猛過ぎると言うか(コラ (リリーナ様!この運命的計らいの英断に、心から称賛を贈るわ!) 唯当人の自認としては、唯のお為ごかしを並べたがる小娘なのだと、大分過小評価気味であり、なればこそ武器を置いて語り合える、今のヒイロとカトルとの学び合いの機会に関しても、惜しむくらいはしたのです。 『女生徒ばかり・・・男は話し合いだけで全てを解決するとは、思って居ないんだろうなぁ・・・』 『男と女の差では無いだろう、女でも戦いの好きな奴は居る』 集めた各国の子女に借りを作る形になっても、未だ消息不明のトロワの行方を探ったりしたのもその一環でした。 『よろしければ御相手願えますかしら?』 ・・・まあそれでもヒイロの気を引く事はやや難しい所がありましたが、今度はドロシーの方が嫌な絡み方をして来ます。 『貴方の紹介は伺ったけど、私はまだ自己紹介をしていないわ・・・私はドロシー・カタロニア、ロームフェラ財団幹部の血縁者です・・・でもリリーナ様は学友として迎えてくれたわ』 ・・・と言うか彼女、戦士が御遊戯だろうと戦いの場では。 『貴方とも仲良くしたいの、その為には強く無くては駄目ねぇ・・・嫌いでしょう?“弱い女の子”は!』 素直で饒舌になりがちな所を良く心得ているもの。 『ある所に、同じ名前の人が居ました、その一人は宇宙を平和にするために生命を懸け、そして宇宙の伝説となりました・・・多くの人は彼の死を悲しみ、“怒りを以て復讐を誓い”ました・・・』 OZでの情報統制によって、今知る術は困難な筈の、指導者ヒイロ・ユイを引き合いに出しながらヒイロの立ち位置をオペラめいたキザな調子で問うものですけど。 『そしてもう一人の同じ名前を持つ者も、伝説となりつつあります・・・彼は最高の才能と力を持つ戦士です!平和の為に矢張り戦うのでしょう・・・その彼もまた伝説となる為に生命を落とすのでしょうか?!』 彼女、ヒイロが多少加減をした程度では引き下がらない程度にはフェンシングの心得があり。 『駄目よ?伝説の騎士(ナイト)はワザとやられたりはしないわぁ・・・逃げ隠れする為に婦女子に負けるなんて事は、絶対に駄目・・・強く!気高く!激しく生きて・・・死ぬのはそれからで良いでしょう?貴方はもっと大きな伝説を創れる筈!そうでしょ、ヒイロ・ユイ?』 しかも反撃で面を貫徹されても涼しい顔で居る等、流石トレーズの姪っ子と言うだけあるクソ度胸を発揮しております。 『ふ、流石だわ・・・でも私も結構やるでしょう?ヒイロ・・・』 『俺にはお前の言ってる事が理解出来ない。どうやら俺以外にヒイロ・ユイが二人いるらしいな・・・』 ・・・周りの子女もちっとも慌てて無い辺り、矢張りこれしき貞女の嗜みでしか無いのでしょうか(お 『ふふ、自分の正体を隠すと思って居たわ・・・これでずっとサンクキングダムでご一緒ね?よろしくヒイロ・・・』 そしてその嗅覚も大分確かなもの、と言うか堪え性の無い祖父デルマイユの性質をよくよく見切って居た方でした。 『ロームフェラ財団がサンクキングダムを疎ましく思って居る事を私も知って居ます。でも怪我人を突き出す様な真似は出来ません・・・混乱を避ける為に人の道を外したくはありません、解って下さい・・・ノインさん』 『解りました、トレーズ派にそう連絡をします』 今回は、サンクキングダム国境までトレーズ派部隊を押し込んだ事を口実にして、領域侵犯及びそのまま首都へと武力行使まで目論んだ、大分雑な企てが進行していたのです。 『隊長!その御身体ではとても国境越え等出来ません!』 『黙れ!トレーズ派の名を“汚さぬ為”にも、我々は此処を立ち去らねばならんのだっ!!』 『・・・矢張り我々の為にサンクキングダムに弱みを作る事は出来ない・・・プリンセスの御心遣いだけ頂いておく』 指揮官を含めて負傷者多数となり、戦闘継続も不可能な状況に陥りながらも・・・武装解除してのサンクキングダム亡命の提案を拒絶。 自らの存在そのものがロームフェラ財団の口実に用いられる事を嫌い、その場で果てる事を選んだのです。 『見殺しにするしか無いとは・・・赦せ・・・この国の、いや未来の為だ・・・っ!!』 ・・・本当にこの作品は、時折なけなしの善性を発揮する者達が輝くものですが、それで一花咲かせてやって御終い、とは偶にはならないものでした。 『トレーズ派を市街地へ追い込め!被害を大きくする事で、平和主義の無防備さを露呈させるのだ!』 と言うか、ここぞとばかりにお節介を仕掛けるからこそ、ヒイロが主人公として目立つもの・・・まあガンダムそっちのけな所多数なのはさておいて(オイ 『こんな力があるから、人は戦う事を考えてしまう・・・硝子細工の様に脆弱な平和にしがみ付きたいから・・・あの方ならきっとそう仰る・・・』 『でも今こそ戦わなくてはなりません!ヒイロが動きました、ヒイロの行動はきっとサンクキングダムの為に為ります!』 ヒイロに限らず、あちらこちらで立場を超えた戦いぶりを発揮した事で、AC世界における“ガンダム”とその“パイロット”の威光は増々強まって行く形となります。 『自爆か、それも良いだろう・・・しかしこの国の為を想っての死ならば、もう少しその命に使い道がある』 『我々の使い道だと?』 『この無防備過ぎる国を守るつもりは無いか?』 ヒイロはウイングガンダムの回収のみならず、サンクキングダム地下に隠匿されていたモビルスーツを数機拝借し、トレーズ派に提供したのです。 『対空戦だ!今の所此方が有利だっ!!』 ・・・それは純白に彩られた「トーラス」。 