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*日テレ系30局ネットにて放送された番組です。未対応地区の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば幸いです。 **やや批判注意 半世紀近く前に死に別れた男女が、幸福な仕切り直しを果たせた事に関しては、素直に祝福を惜しまない所です。 しかしそこに至るまでに何でもかんでも蔑ろにして構わない訳が無いのです。 残念ですが、本作は通すべき筋を軽んじている部分が余りに多過ぎます。 行間を読むと言うにも限度があると言うものであり、極めて不誠実な作りをしているものであると評する他ありません。 『キシリア様を亡きものにすれば、更に混乱が広がってしまう!今ジオンが崩壊すればニュータイプも道連れになります!』 『独裁の下では、人の革新等起こる筈も無い・・・彼はそう言って居ました・・・!』 『彼・・・グワー?!』 『え?シャアさん、何をするつもりなの??』 『薔薇の少女はゲートを開き、向こう側へと送り返す。イオマグヌッソはこの為に“建造させた”のだ』 唯導かれるだけでは無く、唯乗り越えられるだけでも無く。 世界すら救い得る才気を磨き磨かれる過程で、どちらも良い影響を与え合ったが故の結末に辿り着いた形ですが・・・矢張り其処に至るまでのドラマは圧倒的に不足しています。 『シュウジ?!』 その煽りをあちらこちらが被るものであり、結局シュウジ・イトウなる存在がララァの何であったかは、サッパリ解らず終いとなってしまいます。 『何だ?αサイコミュが怯えているのか?!』 彼こそが全ての黒幕たるシャロンの薔薇の守護者にして破壊者。 彼女を深く愛するが故に共に狂気に堕ちた犠牲者でもあった、と言う事が示せればお話的には十分だとしても、ちょっとねえ。 『薔薇の少女を殺して、この世界を終わりにする・・・ガンダムが、そう言って居る』 取り敢えず、向こう側におけるアムロの代役とか、単純な存在では無さそうと言うか、下手すりゃララァの親族か“血族”の可能性もあります。 ―ララァを殺すって、何で?!ララァはシュウジの大切な人なんじゃないの?! ―あれは、シャロンの薔薇? ―そう、向こう側では“エルメス”と呼ばれていた 本作世界のララァにも伝わって居た通り、そもそもの原因は向こう側のシャアの不甲斐無さのせい。 史実の画像も若干混ざったりしていましたが、現代技術で改めてシャアの末路も描かれていたものですが・・・セイラを殺しかけて戸惑う間にアムロがギアを上げて猛攻を仕掛けた折、ララァが手出しする間も無くそのままビームサーベルで蒸発した模様です。 にしてもお前背負ったシールドも使わず左手で庇おうとか、変なモーション使う前にもっとさぁ? シャアの死を目の当たりにしたこの瞬間から、向こう側のララァ事シャロンの薔薇の果て亡き試みは始まったのです。 それは現実逃避だったのか、あるいは悲壮からか、兎も角ララァの強過ぎる思念は新たな宇宙の分岐を促した形で、どうにかシャアを生き延びさせようと手を尽して、悉く失敗した模様です。 ごく一部の試行錯誤が、様々なシャア専用機から見て取れますが・・・ハナからララァは狂気に陥ったか、ロクデモナイチョイスばっかりが目立ちます。 高機動戦の強みを全部潰しており、アムロは無論下手すりゃエグザベ級の敵にも後れを取りそうな「ビグ・ザム」が一番アレかと思いきや・・・下から2番目が最悪と言えます。 ザクより大分細身のこのモビルスーツは「ヅダ」と言い、OVA「機動戦士ガンダム MS IGLOO」に登場した機体。 コストに若干の問題はあるものの、一年戦争全体で鑑みれば優れた機動性能と加速力を有していたのですが・・・問題はコイツ、エンジンの制御に失敗すると二度と出力が下がらず、そのまま暴走して自壊するまで止まらないと言う欠陥機であるのです。 ガンダムとの交戦中に、調子に乗って彗星となった末路が容易に想像出来るってもんです(汗 ちなみに一番目は「グフ」と呼ばれる陸戦用機であり、早い段階で討たれてしまった様。 ヅダの次の蟹みたいなモビルアーマーは「ビグロ」と呼ばれ、史実でもアムロを失神にまで追い込む大推力を有するも、矢張り殺し切る前に潰されたっぽい。 ビグ・ザムの後ろの「ガルバルディα」が一番マシと言えますが、所詮史実のゲルググとギャンのいい所取り以上のものでは無し。 最後の巨大な丸っこい・・・何処と無くジークアクスにもデザインラインが似ている機体は、私も初見では首を傾げたものです。 実はコレ数十年前に本作のメインデザイナーたる山下いくと氏が寄稿したイラストの、「サザビー」に該当するもの。 テクノロジーレベルを十何年近く前倒しにしたチート極まるブツでしょうが、多分並んで連邦側も「νガンダム」投入しちゃったんじゃ無いかなぁ。 ―この世界? ―そう、シャアがガンダムに乗れば良い、この宇宙でなら、シャアはガンダムに殺される事無く生き続けられる ―ララァ・・・ そして本作においてはシャアにガンダムを与えて、この世界での己との接点が無くなる事も覚悟の上で挑んだせいで・・・。 ―だけど今、シャア自身がこの世界を否定しようとしている。それは彼女にとって耐えがたい事だろう・・・ララァの心は激しく傷つき、壊れ、恐らくこの宇宙は崩壊する・・・“向こう側の世界も巻き込んで” ―え ―この宇宙を、元々存在しなかったものにする、彼女が見たかもしれない夢の一つにしてしまうんだ・・・それでも何時もの様に、彼女はまた別の宇宙を創るだろう・・・愛するシャアを護る為に またやり直しも辞さない所なシュウジでありましたけど・・・。 ―でも、でも?! ―僕は此れまで数え切れないほど、この手で彼女を殺して来た・・・これ以上彼女が傷付かない様に、僕は彼女の心を護りたいんだ・・・ 彼の積み重なって行く絶望と悲しみを、しかとマチュは感じてくれていた。 それこそヒロインの本懐と言うべき所です。 『シュウジ!子供同士が何を話している・・・っ?!キシリア閣下か・・・』 実質的にこの男の本懐成就の為に、キシリアは無駄に生き永らえていた訳なのですが・・・。 だからって斯様なキモい独白入れてやるな(汗 シャア達に大分悍ましい執着を抱いて居た事に関しては、古くは小説版から描写はされていた事。 矢鱈ニャアンに馴れ馴れしかった事も、その代替行為であった調子が伺えますが・・・余り死に逝く悪党の尊厳を損ねる真似は好みでは無いので。 『白いガンダムだと・・・(何だ?!この言い知れぬ恐怖は?!私は“何時か何処かで”あのモビルスーツに討たれた事があるのかっ?!)』 (ジオンが戦争に負けた世界だと?シャアが言って居たのはこの事か?!) 『後方からキケロガ接近?!』 『シャリア・ブルか?!』 『キシリア様御覚悟!!』 コイツ、サイド6の軍警察共が戦後に買い取って居た艦だった様で・・・もし、マチュがやらかさなかった場合タマキ辺りが式典出席の為の足に使って居たやもと言う、恐ろしい考察もあったり無かったり。 さておき、護衛の軍警ザクも諸共に主砲の餌食にした頃には、すっかりシャアも殺し支度万全。 今しがたザクから拝借したバズーカ(それも珍しいビーム形式)までかっぱらって、ビシリとガンダムで敬礼をかますあたりとんだキザ野郎です。 『シャアか?!うぅ?!』 かくして、史実に送れる事5年余り。 『キシリア様・・・料理、食べて欲しかったな・・・私もう、何処にも行く所が無くなっちゃった・・・』 『ララァを護る為・・・違う!ララァはそんな事望んで居ない!私がシュウジを止めて見せる!!』 結果的に、誰もシュウジを止める者は無く、マチュとジークアクスだけでの阻止が要されるかと思われたのですが・・・。 ここで何とニャアンが合流して来ます。 キシリア謀殺を受けて再び根無し草となって即、マチュ達に集って来るのはそこそこ行儀は悪かろう真似です・・・と言うか彼女も大分大筋の犠牲者と言うべきであり、大体脊椎反射めいた挙動ばっかりで半ば野生動物と言うか、狩りの仕方が解って無かった豹か何かっつーか・・・。 ―その約束、まだ・・・ ―その為にはシュウジを止めないと。ニャアン、一緒に戦って! そんな彼女と即時和睦を果たせたのは、ニュータイプの便利さ等では無く、マチュの明瞭さから来るものでした。 ―違う、それはニャアンが独りで生き抜いて来たって事でしょう? ―マチュ!! シュウジと己の間に果敢に割って入った辺りで、ニャアンが何処までも感覚で生きる女であり、その有様すら肯定出来た事で。 今はシュウジこそ敵に回って居るものの、ようやく三人の刻が戻った形になります。 『この反応は』 『アルファ殺しか』 召喚された向こう側のガンダム事「RX-78-2」は、スペック的には此方のガンダムよりも多少素早い程度に留まる筈でしたが。 『うぅむ、この世界で私は、彼女の意志によって守られているらしい』 矢張りシャロンの薔薇同様幾つか物理法則は無視している様で、ジークアクスとジフレドを同時に向こうに回しても拮抗しています。 シイコとの戦いで発揮した超反応回避も健在ではあったものの、こっちもニャアンが二連星戦で仕出かしたガンダムシールド(本体)戦法をジークアクスでやらかす等、ハイスピードかつ大分ダイジェストで熟して居ます。 ・・・それを高みの見物と洒落込むシャアとシャリアだったものの、その最中キケロガの全端末がガンダムを包囲。 『・・・でしょうね!』 エグザベ辺りが復旧したかと思えば何と!キケロガがガンダム目掛けて集中砲火を浴びせたのです! しれっと回避する辺り流石のシャアですが、その声色は激しい動揺が隠せないで居ます。 『な?!?!』 『私には解る!貴方がジオンを率いるのは危険だ!!』 それだけでも万死に値する裏切りではありましょうが、シャリアはそれしきでMAVを見限る男では無し。 5年もの間探し果てていたのも、死んでいるならまだしも生きて居ればロクな真似をしない事を、確信し、“予期”すらしていた。 