ノインが密かにサンクキングダム防衛用装備として調達していた機体であり、大気圏下での行動も可能とする若干の改良が施されていたものでした。 スペック的にはビルゴと相対するには不足かと思いきや、実の所初期型ビルゴでは機動性能が遠く及ばず、加速さえかければ引き離せる宇宙空間とは違って追随不十分。 そして不意をつける程の長射程のビームキャノン、取り付けばプラネイトディフェンサーを破ってビルゴを殴り殺せる程度には格闘戦も出来ると、中々に馬鹿に出来ない戦力で在り・・・今後もトーラスそのものは“あちこちで”姿を見る事となります。 尚白いトーラスとノインの組み合わせはガンダムに匹敵と言うか、ヒイロ達共々ありとあらゆる戦場に客演したものです。 ヒルデも巻き添えにして火星極冠で蜥蜴を狩り尽したり、テロ野郎やハレンチ野郎がペシャンコになるのを尻目に「BM3」死守に勤しんだりとか(マテ 『あれは?!』 『ガンダムだっ?!』 ともあれ。 トレーズ派が己の尻拭いを命懸けで果たした上、久方ぶりにウイングで奇襲を仕掛けられるともなれば、卑劣な侵略者共は直ちに火達磨になる以外に道はありませんでした。 『危ない!ドロシー止めて!!』 ドロシーに誘い込まれたリリーナがあわやな所もありましたが、それすら慌てずフォロー出来る程度には、ヒイロも余地が出て来るものでした。 『この様なものはサンクキングダムに必要無いと、リリーナ様は仰るでしょうが・・・ロームフェラの行動は日増しに圧力となって来ています』 これを含めて、リリーナは己の振る舞い全てが試されている風に覚えていた事でしょうが、それで折れる程彼女もヤワなヒロインでは無い。 『リリーナ様の御考えに反している事は承知。しかし私は、防衛力を持たなければ殺られるという考えに至りました・・・全ては私の一存、如何なる処分も御受けいたします』 ・・・そこに気高さを覚えるのはドロシーみたいな厄介ファンのみならず。 結果的に命をしのいだトレーズ派将兵も同様でした。 『何も反省する事は無い。ロームフェラ財団と正面切って戦うにはこの程度の戦力では少なすぎるくらいだ・・・黙って殺られる訳にはいかないだろう?“過去の指導者の様”にはな』 それに支える忠臣が傍に、理解者が遠くからでも飛んで来るのです。 正しく現在の神話・伝説の類が彼女達の元で紡がれている真っ只中と言えました。 『ヒイロ、私の考えは夢?それとも過ちなのでしょうか?』 『ロームフェラ財団は、自分達に不都合なものを次々と消していく。宇宙コロニー、ガンダムと・・・そしてリリーナ、その対象がお前になったのだ』 と言うよりも、ヒイロも前話で叫んでいた様に、リリーナもまた別の手段をもって戦う存在なのだと、強く認識していた形です。 『俺は兵士だ、戦う事で奴等を潰す・・・しかし戦闘を拒否する態度が今の財団の動きになって居る・・・時代は急速に変化した、ロームフェラ財団の焦りが、この戦闘の全てだ』 唯より上等な意味で、等と余計な気後れを覚えているのも確かな所で。 『完全平和主義か・・・世界は、その方向に向かって居る・・・ノインの考えも理解してやる事だ、今は防衛も必要だ・・・“論じ合える時間を守る為”にな』 命なんて安いもの、と言う認識は未だ残ってしまって居る部分はありましょう。 『ヒイロ?何処へ?』 『トロワの捜索分の借りは返した・・・俺は自分の考えのまま動く・・・俺の頭には平和主義は無い、ガンダムは戦う為に存在するのだ』 『貴方だったら、サンクキングダムをどうしますか?』 故にもっと効果的に己の命を費やすべく、ヒイロは戦い続ける道を選ぶ。 『ノインと同じだ、防衛部隊を創る・・・それが今最もロームフェラに対抗出来る方法だろう』 『・・・ヒイロ、ノインさん、許可します。貴方達の思う様に行動してください』 『リリーナ様・・・』 『私の一番身近に居る人達と、同じ考えになる事も出来ないで、世界に共通の考えは生み出せないでしょう・・・そして何時か見出します、何が皆を戦いに走らせるのかを』 それが己の本懐を遂げる唯一の道であり、リリーナの道筋を開く事にも繋がると。 『ふふふ・・・流石はリリーナ様!ガンダムのパイロットに決して負けて居ないわぁ』 無論それは開いてやる、なんてお優しいものでは無く。 互いが互いの活路を創り合う有様で在り特等席でドロシーはそれを目の当たりにしている訳です・・・今は。 『だから大好き♪リリーナ様が・・・♪』 程無く当事者ともなる娘だったりもしますからねぇ・・・。 〈地球に降下したヒイロとカトル以外のガンダムのパイロットは、宇宙に留まって居た。姿を隠しながら抵抗を続けて居たデュオにOZが迫る!〉 その頃デュオは何を仕出かしていたか、と言うのが次話となります。 未完成状態のデスサイズヘルをちまちま現地調達で賄って居たデュオだったものの・・・そこにすっかりウイングゼロに憑りつかれたトラントの影。 〈調整中のガンダムデスサイズヘルの前に、ウイングゼロが攻撃を仕掛ける!その戦いの中でデュオは、ウイングゼロの性能にある疑問を持つのであった〉 常日頃死神を気取って居たせいか、機械仕掛けの悪魔の餌を横取りする事は叶わなかったものの。 〈新機動戦記ガンダムW第32話「死神とゼロの対決」〉 カトルやヒイロに続いて、彼もまたゼロシステムの持つ危険性をその身で味わう羽目になってしまうのでした。 #
by zendam
| 2025-07-27 16:35
| レビュー