キシリア風情でも果たせた事がシャリアに出来ない筈も無く・・・史実で人類への絶望を拗らせた果てに、ソロモンとほぼ同規模小惑星「アクシズ」落下による地球寒冷化作戦を仕出かす様な危険性を、本作シャアにも抱いて居たのです。 『未来でも見て来た様な言い様だなぁ?!』 それをほぼ肯定する様な調子な辺り、本気でこのシャアも嘘をつかないものですし、そう言う仲にはなりたくないと、シャリアに信は抱いて居たのでしょう。 いずれにせよ野郎二人は、本音を曝け出してのタイマンをおっぱじめたせいで、本気で世界の命運はマチュ達に託されてしまったのです。 『もう時間が無い!』 『嘘、大きくなってる?!』 『これってバルーンじゃ無いの?!』 ・・・それを背負い切って見せるからこそのヒロインなのでしょう。 悪足掻きとばかりに、RX-78-2は色彩を落としつつ、急にスケールアップしていますが・・・観測によれば幻とかじゃ無く本気で質量そのものが増大しているとか? 『・・・?!違うか?!』 『うう・・・何だあれは?!』 まあ初代ガンダムってば偶にデカくなりますから特に不思議には感じませんでしたがそれよりも。 『え?』 『そのモビルスーツはこの世のものでは無い!独りでは無理だ!!』 “巨大な敵”なら、打てる、撃てる、討てる! それを為せるのが白い悪魔の権能、契った相手へ支払う対価の最低限! その意味でジフレドは惜しくも力尽きたものの、寸前でコアファイターでニャアンを脱させたからには、その散り際はガンダムと呼ぶに相応しい所でした。 ・・・唯その意味で、ジークアクスは白い悪魔を超越した存在と言うか、オリジンとも言うべきモノだった様です。 『うう・・・だから・・・』 マトモに貰えば機体毎蒸発する筈の巨大サーベルを、力場の前方展開のみで全て相殺。 耐えて押し返していくマチュに呼応する形にて、遂に口腔部のロックが開放。 〈―◆◆◆!!!!!〉 内部に瞬くセンサーはまるで開口した咢の様に見えるもので、そのまま勢い良く腕から駆け上って行くのです。 鍛えた弟子の邁進をシャリアも見守るものですが、当人も絶賛シャアと殴り合い宇宙の只中でござい。 既にキケロガも直撃を受けて爆発四散しているものの、頭部ユニットに当たる部位だけはメガ粒子砲含めて単独挙動がまだ可能。 『ちいっ?!』 彼もまた命の賭け所とまるで手を緩めず、そのまま満身創痍のガンダムへと吶喊、遂に頭部に致命撃を与えつつ、反撃の“ラストシューティング”もとい“ラストスラッシュ”とも言うべき突きを貰い、相打つ形で沈黙しています。 言葉無き対話の時がそろそろ終わりつつある中、マチュはジークアクスと共にシュウジへと迫りつつありました。 唯斃し、否定するだけならば、凡百のニュータイプやオールドタイプがあらゆる世界で繰り返して来た事ですが、今度のマチュは寄り添う事が出来る娘でした。 ―・・・え?? ―ララァの事が好きなんでしょう? ―・・・ああ?! 己の心をすり減らしてでも救いたいと言う願いは、果たして誰が為のものとなるのか。 ―でも、ララァを護るにはこうするしかないと、ガンダムが言って居る・・・あ??? 〈僕はもう、見たくない〉 そうマチュのみならず・・・マチュを護って来たジークアクスに宿る、何者かからすら声が上がったのです。 『誰だ・・・?!』 ・・・よもや、生きてまた古谷氏の御声を聞く機会があろうとは・・・。 マスゴミ共が囃し立てた醜聞等、話半分ですら過分な取り扱いでしょうけど・・・仮に半分だろうが許し難き行いではありましょう。 唯、それなら後ろに手が回って居ないのは何か違和感がありますし、大体御年を鑑みると現実味が得られないと言うか、解らん世界があると言うか・・・。 さておき。 『誰かに護られ無きゃ生き残れないなんて、そんなの本物のニュータイプじゃ・・・無い』 マチュは日常をかなぐり捨ててでも暹羅に突き進んで見せた。 失敗し傷付く事も有れども、シャリアの思惑にもララァの願いにも流される事無く、我が道を突き進みシュウジの懐まで辿り着いて見せた。 そうしたいと言う純粋な願いが、エゴが、少女に一時だけでも無敵の万能感を与えたものであり。 『僕は・・・ララァを追って沢山の世界を巡って来た・・・その長かった旅がようやく終わる・・・君の様な人は初めてだ』 『あ・・・』 『ありがとう、マチュ』 その恋路を邪魔立てするデカブツ等は、蹴るまでも無く伐採あるのみであり。 『あぁ・・・』 ようやく携えられた専用ビームサーベルはフルパワーで展開し、今は亡きトメノスケめいた斧の如く振りかぶられ。 『赤いガンダムの代わりに、ゼクノヴァを起こすトリガーとして用意したシステムだが・・・』 『Ωサイコミュ・・・いいや“エンディミオン・ユニット”が覚醒したのか・・・』 木偶の坊の首を叩き落とす事で、一つの物語と恋路の幕引きが始まります。 シャロンの薔薇はずっとこの顛末を見守って居たものの、マチュの献身と訴えを前に、とうとう夢うつつのままでは居られなくなった。 何かの答えを見出したのか、一言礼を述べた後は、己とRX-78-2、更にはイオマグヌッソすら道連れにしてのゼクノヴァ現象をもって、この世界から消え失せて行くのでした。 結果、勝手にコスプレさせられていたシャアも元の姿に戻って居ますが、流石のこの男もニュータイプの新たな有様を目の当たりにして、アホなままでは居られなかった。 『ふぅむ、そうだなぁ・・・』 己の全てを解った上で、命を賭して否定を試みた、友の心意気に恥じぬ様にと。 『貴様に殺されずに済む様な人生を、探してみるか』 その有り余る野望を一度は封じて、野に下る道を選んだのでした。 『・・・エグザベ少尉か。キシリア様は死にました、私を軍事法廷で裁きなさい、この命をもって罪を償おう』 ・・・まあそれも奴の気分一つ次第であろう事は、シャリアも解り切って居た。 だとしても後を任せるだけの支度は終わって居ると、己を新たなる秩序の礎に捧げんとして・・・。 『ふざけるな?!アンタはニュータイプがニュータイプとして生きられる世界を創るんだろ?!ならザビ家亡き後のジオンを“何とかしろ”っ!アンタには責任があるっ!!』 死に逃げは許さんとばかりに青い怒りを露わにする有様には、シャリアも軽率な最期は色々な意味で遂げられない事を悟った形です。 『シュウちゃん、何処?向こう側へ帰っちゃったの?』 ・・・かくして、ザビ家による支配体制は完全に崩壊したものの、シャリアが仕込んでいた統治の道筋は、本当に確かなものでした。 建国の祖、ジオン・ズム・ダイクンの遺児たるセイラ改め、アルテイシアの帰還は・・・ギレン共ザビ家共による閉塞した世を打ち破るに相応しいものと、万来の拍手をもって迎えられたのです。 そして一年戦争時代は連邦軍パイロットとして、ドズル等をぶち殺す大金星を挙げているからには、連邦政府側との多少のパイプは維持している形で在り、地球圏全体の一時の平穏は約束された形です。 ア・バオア・クーが消し飛んだからにはジオン残党共改めザビ家残党が湧こうが大した事は出来ませんし、バスクみたいな撥ねっ帰りも暫くは大人しい事でしょう。 本作世界でも変わらず悪趣味な、元ジオン政庁での戴冠式を、遠くからシャリアとエグザベ(後ついでのコモリ)は監視中と、彼等の戦いはある意味これより本番です。 ・・・本当にコモリとかは然したる役目が与えられず不憫なものですが、ロクに絡めなかった他ソドンクルーよりかは大分マシでしょうけどねぇ・・・。 後蛇足なのですが。 セイラの傍に居た恰幅の良いオッサンは恐らく“青い巨星”ランバ・ラル。 ダイクン家に仕えた古くからの家臣であり、史実ではセイラとの戦地で再会直後に非業の死を迎えた所を、本作では白い悪魔と関わる事も無く生き延び、彼女と未来を築く大役を担った形です。 そのセイラが代わりに人身御供になったお蔭か、随分とシャアは身軽になった様ですが・・・シャリアに殺されない人生等と豪語して、初手でそれを果たす辺り流石と言うべき所。 春を鬻ぐも止め、難民街で泥に塗れている所に普通に表れて来る有様には。 さしものララァも泣き笑う他無かった事でしょうな。 ・・・尚、ギレンとキシリアの死を含めて、イオマグヌッソの消滅等の事象全部が表向きは事故で処理されてしまっている形で在り、封鎖が解除される頃合いにはまたぞろジャンク屋共が集りつつあり・・・その中には懐かしのアンキー達の姿も。 元連邦軍の「パブリク」突撃艇らしき艦艇が抱えるコンテナには、新しく調達したモビルスーツ「ゾック」が・・・ってザクじゃ駄目だったんかいコイツ極々一部のコミカライズ以外じゃ宇宙行けんぞ(汗 ・・・コモリ程では無いにしても、アンキーらの扱いも中途半端が否めない所でしたがまあ・・・生きているならば絡む時もありましょう、御誂え向きにに水陸両用機なんぞあるし(お 『アマテ・・・?!貴方!!アマテからっ!!!』 ・・・と、この様に順当に世間が混乱から立ち直りつつありながらも、アマテ・ユズリハ自身の享受が未だ解らず、っつーかこのままマチュとして世捨て人になりかねない雰囲気ではあります。 『んー?』 『会いに行ってあげないの?』 やっとタマキには返事を返した形ですが、部屋の様子からは退去を余儀無くされている風にも見え、同時に失職出来る程替えの効くポジションでは無かった様でもあります。 その連絡も地球から軍用中継器(恐らくはシャリア辺りからの貸与品)を介してのものであり、呑気に浜辺で日光浴と洒落込む程。 ・・・ちなみに着ている水着からパラソルまで全部EDにあったもんなので、アレは全てが終わってからの光景だった訳ですよ・・・ ・・・冤罪(棒)を晴らしうる材料とか特に無いし、晴らした所でアマテの身では不自由の方が多く、そもそも己より余程やらかしているニャアンを置き去りとか最早論外。 『あるよ』 『真坂・・・シュウちゃんの所??』 何よりもマチュには、シュウジを追いかけると言う長旅が待ち構えて居るのです。 あれだけ熱いベーゼを交わしてそこまで、等と潔い訳が無く。 『何時かまた逢えるって、ガンダムが言ってる』 近場かあるいは海中だろうジークアクス共々、手にした自由を振りかざす気満々な様です。 端的な個人的判断として・・・Gレコとは逆に、決して人には薦められないシロモノと言えます。 今作がファーストガンダムであった方は、ちょっと気の毒に思えるレベルです。 全体的な構造に割り切りが過ぎる所はあるのは勿論、此処から旧作に派生して行った所で更なる理解が得られるかは大変怪しいと言うか、寧ろ困惑が深まる恐れがあるものでしょう。 何が悪かったかと言われると、根本的に尺が足りて居ない割に、解釈の余地が残らぬ程密度を詰め過ぎだった点が最も悪い。 シン・仮面ライダーで懲りたかと思ったんですが、同時進行であったなんて話も聞くものですからなぁ・・・本当に次は勘弁して頂きたい。 #
by zendam
| 2025-06-28 03:49
| レビュー
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 ちょっと長めに回想を挟んだりもしていますが、基本本作に関しては総集編に該当するものは次話のみです。 逃亡者のせいで混乱を来した割には、その程度で収められている辺り、当時事態を収拾した方々の苦心が伺えると言うものです。 ともあれ今話の沙汰にて一旦視点は地球へと戻り、あらゆる意味で戦力の欠いたヒイロ達の、厳しい仕切り直しと相成ります。 一応番組後半主役機の立場にある筈のウイングゼロですけど、本話まででも随分な厄介振りを示した様に、最終的にヒイロの手に渡るまでは大分かかる事となります。 〈オペレーション・ノヴァ・・・ロームフェラ財団は、宇宙でのモビルドール製造ラインを完成させ、それを地球に降下させる作戦をそう名付けた。地球における全体的な権力を得る為、反攻のある可能性のある地域を攻撃し、財団の支配下に入る事を強要したのである〉 冒頭より、ロームフェラ財団共は仕掛け出しているものであり、月基地を初めとした拠点で生産したビルゴを、輸送機から直に降下させると言う雑なやり口にて、反抗勢力撲滅を図って居ました。 『ビーム砲を使われるまでに、出来るだけ接近しろ!それしか勝ち目は無いぞ?!』 それが出来るスペックを有するのがビルゴであり、無人機故どれだけ無茶な速度・角度で投下しても無傷のまま。 エアリーズの様な機動能力は存在せず共、本体側装甲とプラネイトディフェンサーの防備によって、並の火力での突破は不可能。 挙句複数機集まって守りを固められては手も足も出ないと言うものであり、ほぼ何も出来ぬまま殲滅される末路を迎えて居ます。 〈ロームフェラ財団が世界支配にあたり、兵力を高める為、モビルドールと呼ばれる無人のモビルスーツの開発に成功した・・・しかしこのモビルドールの仕様について、内部から反論を唱える者が居た・・・OZ総帥、トレーズ・クシュリナーダである〉 前話においてOZの指揮権を返上したトレーズだったものの、その悪影響は極めて大きなものとなりました。 〈トレーズは、人間性を必要としないモビルドールの戦闘に異論を持ち、自らOZの解体を考えたのであるが、現時点の勢力を温存したいロームフェラ財団上層部は、トレーズを幽閉する事で事態を収めようとした〉 彼の元へと集う事こそが正義と信奉する者や、モビルドールの濫用は己らの失職にも繋がる事と勘付いた者達は、こぞって「トレーズ派」を自称しデルマイユ共に反抗したのです。 実質OZ内部で内ゲバが始まった様なものであり、この醜態を片付けるべく増々デルマイユはモビルドールに頼る他無くなっていました。 〈ご心配無く、宇宙は至って順調です、新しく現れたガンダムもパイロットと共に押さえました、月面基地にて廃棄処分に致します〉 『ガンダムは反乱分子に“象徴的に扱われる”可能性がある、事は急げツバロフ!』 月基地のツバロフも急かされる形で生産ラインをフル稼働させていた様ですが、この男の度を過ぎた人間嫌いが、またしても隙を生んでくれます。 『どうやら此処で死にたいらしいn・・・あ?!トレーズ派か?!』 お蔭でドクターJ共はおろか、捕縛していたヒイロとカトルの身柄すら、一時的に奪還される程でした。 これについては、所詮有限な敷地内故にやがては追い詰める事が出来たのでしょうが、問題は次。 〈トラント、私の命令を聞いて居なかったのか?私はガンダムを破壊せよと言っているのだ!レディ・アンの反乱により、ガンダムの五人の技師がこの基地に潜伏している今、下らぬ事で時間を費やすな!〉 ツバロフを上司とする筈のトラント特尉ら一部将兵が、勝手にウイングゼロの解析を試み出していたのです。 〈我々はガンダムと言う言葉を抹殺しようとしているのだ、その様なものに頼ってどうする?宇宙の全ての記憶からガンダムを消せ!それがお前の任務だっ!!〉 これには政治的意向も含めて即時処分を厳命するも、それでもトラント共は止まらなかったのです。 『どうします?トラント特尉??』 『解体するのは簡単だ、その前に取りたいデータがある・・・モビルドールと対等の戦いをする、パイロットのデータだ』 他人を軽んじると相手側からも随分舐められるものでして・・・。 『・・・この性格かぁ』 『兵士としてはちと問題があるがのう・・・』 『だからあのシステムを持って居ながら、ガンダムは敵の手に堕ちたのだ』 さて。 一旦ドクターJ共と合流出来たヒイロとカトルですが、此処で現状説明と共に、今更になってウイングゼロの危険性を仄めかされて居ます。 『あれは、戦う精神波をコックピットで増幅させ、パイロットに通常能力以上の結果を出させる装置を組み込んで居る』 『OZに対する敵対心であれば良かったのだが、今回はパイロットの目的に狂いが出てしまったぁ』 後に“ゼロシステム”と呼ばれる操作システムは、乗り手の思考すら捻じ曲げて来る極めて物騒なものであり。 『兵士として未完成だった為、その能力が同士討ちを生み出した・・・“非常に残念”だ!』 『それにあのガンダムがあれば月面基地を一気に叩けたものを・・・』 『お前達の運動能力や、戦術におけるイマジネーションは、訓練によって完璧に仕上がっている』 『兵士として完璧に為れ、さもなければモビルドール全盛の時代に生き抜いてはいけん』 死にたく無くば強い心持ちのまま戦いを終わらすか、喰い潰される前にシステムを切るしか無く、出来ないならばそれで終わる事となる。 ・・・それは大量のデータ演算による疑似的な未来予測の結果なのですが・・・そこまでドクターJ共は明かす事は無かった形です。 『カトル・・・自分の命を狙って来る者と、自分が斃そうとする目標が敵だ』 『じゃあ!もしその自分が間違って居たら?!』 『カトル、俺達は間違って居ない、戦争と言う時代が狂って居る可能性はあるがな・・・』 〈・・・あ、ドクター達も其方に居られましたか〉 『要求は何だ?』 〈ガンダムのパイロットを此方に渡して貰いたい・・・あのガンダムの戦闘データを取ってみたいのだ〉 先のトラントがヒイロ達を包囲後、ツバロフの命に反して取引を持ちかけたのです。 『仕方あるまい?パイロットを投降させる』 OZの人員では無く、ガンダムのパイロットがウイングゼロを取り扱った際のデータが欲しい等と。 〈ドクター達の命は本部の決定が厳しく、私の一存ではどうにもならないと思いますが・・・〉 『まぐれで此処まで生き延びたが、儂等は“この辺りが潮時”だ、覚悟は出来ておるわ』 その為にドクターJ共が人質に出来る等と考えて居る辺り、何一つヒイロ達の危険性を理解出来て居ないボンクラですが、この男それだけじゃ済まないレベルでして・・・。 果たして、ゼロシステムを介した演算上のテストでは高評価を出していくヒイロだったものの。 (ヒイロ、間違ってるよ・・・このガンダムは、間違って居るんだ!) 当然傍に居たカトル達の事なんぞ無視であり、控えていたビルゴも瞬く間に潰してしまっております。 ・・・事前にドクターJ共が、ヒイロ達を煽る様な言い草をしていたのも。 『俺の敵は、俺の命を狙う者・・・それと、俺の命を弄ぶもの!全てが俺の敵だ!!』 『ふ、人質等あいつ等に通用するか』 『ヒイロに戦う目標を創ってやったからのぅ?』 ゼロシステム作動後排除すべき“目標”として、己らを狙い易い様にする為でした。 『この宇宙に必要無いのはOZと儂達か』 『あのシステムは人間の思考のバランスを狂わす』 『そのシステムを使って、モビルドールに勝とうとする儂達も既に狂っているのだろう・・・』 こうなると事態収拾は極めて困難で、トラントもカトルが半壊したメリクリウスを強奪する事にも、目を瞑る他無かったものでした。 『貴方達も此処で死にたくないでしょう?!彼に攻撃を止めさせます!』 『何・・・?!』 『彼の力なら、この基地全てを破壊できる・・・トロワも言ってた、モビルスーツのパイロット独りで暴走したって駄目だって・・・排他的な戦いじゃ、この戦争は“決して終わらない”んだ!!』 不幸中の幸いだったのは、先の交戦でツインバスターライフルは喪失、未回収だった事。 『ヒイロ・・・そのコックピットは戦闘能力を高めるんだ、同時に失うものがある・・・もし、そのコックピットのせいでい僕が暴走したのなら、僕はそんな“つまらない機械”のせいで大事なものを喪ってしまった・・・これ以上、大切なものを喪いたくは無い!』 『カトル、俺には今はっきりと“敵が見える”・・・お前も敵に為るなら、俺はお前を殺す』 『そのガンダムは独りぼっちなんだよ!独りで戦っちゃいけないんだ!独りでは目標を見失ってしまうんだ!』 『俺にははっきり見える、俺の敵が!』 『このモビルスーツには自爆システムが残っている!君が闘いを止めないのなら、此処でこの二つのモビルスーツを破壊しよう!』 その間にカトルが決死の覚悟で説得を試みたもので、己が狂い果てた元凶を目の当たりにしつつ。 『このモビルスーツは、宇宙にとって一番必要無いものなんだ!そして、宇宙にとってもっと必要無いものがあるっ!』 『ガンダムは宇宙には必要だ!宇宙を護る為俺は戦う!!』 『僕達は・・・宇宙に僕達は必要無いんだっ!!』 刺し違える腹積りで叫んだものでした。 『戦ってはいけない・・・俺達は・・・リリーナ・・・っ』 そのひた向きさは、暫く姿すら見れて居ないリリーナを想起させる所もあった様で、敵では無く彼女の幻影を目の当たりにした所で、ヒイロはシステムからギリギリの所で逃れられた形です・・・今回は、ですけど。 そしてヒイロの正気を持たせて見せたリリーナへの想いは、介抱したカトルにすらうっすら伝わる程強烈だった形。 『・・・地球は、優しかったんだよ』 彼女の今を確かめる為にも、今一度地球に舞い戻る事を決めたカトルは、その場でメリクリウスを自爆。 『また死に損なったかぁ』 『しかしコイツも生き残ってしまった』 その混乱に乗じてまんまとビルゴ輸送機で脱出するも・・・残されたウイングゼロには傷一つ無し。 ヒイロによる介錯を受ける事に失敗してしまったドクターJ共ではありましたが。 『こんなモビルスーツに負けんじゃろう、アイツ等は』 一旦はこの悪魔の呪縛を自ら振り切った事に、一縷の希望を抱いた様です。 〈勝利者の盛衰は幾度と無く繰り返され、人々は争いの歴史に翻弄され続ける〉 次回はリリーナを語り部とする形の、総集編めいたものとなっています。 大分此処まで慌ただしく闘い抜いたものでしたが、此処までやって明確な勝利者がまだ見えてこない、と言うのも中々珍しい情勢ではありました。 〈新機動戦記ガンダムW第27話「勝利と敗北の軌跡」〉 トレーズの忠言を退けたせいで、己で勝ちの目を捨てた様なものですからなデルマイユとかは・・・。 #