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 全てに白黒つけようと急いてしまう事は、早死にへの近道にしかならないものです。 世の中灰色で曖昧な箇所もあるものであり、ある程度の折り合いをつけて他に意識を向ける方がよっぽど合理的で建設的な有様と言えましょう。 悲しいかな、何十年も支配者を気取って居たデルマイユにはそれが出来なかった。 もっとも、容赦や油断の果てに喪った者の事を鑑みれば、生きてるうちにケリをつけたいと言う、強欲が湧いてくるのも無理からぬ話でしょうが、それでも余りに無謀な真似であった。 ある意味連合統治下よりも情勢が悪くなる中では、リリーナが唱える夢物語にも等しい完全平和主義も、縋るべき藁、荒波に浮かぶ僅かな木片程度には・・・手を伸ばされつつあった事は当然と言えました。 〈ロームフェラ財団は、地球を統治する為、無人稼働のモビルドールを主戦力とする新生OZを創り出した。トレーズ・クシュリナーダが財団の合理主義に反抗した為、その権力の全てを奪われる等、組織形態に変革はあったが、モビルドールの高い性能によって、支配地域を躍進的に拡大して行った〉 如何に軍事力を盾にしているとは言え、旧連合にせよ旧OZにせよ、一定の統制の元に必要限度までの介入・行動に留めて動いていた方でした。 それが軍事ドシロウトなデルマイユ共が舵を握った途端、何の遠慮も無く闇雲に戦禍ばかりを広げる愚策を連発してしまったのです。 〈宇宙コロニーが財団を受け入れた為、完全に孤立したガンダムのパイロットには抹殺指令が出されている・・・彼等にとって、歴史の流れは逆流し続けるのであった〉 迅速な戦力展開を可能とするモビルドールも、更にその過ちを加速させた形です。 人にせよ武器にせよ支度が必要なものであり、それらの予兆を察知あるいは敢えて見せびらかす事で恫喝し、屈服ないし譲歩させる事も出来ようものを。 犠牲も然して頓着しないで済むものだと、大雑把に味方以外を全て焼いて回った事で。 トレーズ派を初めとした反動勢力は、一層意固地となって抵抗を続けるものであり、宇宙ですら密かにそんな兆候が蠢いていたものでした。 『レッド1か?!』 斯様な混迷の最中に合った地球において、ヒイロは自らトレーズ派に潜り込んで無軌道に暴れ回るものでした。 (無茶だよ・・・無茶苦茶だよヒイロ!これはOZの内紛だ、強引に参戦しても標的になるだけだ!) (標的か・・・結構だ。ガンダム関係者の抹殺指令が出ている。生きている事をロームフェラに示し続けてやる・・・これが俺の抵抗だ) 一戦闘単位としてでも戦い続ける事で、抵抗の意志を示すと言うのは、健気ではあっても大分些末な有様とは言えます。 『怯むなぁ!!野良犬の意地を見せてやれぇ!!』 ・・・まあ御大層な大義を掲げて大量殺戮仕出かす事と、破壊工作の巻き添えで“子供と子犬”を殺めてしまう真似との差異は、然して無いものと鑑みているでしょうがね。 (本当に・・・本当に此れで良いの?ヒイロ?) どちらにしても、それを為す己共々屑だと。 唯その意味で一回どん底まで墜ち切ったカトルは、強かと言うか大分フラットな考え方が戻って来ており、大袈裟に考え動くよりも先に、今己が何を為すべきなのかを探り出して居ました。 『誤解だ!儂は何も言ってねぇ!』 『黙れ!OZなんか勝手に潰し合えば良いと思ってんだろ?!』 ヒイロと離れ訪れた市街もまあ荒れているものであり、現地のOZがトレーズ派の接近に対して、効果的な対応が出来ているとは極めて言い難い所。 『ふ、完全平和主義かぁ』 『そうです・・・この地域は平和を得る為、軍事活動の参加は拒否します!』 何度も言いますが、腕と気合いと思想が極まった奴等はトレーズ派に回っており、残った奴等なんぞ残りカスと言うか・・・大分情勢に置き去りにされて士気も散々な有様。 『此処のトレーズ派は、旧体制時この国の防衛に務めたOZだ、それが今反乱分子となって抵抗をしている』 『それはOZの内部での争いです!我々には関係無い!!』 兵隊がこれでは一般市民の心情等どん底に近く、OZ共の内ゲバなんぞ誰もが冷ややかに見る中、寧ろ武力に阿った今日までの有様が宜しく無かったのだと、今更ながらサンクキングダムと完全平和主義に一縷の希望を覚える者まで。 『都合の良い平和主義ですなぁ・・・駐屯軍が邪魔になれば今度は完全平和主義を掲げる・・・軍人は自国の市民を護るのが任務、言うなれば邪魔者扱い・・・トレーズ派にも僅かながら同情もしたくなる!』 時代がピースクラフトに追いついて来た、等とは軽率に考えるべきでは無い事でしょう・・・。 そうした中、ヒイロを筆頭としたトレーズ派部隊は、OZ共の防衛戦を食い破って進出成功。 『ヒイロ、駄目だよ・・・こんな戦いをしてちゃ、僕達は駄目になってしまう・・・!!』 レッド1だのとコードネームまで寄越される程度には、ヒイロの腕前はアテにされており、自らガンダムパイロットと風潮しながらも、話半分で聞き流されるくらいに、重用されては居た模様です。 『避難勧告が出てないのか?!』 しかし相変わらずヒイロは兵隊としての素養は無い。 『・・・任務変更だ、此処を押さえる!』 〈何!?何を言って居る?!〉 『此方はガンダムのパイロット!これより敵機動部隊を殲滅する!!』 勿論人間としては尊敬に値する慈悲ある者で在り、市街地に避難勧告が発せられて居ない(司令官も避難していない為唯の怠惰にして油断)事を確認し。 『・・・民間人、避難確認』 強引に民間人を庇いつつ殲滅戦を試みたせいで、進撃不可能となり退いております。 『完全平和の考えで軍備は必要ありません・・・全ての世界にこの考えが広まるまで、此処サンクキングダムは“決して安全な国では無い”のでしょう』 ・・・本来なら、斯様な甘くも優しい男にこそ、完全平和主義の世の中が必要なのでしょうが。 