by zendam
| 2025-06-22 16:25
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*日テレ系30局ネットにて放送中の番組です。未対応地区の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば幸いです。 **最速放送を行う日本テレビにおける番組編成は特殊の為、録画実施の際は「バラエティ」カテゴリーあるいは時間・番組表での直接指定が必要となります。次点のPrime Videoは一時間程度の差異にて配信開始となりますので、此方の利用も検討下さい。 収拾がつかなくなったお芝居を、神の名の元に問答無用で幕を下ろす為の、最高にして最低な舞台装置。 その御役目はてっきりシャロンの薔薇が担って居たかと思えばドッコイ、満を持して初代白い悪魔が顔を出した訳で・・・。 初代ガンダムから続いたガンダム神話に疎いと、この恐怖と絶望はピンと来ない事でしょう。 アレはモビルスーツの形をした終焉にして死そのものです。 シュウジもそのつもりで喚び立てたに違いありません。 ジオンと、ジオンに組するあらゆるものへの絶対運命と言う他無い物。 シャリアは直ちに逃げないと殺されましょう。 エグザベも急ぎギャンから飛び降りないとバッサリ逝く事でしょう。 最早こうなれば全ての命運はマチュと、やっと姿を見せたシャアに掛かって居ます。 最も新しき白い悪魔とその眷属。 そして初代白い悪魔と唯一相打つ可能性を秘めた、究極の敵役(ライバル)の働きに・・・。 飛び道具所では無い、余りに無法極まるエンディングに度肝を抜かれたものですが、今話で引き起こされたイベントそのものも酷くギッシリであり、一々順序立てて見ていくだけでも中々カロリー喰います。 『んー?!オールレンジ攻撃っ?!』 ・・・流石に圧縮が過ぎる所ですが、最早泣こうが喚こうが後一回ですからなぁ。 (ビットによるオールレンジ攻撃は、どれ程予測不可能に見えても、それを動かしているのは人の意志です) まず、遂に戦地で対面してしまったマチュとニャアンでしたが・・・実の所正真正銘のホンモノであったマチュと、唯の野良でしかないニャアンでは随分大差があった形でした。 (有限の武器、有限の攻撃回数、その組み合わせに過ぎません。それを操るニュータイプも所詮人なのですから) と言うかエグザベを突破した頃からずっと、Ωサイコミュを作動させず延々フルマニュアルで戦って居たのです。 それが出来る様、今日まで徹底的にシャリアはマチュを鍛え続けた形で、その目的は明らかに対ニュータイプ戦を意識したものでした。 下手にサイコミュやサイコミュ兵器を用いれば、その思念を読まれる事も念頭に置いて。 『!』 『う・・・?!』 逆に如何に奇天烈な動きをするサイコミュ兵器としても、結局は人間の意志が介在してくる道具に過ぎないのだから、幾らでも対処の術はあると。 相当キケロガまで持ち出して虐め倒した事が伺えるもので、ジフレドのビット攻撃も諸共せず、ほぼ完全にその動作を読み切った上で素手で捕縛。 (出来たよ!ヒゲマン!!) 『ジークアクスのパイロットって、真坂?!』 『く、マチュ?!ジークアクスに乗ってるのマチュなの?!』 『ニャアン?!何でニャアンが?!』 ・・・ちなみにシャリア当人ももう笑う他無いレベルの無双状態でした。 (攻撃の気配が読めない!気付いた時には殺られている?!これがオールレンジ攻撃!?) 『許せキシリア様のニュータイプ部隊・・・君達は強い、故に手加減して勝つ事は難しい』 『『『ウワー?!』』』 魔猪すら躾ける規格外のニュータイプを前にしては、唯の養殖ニュータイプでは抵抗すら許されなかった訳です。 『えーい!一体中佐はどっちの味方なんだ?!シムス大尉は把握しているのか?!』 『中佐はキシリア様を排除しようとしているのです、来るべきニュータイプの時代の為に』 『排除だと?!何を言ってるんだコイツは・・・』 『シムス大尉、本物のニュータイプならそんな事はしないよ』 ・・・尚、今話からやけにコモリのカンが冴えてるっつーか急に饒舌になっちゃってますがまあ、話畳むには必要っちゃ必要でしょうけどねぇ・・・。 (その時が来たら、Ωサイコミュの“リミッターデバイスを破壊してください。貴女とガンダム・クアックスなら、シャロンの薔薇の時間凍結に干渉できる筈です) 一先ずジフレドに関しては抑え込みに成功した事で、マチュはシャリアからの依頼を果たすべく、早速譲られた拳銃を握る事となります。 (で、アンタはどーすんの?) (軍人には軍人の責任の取り方があります) ・・・一話からエグザベがサイコミュデバイスと称して託されていたものは、実はリミッター機構も兼ねていたのです。 〈ヤルノカ〉 『やる、ララァを助けるんだ!』 適合するニュータイプであればΩサイコミュの動作を補佐するも、真に全力を発揮可能なニュータイプの為、更なる機能解放を。 シュウジやララァとの出会い、そしてシャリアの手による研鑽が実を結んだ事で、ジークアクスはデバイス破壊後に遂にその機能を露わにします。 肩・脚部に存在していた突起が開放され、ブラックホールにも似た力場とそれを巡る円環が出現していますが、これによってシャロンの薔薇の時間凍結に干渉・突破が可能となったのです。 即時内部のララァ救助を試みたマチュだったものの、彼女も何か思う所があったか復帰したニャアン共々一度弾き飛ばしてしまう事に・・・。 (キシリア様はニュータイプの未来を考えておられる!貴方だって解って居る筈だ!) (その為に地球に住む人々を滅ぼしても構わないと?) (そんな事、“出来る訳無い”!) (このイオマグヌッソなら、出来るかもしれないのです。キシリア様なら躊躇う事無くソレを行うでしょう・・・) この間も、他のギャンが皆殺しにされ様共エグザベは健在。 一切の手加減抜きで殺しにかかるシャリアから逃げ切って居るエグザベは・・・実際に彼が見込んだ優れた存在ではあった様です。 『・・・シュウジ?!シュウジ、何が言いたいの?!あっちに何があるの・・・あぁ、解った、“ガンダム”がそう言ってるんだね?』 シュウジが示した先はイオマグヌッソ内部の小劇場。 そこで対峙するキシリアとシロウズ、そしてスイカバ・・・じゃなくてシロッコーン・・・あー“歴史の立会人”の代理かなぁ(お 冗談はさておき、遂にシロウズも猿芝居を止め、数年後に隕石落としそうなオールバックへと整え直し、怜悧な碧眼でキシリアを睨み付けて居ます。 ・・・5年前に行方を晦ませたシャア・アズナブルその人として。 ですがこのシャアは、ゼクノヴァの果てに見定めたのは、決して絶望だけでは無かった様です。 『この世界には、閣下のご存じ無い“理(ことわり)”があるのです』 『ん、何の事か・・・この計画を実行するには、シャロンの薔薇と赤いガンダムが必要であったが、私は既に代わりのガンダム・フレドとそのパイロットを手に入れた・・・最早、貴様が居なくとも私は構わぬのだ、シャア・・・・』 ・・・そうした変節はキシリアでも読み切れて居ない所があると言うか、此方は此方で史実のシャアの体たらくをズバリ示して見せる、高い予見力を発揮はしています。 『ん??』 『わーぁぁぁぁ?!』 その両者の決裂は、皮肉にもマチュとニャアンの乱入により齎されました。 『う?!』 『シュウちゃん!!!』 シュウジのクソナビのせいで真っ逆さまに墜ちたマチュは只々気の毒ですが、勢い余ってジフレド共々突っ込んで来たニャアンに比べりゃ些事です。 『え、うわ、あ?!とと、わー?!』 『あれもシャアの一味か?!?!』 これ幸いとスタコラするのがシャアですが、一緒にマチュも手を引くし、奈落の底で自ら盾となってマチュを護る等、相変わらずのイケメンぶりを発揮したりもしていますがそれはさておき。 『助かった、礼を言う・・・君は確かガンダム・クアックスのパイロットだな?』 『あぁ、だ、だ、誰なんですか?』 〈誰ダ、誰ダ、オ前、誰ダ〉 (何で?何かシュウジと似た匂いがする、かも??) 半ばギャグではありますが、よく考えると大変なホラーです。 勝手にシャアに関する事柄を都合良く“書き換えて”見せたのですから。 『シュウジ・イトウか』 『えっ?シュウジとはどんな関係なんですか?!』 ・・・己が望む通りに人様の有様を捻じ曲げる。 それはある意味ザビ家一党よりも尚悪いと言うか次元が違う所業と言えましょう。 それを本作のシャア・アズナブルは脅威と見てしまった訳です。 『え・・・』 〈エ、エ?〉 