『その様な現状の中、多くの国家の明日を担う皆さんと、一緒に学べる時がこんなにも早く迎えられた事に喜びを感じて居ます・・・この世界から少しでも早く戦争が無くなる方法を、一緒に考えて参りましょう』 何せ他でも無いリリーナが実現困難と、きっちり現実を見ている方でした。 それでも何時かは目指すべき理想なのだと起ったものであり、それを支える有象無象の支援もあれば、近隣国から子女を送り込んでの啓蒙・理解を試みる様な真似もしている方でした。 『・・・御利巧さぁん』 『ドロシー、何か?』 『とても素晴らしいと思います、この世界が皆リリーナ様だったら、直ぐにでも戦いを愚かな事と考え、この世界から戦争は無くなりますわ・・・でも皆がリリーナ様だったら、リリーナ様の素晴らしさは目立ちませんわね?』 ・・・故国が危ないので疎開めいた性質もあったのかもしれませんがそれはさておき。 『ドロシー、私も自分の言って居る事が“少し綺麗事”の様に思えます・・・でも愚かな行為と皆承知している戦いを、何故してしまうのか・・・答えは直ぐ出そうな気がしていますわ』 『リリーナ様、私は何故戦いが無くならないか理解しているつもりよ?』 『ドロシー、どう言う事?』 『人は戦う事が好きなの、そして戦う事で本能を満たすのよ』 その真っ只中でドロシーは随分浮いている所はありましたが、何も間違った事は吐いて居ないと言うか。 『結果的に多くの生命を喪うわ』 『リリーナ様・・・私は“結果”に興味が無いの、結果何て“放っておいても出る”ものでしょう?行動する事が素晴らしいの!戦うと言う行動が、人の持つ最高の魅力何だわ!』 今日までの人類史に対しての、真っ当な・・・。 『人間は歴史の中で何度も何度も戦い続けて居る・・・戦う事が人間の生きていく目的の様に・・・だから私はこう考えたの、戦ってはいけないんじゃ無くて、戦わなくてはいけない・・・それが人間なんだって』 『私は別の考えを持っています。私達は過去の歴史の悲劇を、未来に繰り返さない事が出来る筈です』 いや真っ当“過ぎる”物言いをもって、リリーナとの議論に勤しむものでした。 『その聡明な考えも戦争には必要なの。歴史はそういう人物が命を狙われる事で大きく動くもの・・・リリーナ様、やっぱりサンクキングダムはこの時代のメインステージになると思うわ?』 事実、ドロシーが語る間にも各地で戦禍は広がる一方で在り、ヒイロが退きカトルが残って居た街でも遂に避難が始まっているものの・・・斯様な難民の間ですら、サンクキングダムの勇名は響いている程でした。 『そうですわ、リリーナ様!死なんか恐れないで・・・死は生まれた時に、既に与えられている“結果”なんですもの!』 正直、理想と現実の間に大きなギャップがある事については、ドロシーに言われるまでも無くリリーナも理解はしていました。 『・・・でも安心してリリーナ様、とっても役に立つ騎士(ナイト)がもうすぐ現れるわ・・・彼等ならきっと貴女を護り抜けるに決まっている!』 しかしそれで諦めて居ては何処にも進む事は出来ないのだと、彼女とて理解はしていたもの。 『・・・今のリリーナ様には御見方が多い程良いと思いましたのでお話します』 『何なのですか、パーガン?』 『ガンダムのパイロット、ヒイロ・ユイの所在が掴めました』 『ヒイロの?!』 一人の少年の戦う背を見てこの方、彼女もすっかり強かになれたものですが・・・そのヒイロの所在が知れるや否や、流石に平静を保つのが難しそうでした。 『ノイン殿が今、直接会いに行っております』 『地球に・・・ヒイロは地球に戻って居たの・・・?!』 『あの方もまたかなりお疲れの様子。ノイン殿はサンクキングダムに連れて来る考えでございます』 『ヒイロが、此処に・・・!』 ・・・何せ何時ものノインがお節介を仕出かさないと、さしものヒイロも危ない所でした。 『新型か、リーオーでは厳しいな・・・!』 OZ共は街の保全防衛を放棄した上で、陸送したビルゴをもってトレーズ派殲滅を試みてきたのです。 隊列も何も無く、唯一直線に行進しつつビームをばら撒く有様は、最早“死線”そのものが近付いて来る様なものであり、能力的にはもっと理不尽な輩は居ても、ビルゴと言う敵役を、良い意味で脅威に描いた一幕と言えました。 勿論、何をしても勝てない等と言うのは敵役失格です。 ビルゴはその辺巧妙なヒールで、頑張ればその辺のモブでも相打ちは出来る・・・かもと言う絶妙な弱点も存在します。 『ヒイロぉ!!』 まずプラネイトディフェンサーの出力は、メリクリウスの様に他機体を抑止出来る程では無い。 『ヒイロ大丈夫?!ヒイロ、僕達はまだ死ねないよ?僕達はサンクキングダムを守らなきゃ!』 故に肉弾戦を喰らうと対処出来ない場合があり、特に初期ビルゴは近接兵器が無く反撃手段すら存在しないのです。 『サンクキングダムを、守る?』 『そうだよそれが地球での僕達の仕事さ!』 サンクキングダムが人々の希望を集めている事を知ったカトルは、それを守り抜く事に意義を見出し・・・その辺のエアリーズをかっぱらって参戦して来たのです(汗 『何・・・これは、ヒイロのガンダムのビーム砲?!』 元気ねぇ君・・・とか言って居る間に、ノインが南極からこの方乗り逃げし続けるスーパーソニックトランスポータが飛来。 今回はウイングガンダムからバスターライフルだけを持ち出して空中投下しつつ、自らも低空飛行にて援護射撃して来るのですが。 〈ガンダムのパイロットなら使い方は解るな?