向こう側の世界で、幾度と無く死に果てて、あるいはララァに見限られた己でも見たのでしょう。 『だが一方的な想いが相手を追い詰める事もある』 『あ、何の事?!』 それを女神の加護を得ていたのだと有頂天に為れる程、彼とて能天気では居られなかった。 『彼女は本来、この世界に居てはいけない存在だ・・・』 何よりその影で幾度と無く殺され続け、何一つ慰めも無きままな、まつろわぬ魂達を前にして、見なかった事に出来る程この男も薄情では無い。 小賢しく理屈で生きれる程老獪にはなれず、空虚なりにも“正しき怒り”を宿した事で。 『私が、彼女を消滅させる!』 シャロンの薔薇共々ララァの排除を、決心してしまった訳です。 『消滅?!待って!ねえ!消滅って、どう言う事なんですか?!ねえ!』 ・・・まあ、不憫な話ですが已む無きものです。 正直貴様の愛は侵略行為、と断じられてもしょうがない無理を押し通そうとしたのが、シャロンの薔薇の罪である事は否めないのです。 それでもと、ララァの事を諦め切れず、こんな残酷な破局を認められずマチュは足掻くものですが。 『少しくらいの気持ち悪さがどうした?事が済めばお前を邪魔する者は居なくなり、本物の自由が手に入るのだぞ?』 『あ・・・(自由?違う、キシリア様はさっき話していた男の為にこの作戦を始めたと言って居た・・・)』 その影で盛大にニャアンもやらかしたりしております。 本来ならば第二射撃(何故か目標点は北半球でありジャブロー他軍事拠点では無し)の実行が必要ではありましょうが、それに関しては恐らくシャアが設計を弄ったか、連続斉射不可能な状況にあった。 『あ?!』 その辺曖昧な説明しか出来なかった上、ジフレドが気を利かせてシャアとの問答が耳に入って若干の不信を抱き、偶然ジークアクスまで戻ろうとしたマチュを見て咄嗟にキシリアが撃とうとした瞬間・・・先にニャアンが撃ってしまったのです。 『ち、違います、キシリア様私は・・・!!』 が、これもジフレドが防ぐも、ニャアンを攫う以上の事は仕出かさなかった事は、本気でキシリアも困惑した事でしょう。 裏切って殺すつもりならば手緩すぎると・・・うーんこれに関しては本気で脚本に踊らされたとしか言うしか無いかねぇ・・・評価は出来ません。 『・・・かつて計画された、α型サイコミュを搭載したニュータイプ専用モビルアーマー・・・だがそれは建造されぬまま、α型サイコミュはこの赤いガンダムに搭載された』 そうこうしている間にも、シャアはシャロンの薔薇の目前まで到達。 曰く、この世界におけるゼクノヴァ現象は今のガンダムに移設されたαサイコミュと、シャロンの薔薇に用いられているαサイコミュが同時に存在してしまう事で、時間軸的な矛盾のせいで世界に悪影響を与えると言うのです。 『矢張り、彼女にはこの世界から消えて貰わなければならない』 ・・・つまりイズマでドゥーがシュウジ消失後調子が出なかったのも、その後マチュがキラキラになんない等と迷走したのも、一旦ガンダムが消えた事でゼクノヴァ発生条件が喪われたせいだった様です。 兎に角、シャロンの薔薇を放置する事は世界に取り返しがつかない破綻を招くとシャアは判断し、そもそもイオマグヌッソ自体がシャロンの薔薇を滅ぼす為のシステムだったのだとか。 『?!』 『ララァは私が守る!シュウジの大切な人なんだからぁ!!』 『ガンダム・クアックス?!』 その汚れ役を人任せにしないのが、本作シャアの漢気ではありましょうけど、そんな悲恋は真っ平だとマチュが突っ込んで行った途端。 『ララァが、目を覚ます・・・!』 ・・・またしてもシャロンの薔薇が悪さをするものでした。 『これ・・・本物のゼクノヴァが始まるんです』 『本物の??』 『これって、ミノフスキー粒子が光って見えるのか?!』 キシリアはおろか、コモリの様な弱い素養を持つ者も、その予兆を視覚情報として捉え出すものであり、渦中のマチュや未だ交戦中のシャリアとエグザベ等、光の奔流の中に身を委ねている様なものでした。 ―向こう側? ―ニュータイプなら見た事のある光景でしょう?ゼクノヴァによって起こるこの現象の中でなら、ニュータイプの認知能力は極大になる・・・ん・・・?!見つけました そして現状ではニュータイプの感応能力は極限まで高められた形で在り、キシリアの所在地を掴みこれの抹殺を図るシャリアと、それを阻むエグザベは一層激しくぶつかっております。 『“出来れば”貴方の様なニュータイプを殺したくは無いのですが』 『ぬあー?!』 大型ランス側のスラスターまで動員して、キケロガからの猛攻をギャンで捌いて見せる辺り、矢張りエグザベはその真価を土壇場で発揮していますが・・・。 それらも全て、些事となる災厄が現れんとして居ました。 『過去に観測された三度のゼクノヴァ・・・ソロモン、サイド6、そしてア・バオア・クー・・・その全てで、こちら側の質量エネルギーが向こう側へ流出すると言う形で起こって居ます、でもこれは逆向きなんです、向こう側のエネルギーが、こちら側に流れ込んで来ている・・・』 『何が出て来るって言うんだ・・・?!』 シャロンの薔薇を目前とした感応空間の只中。 ―僕は唯、彼女に傷付いて欲しく無いだけなんだ ―それは私とて同じだ、だが・・・薔薇の少女が世界を歪め続けて居るのなら、其れは正さねばならない ―それも全ては貴方を守る為なのに ―“だからこそ”だ ―けれど、それも・・・“もう終わる” ―あぁ?!お前は何者だ?! ―僕は、向こう側から遣って来た その上でシュウジは、本作世界はあくまでもシャロンの薔薇が創造したものなのだと宣うものですが・・・こうなるとマチュが常日頃抱いた違和感は、コロニーがどうのこうの所では無かった形となります。 シュウジや、先程のシャア、更にシャアと近しく影響も濃かったシャリアに随分惹かれていたのも・・・彼等からホンモノの気配を感じて居たからと言う訳です。 ・・・それにしてもシュウジも、シャロンの薔薇の為と言い張る割には、方策がシャア抹殺によるリセット、仕切り直しを企てると言う随分な暴挙ですが・・・。 それを本気で為せそうなモンを召ぶんだもんなぁ・・・!! イオマグヌッソを中心に引き起こされた新たなゼクノヴァ現象は、コモリ曰く今度は消失では無くてエネルギーの流入との事でしたが。 ア・バオア・クーとジオン星人いくばか程度では、つり合いがとても取れない様なガチモンの悪魔を呼び込むとは、とんだサマナーです! 光の向こう側からゆっくりと迫る、白を基調としたトリコロールのモビルスーツ。 背から伸びるビームサーベル2本以外は、曲面と直線が入り混じったシンプルな人型であり、“地球連邦軍”の意匠が中央にある、真っ赤な盾だけを携えて居ます。 黄色い双眸を輝かせて徐々に近づくそれは、ガンダムの面影が・・・と、言うよりも本物のRX-78-2!! 初代ガンダムそのものが、この物語に幕を下ろすべく姿を現したと言うのでしょうか?! この直前に敗れたシャリアでは多少小回りが利く程度のキケロガでは誤差にもならんでしょう・・・卑怯な手も“使えない”エグザベのギャンとかでは論外としか・・・。 何より大問題なのは誰が使って居るか、です。 シュウジが誰かの代理で、とか易い考えは捨てるべきでしょうなぁ・・・本話のエンディングっつーか初代ガンダム入場テーマは、「BEYOND THE TIME」。 アムロとシャアの実質的最終決戦を描いた「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」のエンディング曲。 何の縁も無くコレを用いる等到底考えられないものであり、最期の相手はアムロ当人か、アムロに近しい何者かであろう事は、覚悟せねばならん様です。 #
by zendam
| 2025-06-21 02:50
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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば、大変幸いです。 物語の折り返し地点と鑑みると非常に密度が濃く、メインキャラクターも複数離脱して行く正念場となっております。 またしてもヒイロ達の戦いは新たなステージへと進み、相手取るべき者達としてOZすら姿を引いて行くと言うのは、本当に複雑な筋ではあるのですが、そう感じさせない魔力めいたものが宿っている。 それはどんな状況であろうが、各々が自らの想いを遂げるべくもがいているせいなのでしょう。 どいつもこいつも、立場の為に変節する事が滅多に無く。 我を貫くべく平然と地位も名誉も、終いには己の生命をも、捨てる覚悟を魅せて来るのです。 『シールドの限界か・・・!!』 元々攻撃をヴァイエイトに丸投げして、防御性能に特化したコンセプトであったが故に、クラッシュシールドによる斬撃を除けば、ガンダニュウム級の防備を貫くだけの火力が無いのです。 只管にチャンスを伺いながらの防戦しか術は無いのですが、ヒイロ程の猛者をして一方的に手数を削られ続ける消耗戦を強いられてしまいます。 これは、暴走したカトルの才気に加えて、ウイングゼロが持つ権能がこれでもかと合致してしまったせいでもあります。 この悪魔は、無数の勝筋を導き出して、その結果を乗り手に与える事が出来るのです。 『死ぬよ?ヒイロ・・・でも僕は仲間を斃したく無い、お願い逃げて、ヒイロ・・・ねぇぇ?!聞いてるの?!ヒイロ!!!』 己の死すら含めた選択肢すら無遠慮に、無制限に。 “ゼロシステム”と呼称される演算システムの存在と、その危険性に関して。 カトルは真っ先にその身で味わう事となった訳です。 『カトル、俺は逃げない・・・俺の後ろにはコロニーがある・・・っ?!』 『ヒイロ、僕はそのコロニーが、大っ嫌いになったんだぁ』 さて。 この死闘をバルジでも観測はしていましたが。 レディ・アンはヒイロ達がガンダムのパイロットである事を担保にして、その不明瞭な趨勢に関しては委ねる事を選択して居ました。 