此方も脱出を援護する!〉 この機体、南極の時もそうでしたが可動式レーザーキャノンなんて変わった武器を積んで居ます。 実はこれ、プラネイトディフェンサー特攻兵器。 一点突破のレーザー兵器は防御不可能の為、呆気無くビルゴを溶断して見せるものでした。 ・・・そしてたった数基ではバスターライフル斉射を凌げる訳も無く。 カトルのエアリーズから一撃をもって、この場のビルゴ部隊は粗方吹き飛ばす事に成功しています。 『そうか、リリーナ様に話したか』 ある意味死に損なう形となったヒイロではあったものの、ついついリリーナの事を意識するくらいには未練ではあるので、サンクキングダムで待ち構えて居た彼女を前にして少しは動揺を見せるもの。 『申し訳ありません、これでガンダムの存在をリリーナ様に気付かれる可能性が出て参りました』 『その時はその時だ、パーガン気にするな・・・あの笑顔の為なら、我々のこれからの苦悩など吹き飛ぶ事だろう・・・』 タラップの下で頬付いて、笑って待ち構えるリリーナも大分クセモノですが、あんまり茶化してもいられん事態です。 〈ヒイロとカトルは、リリーナが完全平和を掲げるサンクキングダムにその身を寄せた。しかしそこは決して安息の地では無かった・・・世界に広まりつつある平和主義を疎ましく思うロームフェラ財団は、巧妙な攻撃を仕掛ける!〉 唯でさえトレーズ派の猛抵抗を前に事を進められてないデルマイユ共にとっては、それを助長する様なサンクキングダムの存在は目障りであり、そろそろ放置も出来かねつつあった。 〈ヒイロ、カトル、そしてノインは、リリーナを守る為に立ち向かうのであった〉 それを阻む為とは言え、ウイングガンダム“その他”があろうが誤差でしか無かろうものですが。 〈新機動戦記ガンダムW第31話「ガラスの王国(サンクキングダム)」〉 だからと言って何もせずリリーナを害される真似等、赦す訳にはいかないものでした。 #
by zendam
| 2025-07-20 15:57
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 此処から本格的に新生サンクキングダムの興亡が描かれる事となりますが、この只中においていよいよリリーナのヒロイン気質が全面に出て来る事となります。 当人も翻って見ていた、世間知らずの小娘の姿等影も形も無いものであり、ヒイロとの邂逅をきっかけに急激に成長を余儀無くされた結果ではありました。 それでも斃れず歩み続けられたのは、何やかんやと彼女を支えんとする傑物が集ってくれたお蔭。 ヒイロもある意味筆頭とも言うべき存在ではありましたが、今話より登場のドロシーも中々侮れないファクターと言えました。 彼女、デルマイユの孫にしてトレーズの姪に当たるだけに。 聡明さの中にもエゴイズムを貫き通すだけの胆力を秘めているものであり、決して物見雄山気分でリリーナに姿を見せた訳では無い事を、今後決戦の折まで魅せて来る、名助演とも言うべき存在です。 これは縁ある者達にとっての悲願ではあったものの、その音頭を買って出たリリーナの思惑はまた別の所にあるものでした。 『我が国も平和主義を掲げ、無闇な抵抗は控えているのですが』 『確かに支配下に入れば平和は得られるのだが』 『それは真の平和等では無い、安易な抑圧に過ぎません。抑圧はまた新たな紛争を生み出すだけです』 完全平和を掲げながら何故滅ばなければならなかったのか。 その思想・理念を抱いて今一度何処に進むべきなのか。 『自由は全ての人に与えられた権利です。しかし“全ての自由が認められない”事も知らなければなりません。共和共存に必要なのは他人を思いやる気持ちです、決して戦う事ではありません・・・過去から学び、新しい正しい未来を創る事が、私達の仕事です』 『左様、此処サンクキングダムは、亡くなられたピースクラフト王の唱えた完全平和主義が根付いている国・・・我等の強い支えです』 『父の教えに従って居るだけで、私の様な者が失礼な言動をしている事は重々承知です。ですが、もっと多くの国や、もっと多くの人々が真の平和を得られる様、御力添え、よろしくお願いします』 『真の平和の為に!』 その姿勢は多くの人間に対して、共感と理解を与えるものとなりつつあったのです。 『私達の意志は固まって居ます。そのせいでしょう、時間がかからなかったのは』 隷属か抵抗かしか選択肢を絞るのでは無く、他の道を彼女と模索する事も叶うのではないか。 『別に私達は、ロームフェラ財団を嫌っては居ません・・・間違いを早く改めて欲しいだけです・・・多くの生命が失われる前に』 そう夢見てしまう程度にはリリーナの求心力は増しつつあるものであり、皮肉にも脅しでビルゴを並べて来たロームフェラ財団の嫌がらせすら、一層その動きを加速させるものとなっていたのです。 『ガンダムのパイロットは処刑命令が出ていますが?』 『処刑する事は簡単だ・・・我が国もロームフェラ財団の配下には入ったが、彼等の処分は保留したいと思って居る』 『戦争に、その優しさは必要なのかな・・・?』 『必要無い、戦う時にはな・・・しかしそれ以外の時間には必要なのだろう・・・今は戦う時間では無い』 『その時にならなければ解らない・・・唯無駄死にするつもりは無い』 『君達は強いな・・・我が国もロームフェラ財団の支配政策に参加こそしているが、疑問を持っている・・・無益な戦いを避ける為にこの道を選ぶしか無かったのだ・・・』 ・・・何処をどう見ても子供でしか無い両名が、ガンダムも抜きで単身現れても、直ちに害を及ばす気概が出て来なかったのです。 『俺達はロームフェラ財団にとって、邪魔な者としてのみ存在意味のあるガンダムのパイロットだ・・・自分の命を狙って来るものが敵・・・死にたく無ければ戦うだけだ』 何分ロームフェラ側も性急にやり過ぎたせいで、寧ろ服従を迫って来た連中への悪感情の方が勝る始末であり、ヒイロ達への沙汰も意図的に先送りにしてしまう所がある程でした。 『輸送機の中に何があるか確認出来るまで、私は大事な客人と言うだけでしょ?!』 唯モビルドールで横着を仕出かしてはいるものの、まだロームフェラ財団側も人間の軍隊ではありました。 拾い上げたウイングガンダムを輸送中のサリィを捕縛はしたものの、中身が確認されるまでとは言え監禁して来る程度のなけなしの慈悲もあった。 『誰?!』 『本当の事が聞きたい!海に沈んだのは本物?!』 ・・・直ちに殺しにかかったツバロフが冷酷であり仕事熱心が過ぎたのですが、こうなって来ると付け入るスキもあるにはある。 『ロームフェラ財団に対抗する為にガンダムが欲しい!同じ敵と戦う者同士、そんな取引がどうか判断してくれ!』 『では行くぞぉ!』 『その“パイロットなら”必ずロームフェラの野望を打ち砕くわ』 『ふふ、お互いガンダムのパイロットを知っていると、無茶な行動をついしてしまうわね』 『彼等に頼る事に問題はあると思う・・・しかし今彼等の力が欲しい』 『誰だって戦争なんかしたく無い、でも戦える力のある者は戦うべき・・・私はそう考えるわ・・・正義何て言葉は気恥ずかしいけど、あの事達にはその言葉が似合うと思うの』 言わず共その狙い所を察して意気投合しております。 『・・・本当はそれは悲しい事かもしれない、時代の英雄像を押し付けられるのだから・・・でも私は彼等について行きたい、そうする事で、誤った道に進む事は、無いと思うの』 そうした痕跡はヒイロ達にも知られる程でありましたが、何者かが未だOZ、もといロームフェラに抵抗を続けて居る事実は、ヒイロやカトルへの一定の焚き付けになった形です。 『此処の司令官も弱点を持っている・・・それは優しさだ、往くぞカトル』 『うん』 だからと言って空母及び護衛艦艇を2名で制圧とか、相も変わらずケタの違う戦いぶりを見せますがね(汗 『ありがとう伯爵!本当は逃げれば良いんだろうけど、僕達は戦ってしまうんだ』 『何処へ行っても同じだ、戦う事しか俺には出来ない』 『・・・哀れな奴等だ・・・』 勿論、此れが為せるのもモビルスーツが単座兵器としては破格の破壊力を有しているせい。 奪ったリーオーが背負ったドーバーガン(恐らく今話はビームカートリッジ型)一撃で、護衛艦が沈むレベルですからなぁ。 『本当はそっとしておいて欲しいんだ・・・でも、そんな事無理なんですよね』 ・・・後現在デルマイユ側が使えるOZ将兵の練度の問題もありましょう。 『カトル、戦いを忘れようとするからだ。地球が戦場である以上俺は戦う、そしてお前も戦うしか無いんだ・・・俺達はガンダムのパイロットだ』 思想も能力も尖った連中は、トレーズ派として出奔した後でしょうから・・・。 『戦場でしか生きる事が赦されない、戦いの中で生き残る事・・・それが俺達にとっての生きると言う事なんだろう』 『済まない、感謝する・・・私の名はルクレツィア・ノイン、私が仕える国の名は』 〈ノイン、良いの〉 何時ものパイシーズで奇襲を仕掛け、まず強靭なウイングガンダム目掛けて魚雷をぶち込みワイヤーをカット。 『サリィ』 〈私は別のガンダムを探しに行くわ・・・そんな情報でも入ったらまた応援に来て?その時は、パイロットが2、3人一緒だと心強いわねぇ〉 そして慌てるキャンサー共を丁寧に葬った上に潜水母艦に殴り込んで横っ腹から浸水させるとまあ、あんまりヒイロ達をとやかく言えない暴れっぷりでした(お ・・・本作の優れた傾向としては、何かとリーオーを使いたがるヒイロは無論、誰かしらがモビルスーツで活躍する場面が多めである事でしょう。 お蔭で多少話が難しくなろうが、ロボットが暴れてキャラクターが頑張っていると、感覚だけで見れる所もあろうものなのです。 ・・・まあ勿論画面の勢いだけで話を回す事は難しいので、此処に来て新しい見届け人と言うか狂言回しが増える事となります。 超巨大な金ぴかリムジンを自ら操る、同じく眩しいブロンドヘアの少女。 親類譲りの眉毛の自己主張が激しく無ければ、十二分に美女と言えるのですが・・・まあそれ以前に目の色が色々違う。 『どうして?パーガン?』 『ロームフェラ財団の中心人物、デルマイユ候の血縁者と聞きました・・・』 唯の目立ちたがりのお嬢様では決して無い事を、パーガン等も早くも危惧しているものでした。 『サンクキングダムのプリンセスが、学園の理事も為さっているとは存じませんでした・・・改めて、ドロシー・カタロニア、御尊敬申し上げます』 彼女の名はドロシー・カタロニア。 ロームフェラ財団の要請をもって、サンクキングダムに併設された学園まで編入された人物とされていますが。 『私独りではまだ何も出来ません。父の提唱した完全平和主義の勉強を、一緒に学んでいる所です』 『御存じの通り、私はロームフェラ財団から伺いました・・・財団は今、この戦乱の世の中で武器塗れです。サンクキングダムの方針に、私とっても興味がありますの・・・』 『もし、そんな連中が攻め込んで来たらどうするのかって?この美しい光景があっと言う間に無くなってしまう・・・そんな事を想う、豊かな心さえも奪われてしまう・・・誰だってそんな“野蛮な愚か者”に黙ってこの国を明け渡したくはありませんわね?