コロニーの為に戦う戦士であるのだから、それはコロニーとの衝突を選ばなかったトレーズの考え共多少迎合するのだから・・・今はそれより月基地の問題へと向き合ったのです。 前話頃より赴任したツバロフは、新型モビルドールの量産ライン構築の目途が付くと判断し、デルマイルの意向も踏まえて独断でデュオ達の抹殺を企てていたのです。 唯人嫌いにして横着者である事がある意味幸いし、生命維持装置の遮断と言う遠巻きな手を用いた事は。 『は・・・そうだよなぁ・・・こんな事で死ねるかよ・・・ガンダムは、ガンダムはなぁ・・・“負ける訳にはいかない”んだぜぇ・・・』 レディ・アン達による挽回のスキを与える結果に繋がります。 『モビルスーツを降りて、って言っても駄目なんだね?じゃぁ僕は君を斃す事になる』 『やるなら早くやれ、“敵”とクドクド話をするつもりは無い』 『さようなら、ヒイロ』 それはある意味OZの現体制崩壊の先触れとなる形でしたが、同様にヒイロ達の戦いの日々にも、一旦の仕切り直しが図られる事となったのです。 『カトル、俺はお前が過ちを犯していると思う』 『トロワ?!』 『この戦いに必然性は無い』 ほぼ戦闘能力を喪失した、メリクリウスの盾となる形で、ヴァイエイトが喪失したのです。 『トロワ!離れろ!ヴァイエイトは爆発するぞっ?!』 『そうだな・・・俺は、ここまでだ』 『トロワ?!あぁ?!ヒイロ止めて、トロワがっ?!ああ、トロワ!!』 コロニーに余波が及ばぬ所まで離脱出来る程度には元気だったものの・・・こうでもしないとカトルの目は覚ませないと、トロワは覚悟を定めてしまったのです。 『えぇ・・・?!』 『コロニーの為に戦って来た俺達にとって、コロニーの考えが変わった事は残念だ・・・しかしこれが戦争だ受け入れるしか無い』 『後は“残された兵士の問題”だな、俺達の心の中の問題だけだ・・・なまじ俺達には、兵士として完璧な力が備わり過ぎていた、真剣に戦ってきたが故、自分独りでもこの時代を変えられると考えてしまう』 ある種の諦めと後悔もトロワにもあったのでしょうが。 『カトル、それはお前だけじゃ無い、皆そうなんだ・・・でもその心は、優しい奴ほど辛く追い込んで行く・・・俺達の心の中は、俺達自身が闘い、そして厳しく結論を見出さなくてはいけない・・・今までの戦いが、意味の無いものになったとしてもだ』 『認めなくてはならないらしい、俺達は・・・この時代に必要無くなった兵士なんだ・・・だからカトル、時代を受け入れよう、そして優しいカトルに戻ってくれないか?何かが切っ掛けになって、カトルを冷静に出来れば良いのだが・・・何かが、きっかけで・・・』 『トロワぁぁぁ?!』 何せ、他でも無いヒイロがこの末路に激昂しているもので。 『ヒイロ!!放して!トロワが死んでしまうっ!!』 『ああ、お前が殺した・・・!』 『っ!ヒイロ・・・!!』 その身が限界を迎えるまでカトルに挑みかかると言う痛々しいものでした。 『だったら僕を斃してくれぇ!そしてトロワを助けてっ!!』 『そんな甘い考えで戦っていたのか?』 ・・・見ての通り。 ヒイロは感情を自ら殺すよう努めているに過ぎない。 本当の彼は素直で、純粋で、何の言われ無き死に怒る様な男。 『くぅ・・・カトル、俺は、お前を殺す・・・うぅ』 『ヒイロ?!ヒイロぉぉぉ!!』 こうして、後継機登場と言うには余りに壮絶な一戦が幕を下ろす中で、ロームフェラ財団でも大きな政変が生じてしまいました。 『デルマイユ候、私はロームフェラ財団の進む道に賛同しかねます』 トレーズによるOZ指揮権返上です。 デルマイユを筆頭に推し進められた、モビルドールを用いた紛争鎮圧戦に対して、人命を損ねぬ戦争への残虐性への危機感を、はっきりと表明したのです。 『また、戦わずには居られない人間性を無視する、完全平和を称える等、宇宙コロニーの思想は、その伝統を知らぬ無知が生み出す、哀れな世迷い事として感じておりました』 痛く無ければ覚えぬ・・・と言うのは、人類の遺伝子が多様性にかまけて学んでいない事への皮肉であり真理でもあるのでしょう。 普通は弱く愚かなものは淘汰される。 けれども人類は小賢しくあり、群れもするし、平気で贄を生み出す薄情さもある。 何処かに楽して儲けられる手もある筈だと、古今までで学ばず横着を目論む所もあり、モビルドールはある意味その極地でもありました。 『美しく思われた人々の感情は常に悲しく、重んじた伝統は弱者達の叫びの中に消え失せる・・・戦いにおける勝者は、歴史の中で“衰退”と言う終止符を打たなければならず、若き息吹は敗者の中より、培われて行く』 己らはこれより、拙い勝ち方をしようとしている。 それは恨まれるよりも尚悪い結果を齎しかねない。 人類史に消し様の無い汚点を残すやも知れないと言う懸念は・・・デルマイユ以外への幹部には多少の楔は打ち込めたものでした。 とは言えデルマイユはそうも行かない。 この男もまた、悲しみと後悔を勝利をもって塗り潰して、払拭を図る生きた俗物なのですから。 『では、ロームフェラ財団の本部が、お前の手からOZを没収した方が良いと言う事だな?』 ・・・唯幸いにして、デルマイユは俗物だったかもしれませんが、伝統ある組織の長でありトレーズの数少ない親族でもあった。 儀礼的な訣別をもってトレーズから権威を剥奪して、沙汰を下したつもりで居たのですが・・・。 (戦う事を忘れ、着飾った銃では、例え敵の胸板を撃ち抜いたとしても、私に感動を与えない・・・無垢な者は無軌道なのでは無い、“自由”なのだ!心が・・・) トレーズが礼賛した戦士達、特にOZに属する将兵らは、決して組織の権威に膝を折って居た訳では無かったのだと、理解出来るオツムは無かったのです。 彼等が傅いていたのはあくまでも、トレーズ・クシュリナーダと言う個人の威光であった事を。 死をもってデルマイユは思い知るのです。 『トレーズ様がモビルドールを嫌う気持ちが、解って来た様に思う』 何せ真の忠臣共なれば言わず共事を起こすものであり、同時刻にはバルジ対月基地による同士討ちが勃発していたのです。 月基地を実質的に掌握していたツバロフでは、レディ・アン一派の狙いが基地そのものだと思い違うものでしたが、彼女達の狙いはガンダムパイロットの解放こそが本命。 『死者が与える感情、戦う事に対する肯定と否定、昂る感情は極論の選択へと導く・・・死を迎え入れる事こそ、戦士の正しき姿なのだ』 その為にバルジそのものが囮を全うし、無数のリーオーがMDトーラスに蹂躙される様な事態を前にしても、彼女達は止まらない。 『それは弱者の考えではありませんか?現に我々はモビルドールと言う死なぬ兵士を生み出し、“死を超越した”戦いの歴史を築こうとしております』 『ツバロフ、気が付かぬか?モビルドールは死を超越したのでは無い、己の死を恐れるが故、代役を務める人形だと言う事を』 『勝敗などどうでも良い事なのだ、戦い続ける事で感情は洗練されてゆく、何時の日か、喪った魂が報われる日も来よう』 トレーズが望みうる、これからも地球圏の趨勢を担えるであろう希望を、此処で絶やす訳にはいかないと、死地に飛び込んで行ったのです。 『だから敵となるのだ、お前と私は』 『此方のモビルドールの配備は全て知られている・・・だから面白くなる』 『モビルドール生産工場の占拠、頼むぞ』 『特佐は何方へ?』 『ガンダムのパイロットの開放だ、トレーズ様もそれを望まれる』 最新鋭モビルドール「ビルゴ」。 乙女座を冠している割には途轍もなく物騒な井出達であり、漆黒の巨体に逆三角形のボディラインは、何処にも可愛げ等無い威圧感まみれなもの。 今話より登場した初期ロットは、武装としてはビームキャノン一門しか備えて居ないものの、コイツはヴァイエイトのものをダウングレードしたものであり、出力も数割程度しか減って居ない必殺兵装。 張り出した肩に内蔵の加速ユニットで連射性能の確保されている事に加えて、機体本体も低練度のガンダニュウムを用いて酷く強靭。 そして左肩にはこれまたメリクリウスを参照したプラネイトディフェンサーを3~4備えていると、お前本当に量産機かよと戦慄するスペックなのです。 『間に合えば良いが』 『そうだとしてもまた処刑するだけの事です』 『ならばその時は私も頼もう!OZでの過ちは死に値する過去であった・・・さぁ撃て!ツバロフ!己を肯定する為に!』 レディ・アンの見立てとして何処まで事を為せるか算段を立てていたかは不明ですが、最低限デュオと五飛、ついでにドクターJ共を救援できればヨシ、程度しか考えて無かった様で。 『レディ・アン嬢、貴女は甘過ぎた』 己自身も事を為した後で斃れる事すら織り込んでいたのです。 ビルゴの存在もあって基地制圧は困難と予期していた節があります (兵士としてはな?しかし人間として厳しく生きた“つもり”だ) 事実バルジからの制圧部隊は為す術も無く撃破されていますが・・・それ故に新たな白い悪魔達の引き立て役となってくれるものでした。 『生き延びた事が“不思議”なくらいだ、贅沢は言わない』 しれっとビルゴと同じくエレベーターから出現したのは2体のガンダム! 『逃げるか!』 黒い外套を纏ったガンダムは、ビルゴの集中砲火を浴びても微動だにしておらず、爆炎の向こう側から迫る影は、正しく翼を広げた悪魔の如く、大鎌「ツインビームサイズ」にてビルゴを斬り殺して回っております。 『借りを返してからな・・・!』 そして深緑のガンダムは両の手に携えた「ドラゴンハング」にてビルゴを貪り、正しく二頭竜の如き獰猛さを発揮しています。 「デスサイズヘル」、そして「アルトロン」。 出来栄え七割とはとても思えぬ、生まれ変わったデュオと五飛の半身は、混迷極める月基地を更に混沌に陥らせながら離脱して行くものでした。 (愛くるしさなのですね、全てを狂わせたのは・・・純粋な心が答えの見えぬ世界で苦しんでゆく・・・その姿を愛しく思った者達は、己の無力さに焦り、苛立ち、押し潰されてしまう) その結果を、レディ・アンは穏やかに見届けながら静かに息を・・・。 (でも健気な者達よ、輝き続けて下さい、そして、これからも、愛させて下さい) 引き取る事は出来ねえからな、悪いけど業が深過ぎる(お 〈トレーズの幽閉に伴い、トレーズ派と名乗るOZの一部の兵士が、ロームフェラ財団と交戦状態に入った!地球に降下するモビルドールビルゴは、驚異の攻撃力を示す・・・〉 ビルゴの能力を前にして、デルマイル共が愚慮に至った事は・・・残念な事にそれだけのスペックをこのモビルドールは発揮するもの。 今後ガンダムでも懐に飛び込まないと面倒、なレベルの物理的な壁として立ち塞がるシロモノ故、如何に内ゲバを始めた元OZ共「トレーズ派」と言えども対処不可能級な難敵と化すのですから。 〈新機動戦記ガンダムW第26話「燃えつきない流星」〉 ・・・こうなると増々ガンダムとそのパイロットへの無責任な期待は高まってしまうものであり、トロワの願いとは裏腹に、役目は終わる所か余計な事まで押し付けられていくものとなるのです。 #
by zendam
| 2025-06-15 16:31
| レビュー
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*日テレ系30局ネットにて放送中の番組です。未対応地区の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば幸いです。 **最速放送を行う日本テレビにおける番組編成は特殊の為、録画実施の際は「バラエティ」カテゴリーあるいは時間・番組表での直接指定が必要となります。次点のPrime Videoは一時間程度の差異にて配信開始となりますので、此方の利用も検討下さい。 その大前提にて見ていた、私みたいなオールドタイプは、慌てふためくシャリアを前にしてしまったと自省したものです。 マチュを筆頭に周囲を良い様に諭して来たのは間違い無いにせよ、あの紫ババアの常識外れの気迫と勢いを読み切る事が出来なかった・・・赤いアイツのせいで理性のタガがかっ飛んでいる事も作用して余計に大惨事になってしまった訳です。 お蔭でニャアンは死ぬ程度では償えぬ大罪を背負う羽目になったのでしょうが、ア・バオア・クーの連中はギレン含めて虱潰しに“されて”果ててないといけなかったのです。 その辺の辻褄を取り返しに来たと鑑みれば、まあそんなもんかと言うものであり、酷ですが数多の生死を弄び犠牲者の僅かな慰めすら奪った、シャロンの薔薇も自業自得と言う他無しです。 しかしこれより先の蛮行は何としても阻止したい所ですが・・・おいおい逃げ足だけは一級品だな兄ちゃん、“妙な服”共々何にする気だ手前ぇ(汗 〈ええ、所謂核の冬によります地球寒冷化、これを修復すべく計画されました“平和利用のソーラ・レイ”が、このイオマグヌッソであります・・・〉 もう数話しか無い、では無く後数話でケリはつくと言う情勢まで中身が圧縮はされていますが、お蔭で恐ろしい勢いで説明が端折られて居ます。 『父、デギンの“葬儀”以来だ・・・総帥は最近ズム・シティにも姿を見せず、贔屓の秘書官と別荘に入り浸っているとか?』 『は、ダルシア首相からはその様に・・・』 もうちょい説明のテロップでも入れて貰わないと正直困ります。 ・・・一応、アナウンスとかを検討すれば、年度単位で勘定して居ないならば本話の頃合いは年内。 最大で半年程度の時間経過は伺える所です。 『ギレン総帥は?もう入られているのか?』 『グワランでいらしたのなら、恐らく』 『情報封鎖してますね・・・』 結論からぶっちゃければ、シャリアはザビ家の愚かさを侮ってしまったのです。 『臆病過ぎだ、兵の前でコレでは示しがつかん・・・』 『キケロガ、ジークアクス、帰投します!』 シャロンの薔薇を組み込む事で、いよいよイオマグヌッソは完成の目途が立ち、その記念式典に乗じて事を起こさんと目論むも、そんな程度キシリア共も思い至るものです。 『彼女がニュータイプって本当なんですねぇ・・・』 『ふん、そうは言っても“国際手配の御尋ね者”だ・・・ま、中佐には何か考えがあるんだろう・・・』 現在のジオンを、強いては世界の覇者を気取る兄ギレンを葬るタイミングはここであると。 それも、モタモタしていれば先手を打たれて今度こそ此方が排される事だろうと、確信に近い予感も得ていた事でしょう。 ・・・どうにも史実同様“前科”があるようなんでねぇ・・・。 『ええ・・・ギレン総帥とキシリア様が同席されるこの時を待って居ました・・・』 『この件は、私から彼女に伝えます』 其処でシャリアと共に訓練に勤しんで居ますが、まずそこに至るまでの経緯は全く不明。 しかもマチュはΩサイコミュ抜きでマニュアルでの操縦・発着艦が可能な程に技量が引き上げられており、到底一日二日では成し得ないものです。 『もぉぉ・・・中佐からもちゃんと指導して下さい!』 〈まぁまぁコモリ少尉、“彼女は軍人では無い”から〉 その間もマチュの立場は変わらず、シャリアの膝元で軟禁されっぱなしと言う奇怪な立場でしたが。 (そんな子供に最新モビルスーツを任せるなんて・・・) 『・・・はー』 『お??』 『“コモりん”真面目過ぎ!“ヒゲマン”は“そんな事”気にしないよ』 〈シナイシナイ〉 それよりも驚くべきはシャリアの方で、ほぼマンツーマンで技術を叩き込んでいるのか、最早気の置けない師弟関係とも言う程にお互い絆されてしまって居るのです。 『あぁぁ・・・仕事、だから・・・』 〈シュウジが探していたシャロンの薔薇・・・その中には、ララァにそっくりな人が眠っている・・・彼女って・・・〉 シャリアの狙いをうっすらと感じ、それに便乗する事こそが共通目的・・・シャロンの薔薇の“開放”に繋がると鑑みていた様ですが・・・。 『彼女は恐らく、向こう側から遣って来たニュータイプです』 『向こう側?』 『ゼクノヴァの向こう側に気付いているのは、ニュータイプだけです。あの時その中心に居たシャア大佐なら、真実を知っているの“かも”しれません』 前話までは唯の胡散臭いオッサンに過ぎなかったシャリアが、どうしてマチュの警戒心を崩すに至ったのか。 『友達だったんでしょう?赤い彗星さんと・・・ザビ家に復讐しようとしていた人と友達のアンタが、何でザビ家を護る為に働いてんの?』 それは、己の大望たるザビ家排除の為の駒として使いたいと言う欲目もありましょうが、その実ワイルドカードとして事細かな要求とかは望む事は無かった事がまずあるのでしょう。 『・・・あれは、下らない旅でした』 唯己がドタバタやらかしている内に、シャロンの薔薇を自力で何とかして貰う程度の大ざっぱな願いくらいしか無く、その為に腕も磨かせるし、腹を割って昔話を語るくらいはしたのです。 『木星へ旅立つ前、私には責任がありました・・・スペースノイドの自由と独立の為、必要なエネルギー物資を持ち帰る・・・ジオン国民の期待を背負うその責任は、“崇高なもの”だと感じて居ました』 『長い往路の旅を終え、船団がヘリウム3を採取完了した時・・・事故が起こりました』 ジオン共が、独自に木星船団を編成して、戦略物資たるヘリウム3調達を行った・・・この設定自体は随分昔から存在はしていたのですが、本作世界において大分話は膨らまされ、シャリアは地獄に叩き落された形です。 『木星から照射される宇宙線は、技術部の想定より遥かに強力で、致命的なダメージを制御装置に与えたのです・・・』 通常、木星への過酷な旅路はあらゆる事態を想定した、堅牢かつ超大規模な艦艇にて実施されるものであり、機動戦士Zガンダム作中にも姿を見せたジュピトリス級等、キロ単位の巨体に工廠や居住区を備えた移動要塞に等しいものでした。 それに比べれば、どう贔屓目に見てもムサイに毛が生えた様な、惰弱なジオン共の安請け合い等木端も同然であり、案の定放射線ガード不十分によりシステムが破損、帰還不可能の体たらくに陥ったと言うのです。 『自由・・・』 『誰の期待に応える事も出来ない、何より自分自身の期待にさえ・・・そうなって初めて私には“本当の自由”が生まれたのです・・・それは私が木星に持って行ったものです』 助け等望むべくも無く、絶望すら枯れ果てたその時・・・死を乞うたその瞬間をもって、全ての立場や願望から解き放たれた“自由”を得たと言います。 ・・・ところが引き金を引く直前に急にシステムが蘇り、無事に帰還は果たせたのですが、その時にはもう、シャリアの胸中には虚無しか無かった。 もしかすればこれもまたララァの差し金だったのやもしれませんし、あるいは彼女より遥かに恐ろしい“巨神”の・・・(おふぃしゃるではございませんぞー 『とても面白い男だと思いました』 『だから惹かれたんだ?』 『・・・違います。彼は私と似ている・・・』 斯様な地獄から舞い戻ったシャリアをして、シャアとの出会いは非常に刺激的ではあったそうですが・・・そこにあったのは憧憬よりも先に“共感”だったと言うのです。 この世界の奴はアムロを知らない。 それ所かララァと出会う事も出来なかった。 故に憎しみも愛も無く、ガルマを皮切りにした復讐心の発露と虚しさから来る挫折も何も無かった。 ガンダム等モビルスーツを振り回して、生命を危機に晒してようやく生を実感する様な、すっからかんな生き様ではあったものの。 それでも人は起てるし、戦える。 そうシャリアとの出会いで学ぶ所はあったのでしょう・・・最期にやらかしましたがね?! 『うん、“カオマンガイ”作って残りはパックしといた・・・キシリア様ってエスニック好きかなぁ・・・』 その頃のニャアンは、キシリアの配下として座上艦「パープルウィドウ」に配備中。 当然ジフレドとセットでの運用が想定されていると言うか、この後の大事の為に、キシリアはすっかりこの娘を躾けてしまって居ました。 『初陣なのに、本当に怖くないのか?』 『私は、悪魔(ディアブロ)だから』 その上で当人は、とっくに陣中真っ只中の気概にて、当座の目標にして“親殺し”の兄、ギレンと対面を果たす所でした。 『久しぶりであるな、キシリア』 ギレン・ザビは、史実におけるジオン公国及び軍を巧みに統括した男。 その卓抜した頭脳による優れた采配をもって、初戦こそ地球連邦政府を圧倒。 