そんな時、どうするのでしょうか・・・?』 パーガンは正直大分戦々恐々として、刺客か何かとすら危惧して居ましたが・・・リリーナはどちらかと言うとトレーズの姪である方へと感心を抱いて居た様です。 『リリーナ様、私も愚か者なんです!私は戦争が好き・・・大好きなの!こんな私はこの国に居たらお邪魔ですわねぇ・・・』 戦いを肯定し陶酔する様な人間であれども、何処かに理性によって強固な線引きを為しているかの男の親族。 『私の事はドロシーで結構です!リリーナ様・・・!』 彼女が身一つで飛び込んで来たのだから、己の為しうる作法を以て持て成さんとした事で・・・増々ドロシーの好感を得てしまった形です。 『それは駄目』 『え?』 『リリーナ様は時代の英雄(ヒロイン)、リリーナ様は私の憧れなんですから・・・』 彼女が憎むべき相手は居ないと言うか、余りにその範囲が広すぎるのです。 『早く戦争になーあれ!』 故に無差別で無慈悲な沙汰を、大分無遠慮に叫んでしまうのがドロシーの幼さであり諦観でもあった。 永年デルマイユがあれこれやった所で、奪い“奪われる”連鎖が止まる事は無いのだからと。 いっそ殺してくれても構わないと。 それで両親の元へ連れて行くが良いと、悪い意味で躊躇いが無いのです。 そんなドロシーもこれよりリリーナ達に揉まれて、戦後は良い意味で思い切り良くなっていくのですがそれはさておき。 ヒイロとカトルの迷走に関しては、ノインの働きかけもあって一旦サンクキングダムに関わる形で収まりを見せる事となります。 まあヒイロはジっとしている訳が無いんですがそこは主人公仕草と言うか(何 そんな彼等の主な敵役はモビルドールとなっていくものですが、地表を行軍するビルゴの群れと言うのは、絵になると同時に大変な絶望感を与えて来るもの。 唯強く、大きく、飛べる等と言うのは訳が違う、プレッシャーを覚えるものでしょう・・・。 #
by zendam
| 2025-07-13 15:12
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 歴史の表舞台から姿を消したかと思われたトレーズが、独り時勢を計りつつ雌伏を続ける・・・と言う形で行われる総集編が大半ではあります。 唯差し挟まれた独白やカットは、確かに後から一々取り扱う程でも無いものが多く、削ってしまうのも惜しいとばかりに使った所なのでしょう。 ・・・尚逃亡者のせいで初期案から省いた「エピオン」の登壇を決しても尚、話の落とし所に苦心していた頃合いだとも聞くものです(汗 (ロームフェラ財団は、かつてその財力を以てこの美しい自然を守ろうとした・・・だからこそ私はその精神に賛同し、地球圏統一連合内部にスペシャルズを築き上げていった・・・だが我々の前に、あの反逆の翼を持った彼等が立ちはだかった) デルマイユ共に反抗を示したトレーズではあったものの、今日までの実績やシンパへの悪影響を考えるとその身を損ねる事は憚られ、本当に僻地への軟禁のみで、表向きの沙汰は終了となっていました。 (コロニーから送り込まれたガンダニュウム製モビルスーツ、ガンダム。その優秀なるパイロット達は、この私に挑んで来た・・・) 確かに移動制限等の不自由はあっても、その実ロームフェラの軛から離れた事で、その思案の方向性は寧ろ自由なものとなりつつあった形です。 OZを用いての地球連合解体。 此処までは長年目論んでいた計画通りではあったものの、その過程で己の生命が失われる事も織り込んでいた・・・と言われてはいます。 『行動は、かなり制限させて頂く事になると思います』 『束縛は敗北した者の、“次なる力”の礎となるものだ・・・だが今の私は逆に自由に為った気がする・・・今までが余り自由では無かったのかもしれんな』 それをガンダムのパイロット達、特に五飛の青くも鋭い戦いぶりに随分と歪められた形で、オチオチ死んでいられないと気を取り直したまでは良かった。 (私が自らとった行動が、己を見つめ直す良い機会を齎した様だ・・・ゼクス、かつて君が私の与えた試練を乗り越え、自由を勝ち取った様に) ところが、元より際限なく戦いを続けて、無意味に犠牲者ばかりを生み出す世界に、嫌気がさしていた頃合いに軌道修正と言うのは難儀所では無く。 (君が去った後、ロームフェラ財団はツバロフ技師長を中心に、戦いの美しさも悲しさも感じさせない、モビルドールを完成させた・・・彼等はソレで宇宙から地球を支配しようとしていた、人と人との戦いの意義を求める私に、彼等のこの考えを認める事は出来ない) 己とは別アプロ―チかつ、強引で無慈悲なデルマイユの所業を、真っ当なやり方では抑え込む事は叶わなかったものでした。 (コロニーとは偽りの生活空間、偽りの平和主義、より多くの戦いを生む温床でしか無いのかもしれない・・・ゼクス、いやミリアルドよ、君はそれに気づいていたのか?) トレーズは悲観的な未来をある程度見据えて動けても、その暗い道筋をガンダムのパイロット達の光が塗り潰した後。 『愛するレディ、君は正しかった』 横たわる荒道を前にして直ちに何か出来る性質では無かった形です。 (この世に人類が居る限り、決して戦いが無くなる事は無い。そして戦いを否定する事は平和への道では無い・・・世界は、戦い続ける事が自然なのだ) 己を脇役に貶めてでも、相応しき主役達に舞台の行く末を託す。 (純粋で無垢なガンダムのパイロット達よ、私は君達の戦いを見続け、心を奮い立たせずにはいられなかった。そして君達は私の内部の何かを、定められた運命をも変えてしまった・・・愚かなロームフェラ財団が、戦いから人間らしさを奪った時、私はOZと言う組織を、自らの手で葬らなければいけない立場に立たされていたのかもしれない) 下手をするとシロッコの二の舞な所になりかねない所でしたが、然るべき時にはどんな汚れ役も喜んで演じて、死に花を咲かせる男でした。 (だが時代は彼等に運命を委ねた。若者達よ、混迷の闇の向こうに何を見るのか?) (例え、宇宙コロニーの戦う意義が失せても、例え、その身が捕らえられ、また愛すべき機体を喪っても、あのガンダムのパイロット達は戦い続ける・・・何と言う意志の強さだ!何と言う純粋さだ!彼等とは敵対こそしているが、求める戦いの姿は異なるものでは無い) 地下には密やかに一機のガンダムが仕立て上げられつつあったのです。 『・・・そして第三幕を始めるにあたり、役者は揃いつつある。後は開演を待つばかりだ』 ―はい、全てはトレーズ様の意のままに 名は「エピオン」。 トールギスの他、今日まで収集されたガンダムのデータを元に設計建造された最新鋭機であり、トレーズの美学を大いに反映させたスペックを有していたものの・・・彼自身はこれを用いる事はありません。 その訳は、託すに相応しき者が現れた際に語られるものですのでこの場は割愛。 〈宇宙は徒に戦いの時代へと突入していく・・・地球に降りたヒイロとカトルは、ロームフェラ財団の発したガンダム抹殺計画のターゲットになっていた〉 次回より、本格的にリリーナと、祖国サンクキングダムでの一幕が始まりますが、そこに飛び込んで来る矢鱈目立つ少女、ドロシー。 〈疲れを癒す間も無く新たな戦いに向かうヒイロは、情報収集する中で、懐かしいリリーナの祖国の名を耳にするのであった〉 人形の様な美麗な金髪をたなびかせては居るものの、その悪戯猫めいた強い眼差し、何よりガンダムに似ていらっしゃ・・・ゲフンゲフン、ご立派な眉毛のせいでとてもカタギには見えない。 〈新機動戦記ガンダムW第29話「戦場のヒロイン」〉 何分、彼女もまた本作世界の住民故大変クセがある。 此れよりリリーナ含め周囲の狂言回しめいた役目を担う形となる一方で、自らもまた犠牲者の側面を抱いて居たりもするものでした。 #
by zendam
| 2025-07-06 16:35
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 本話に関しては総集編と言えましょうが、語る範囲は大分狭く南極でのあれこれまでに留まるもの。 語り部がリリーナとついでのヒイロしか居ないせいで、その間のエピソードも大分端折って居ますし、デュオ以外にはロクに言及すら無し・・・逆に彼だけは本当腐れ縁めいた有様だったのですがね。 唯でさえ話が詰まっているものの為、コレを見た所で大筋も掴めないし、振り返るにも色々物足りなさが来ると言う、大分困った状態とは思われます(お 『ええ・・・ヒイロの行方はまだ解らないんです・・・笑わないで下さい?御父様・・・でも私には、今でもヒイロの声が聞こえます』 『御父様、私は彼がきっと、このサンクキングダムに現れると信じていますのよ・・・あれからどれ程の時が流れ、過ぎ去って行ったのかしら?彼と出会ってから・・・』 故郷サンクキングダムへと帰還を果たし、今は亡き養父ドーリアンの遺影に語り掛ける形で回顧するものでした。 途中どうした訳かヒイロも茶々を入れていますが、冒頭墜ちた流れ星が彼等のビルゴ輸送艇だったのやもしれません(お 何十年も詰み重なった思惑が一気に噴出したのが本作第一話と相成る訳ですが、その激動の最中リリーナも散々に翻弄されたものでした。 『他のガンダムのパイロット達を仲間だと思っては居ない、いや・・・俺に仲間等最初から居る筈が無いのだ・・・このデュオと名乗る男もリリーナと同じ、任務遂行の障害でしか無い・・・』 戦う意思を示され、それを理解出来る勇気と気概無くば。 『私は様々な秘密を知ってしまった。でも私自身の事よりも、ヒイロがコロニーから送られて来たガンダムのパイロットであった、と言う事の方が、私の生き方に大きく影響を与えたのかもしれない』 唯の無力なヒロインではひとたまりも無かろう御時世と言う他ありませんでした。 『誤った過去は誰にでも辛いもの、でも私達はまだ若い・・・未来を創り出す事を考えるべきなのよヒイロ・・・』 それよりヒイロも多少マシと言う程度でしか無く、己の願い故に死地へと飛び込んで行く以上は、安寧等とは最も程遠い立ち位置にあったものの。 だからこそ、己が殺し損ねたリリーナの存在を重く見出していたのでしょう。 目標でも無くば犠牲者でも無く、違う立ち位置にて戦いを始めたリリーナとは、彼女が予期した通りにサンクキングダムでの再会を果たす事となるものでした。 ・・・そして己の美学の為に降板まで仕出かしたトレーズも、唯世を儚んで引き篭もって居た訳でも無し。 やがて訪れるであろう役者に相応しき衣裳(スーツ)を譲るべく待ち構えて居たものであり、それこそが予告で映っていた赤葡萄色の影「エピオン」。 一応ラスボス扱いではありますが、同時にヒイロも取り扱う仮主役機と言う、何とも曖昧な立ち位置をしております。 〈新機動戦記ガンダムW第28話「すれ違う運命」〉 しかしあのトレーズが、自ら用いる事も念頭に置い“ていた”ガンダムである以上は。 その能力も、危険性すらもウイングゼロに匹敵する存在でした。 #
by zendam
| 2025-06-29 15:54
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