『“誰が”私の情報を渡したのかは、判明しておりませんが』 『さいこみゅ?まだニュータイプ云々等を信じているのか?はっ・・・もしニュータイプとやらが正しい進化だとしたら、この愚昧な旧人類にも勝って生き延びて見せよう・・・』 立て直しを図る事も夢では無い、と言う所でキシリアにぶっ殺されたザンネンな黒幕です。 本来なら、アムロをして刺し違える事でしか止められなかった巨悪だったのですが、何もかんもスポンサーの無理解が悪い(コラ 『小賢しいマスチモですな、まるで自然淘汰が、神の差配の様な仰り様』 『それも方便であろう?』 ・・・問題はこの男。 実権は既に無いに等しかったとは言え、ジオンを憂いて独断で和平交渉を試みていた父デギンを、色々邪魔とレビル共々巻き添えにしてしまったのです。 結果史実においては効果的な攻撃ポイントから大分外れてしまい、残存艦隊の圧倒的な物量をもって、最終防衛ラインであった宇宙要塞「ア・バオア・クー」は最終的に陥落しております。 『ふん』 ・・・その上で、今度は赤いアイツの仕出かしのお蔭でそこまで追い込まれる事が無かったにも関わらず。 どうにも史実と同じくデギンを殺してしまった模様です。 『この様な場で愚にもつかぬ“噂話”等を持ち出されて!』 『キシリア閣下こそ、そのマスク!』 『兵達も気付いておりますぞ?閣下が“戦場の匂いを嫌ってマスクをされている”と!』 これではキシリアも後を追わせられかねないと警戒を露わにするものですし、事実サイコ・ガンダムを嗾けられた事でいよいよこの女も反撃に転じた訳です。 『その様な軟弱な態度が、ペルガミノ程度の男に金の無心等と言う恥知らずな行為・・・う・・・?!』 そしてその手段が自ら持ち込んだ有毒ガスを使っての毒殺と言う、酷くドストレートな所業でした。 『これからはゆっくりと御眠りなさい?兄上・・・』 戦前からの趣味の悪いマスクに一応のフィルターを張り付けているにせよ、一歩間違えれば共倒れな真似をキシリアは平然とやってのけたのです。 『は、当然の事かと・・・本国の部隊も既に動き始めております』 史実では背後からの銃殺と、これまた野蛮な手口を用いたものですが・・・まあ本来5年前にくたばってないといけない奴です。 これで呆気無く終了でも不思議では無いのですが、この男はある意味死後こそ本番。 数十億殺しの大虐殺者ではあっても、地球連邦に抵抗した偉大な先駆者としてリスペクトされてしまい、ジオン残党共含め元気にテロリスト共が蠢く始末となったのです。 『よぉし、イオマグヌッソを封鎖せよ。この宙域に居るギレン派の国家親衛隊を排除する』 ・・・何かの間違いでサイド3首都「ズムシティ」まで制圧される完全敗北を迎えた折も。 レビル以下軍部からの大反対を無視して、政府側が見せしめに処刑した際・・・その後の破局的混乱を見据えて嗤って居たものです。 『ニャアン、ジフレド、出ちゃいます』 取り敢えず今はギレンが持ち込んでいた艦隊戦力の掃除が必要との事で、ニャアン達が駆り出されて居ますが。 『聞こえるかニャアン』 『はい』 『事前の作戦に沿って、まずビグ・ザムを無力化する。グワランの影から突入し死角を突くぞ』 ・・・どうも本作のギレンは本気で耄碌したか、大分不味い主義に傾倒していました。 少なくともこの場には4機のビグ・ザムが配置されていましたが、コイツは対要塞・対艦に特化した大物食いでしかない。 確かにクルーを含め艦艇一つを管理維持するよりかは、破壊力に関しては能率的でしょうが、兎にも角にもつぶしが利かない! 汎用性が絶無な状態をそのまま放置して増産していたせいで、モビルスーツに集られるとあっと言う間に火達磨。 蹴ろうが何しようが無意味です・・・バトルマスターならいい勝負出来ましょうけど(オイ 特に今回はニャアンとジフレドの様な突破力の高い機体もありますし何より・・・エグザベ以下ギャン部隊は、最初からビグ・ザムとの巴戦を意識して編成されていた。 ビーム砲すら内装された巨大ランスは、猛烈なビーム砲撃を掻い潜って、フィールド作用範囲を超えた装甲内部を、直接焼く為の特攻兵器だった訳です。 (良い香りです、こんなの初めて) (ダマスクローズの香水だ、だがこの香りは“間も無く世界から喪われる”) (え・・・) 更にキシリアは抜かり無く、今日まで幾度と無くニャアンに語って来た、ゼクノヴァの発現。 (地球産の香水故にな。地球に住む古い大人達は、これからもお前が自由に生きる事を邪魔するだろう・・・これは私が軍に入隊した時に、父デギンから譲られたものだ。強くなりたいなら躊躇う事無く撃て) (どれ程優れた力を持っていても、淘汰されてしまうのならそれは“強さでは無い”) 父デギンの後釜に収まり、その人脈も継承したギレン。 自ら先陣を切る愚直なまでの猛進さで前線将校の信を得たドズル。 両名と比べればキシリア閥の人材は、マ・クベを筆頭に能力二流人間性三流の奴ばかりと揶揄されたものですが。 (強さとは、生き残ろうとする意志だ、ニュータイプに正しさ等要らぬ) (あっ) (強さがあれば、それで良い) 本作ではニャアンを手籠めにして暫定ラスボスにまで上り詰める確変まで起こしてしまった訳です。 『ジフレドがイオマグヌッソのコントロール用に創られたと言うのは本当なのか・・・』 ギレン亡き(?)後直属部隊は大分一方的に押され、その間に然したる妨害も無く内部へ突入するニャアンとジフレド。 『ミノフスキー粒子戦闘濃度です!』 『何処からの攻撃だ?!』 『近衛部隊のギャンが国家親衛隊と交戦中です!』 幸か不幸か、ソドンはその渦中には無く、やや離れた所からその阿鼻叫喚を知るに至る事となります。 『キシリア様が動かれたのか?!第一種戦闘配置だ!目視による警戒を怠るな!』 『何が起こってるんです・・・?!』 『戦争が始まった・・・!!』 この混乱の最中、いよいよシャリアも本懐を遂げるべき時が訪れる・・・と、思い違ってた訳です、私とかは! ・・・おや、マチュ相手に息を切らして見せて、有無を言わさず協力させるとか中々の役者ぶ・・・じゃねえ?! これ本気でキシリアのガバムーブにぶん回されてら?! いやー・・・マチュの心中も容易く読む人だから誤解して居ました。 『貴女には、貴女の望む事をやって貰いたい・・・!』 あの妖怪紫ババアが、何もかもをかなぐり捨てて見敵必殺を仕出かす様なアホンダラだとは、流石に理解が及んでいなかったのです。 私らは奴の前科を知って居るので・・・お?やったな?程度にしか感じて居なかったので・・・。 『イオマグヌッソは、シャロンの薔薇が起こすゼクノヴァを利用した戦略兵器です。コレが使用される前に、シャロンの薔薇で眠る少女を“救い出して”頂きたい・・・“貴女の”ガンダム・クアックスならそれが可能なのです』 そもそもイオマグヌッソと言うのは、シャロンの薔薇とニュータイプの力を利用して運用する大量破壊兵器ではあるんでしょうが。 『これ以上、ニュータイプが人殺しに利用されるのは忍びない』 ・・・5年も手がかりすら無かったブツを完全にアテにするとは考え難く、ソーラ・レイとしての機能も生きている気がしないでも無いです。 またシャロンの薔薇未発見の場合も、他の適当なニュータイプを贄にして、多少程度が劣っても運用は可能だったのでは。 『シュウちゃんはキラキラの向こう側に消えた・・・もう一度あのキラキラが起こせればシュウちゃんを呼び戻せる・・・筈』 ・・・とか邪推はしてみますが。 『キシリアめ!ええい女に権力を与えるとすぐこれだ!“排除システム”を作動させろ!アイツをこれ以上近づけるな!』 『御父様!』 『おお?!』 どっちにせよ開発していたレオーニ親子はニャアンの手で雑に殺害され、真相は闇の中です。 『・・・嫌な臭い・・・』 何せここからニャアンとシャロンの薔薇により大惨事が巻き起こったのですから、其処から背を向けてまで何をと怒りたくもなる・・・バズーカでも担いでくるのか、それとも・・・。 『この座標点でキラキラを起こす・・・そうすれば・・・』 ニャアンに命じられたのは、命令書通りのポイントにゼクノヴァ現象を発生させる事。 ジフレドはイオマグヌッソの管制ユニットでもあった形で、フェイスパーツが後退した素顔は無数のソケットだけ・・・センサーの集合体であったサイコ・ガンダムに近似と言うか、“無貌”とでも言うべきか。 ともあれ、キシリアに言われるがまま、そしてシュウジ恋しさにニャアンは・・・希代の大殺戮者として引き金を引いてしまったのです。 ・・・現時点よりかは遥かに後方に配置されたままだった宇宙要塞ア・バオア・クー。 『宇宙が、光っている?!』 『キラキラだぁ・・・!!』 ・・・どうにも式典の“後”に戦端が開かれる事は奴等も覚悟していた模様で、夥しい数の艦艇が戦闘配置だったものを。 『何ですかあれ?!』 『あれは・・・ア・バオア・クーです?!国家親衛隊の主力艦隊も居ます!!』 『馬鹿なぁ?!要塞は月の向こうにあるんだぞ?!何が起こっているんだ?!』 ア・バオア・クー共々ゼクノヴァ現象に飲み込まれて行ったのです。 ・・・似た様な兵器としては機動戦艦ナデシコの「相転移砲(*)」やガンパレードマーチの「NEP(**)」を彷彿とさせます。 *攻撃範囲内の物体全てを強制的にワープさせるもので、実質的に防御不可能の艦載砲。 **ナル・エリンコゲート・ポインター。別世界から侵攻した“人間”を強制的に送還する人型戦車携帯装備。 『これが・・・ゼクノヴァ?!』 だって此処、本当なら五年前に陥落してなきゃおかしいんですから? マッシュと違って顧みる事も出来なかった、ジオン星人十数万程度が・・・ちょっと遅れて黄泉路に引き込まれただけの事だと。 『うぅぅぅ・・・シャロンの薔薇が泣いている・・・誰がこんな!恐ろしい兵器を使ったんだ?!』 『どうなってる?!ア・バオア・クーが消滅した??ニャアンがやったのか、キシリア様の特命で・・・あ?!』 シャア・アズナブルは誰もが恐れ慄く仇敵(ライバル)であり、ララァにとってはかけがえの無い存在である事は間違いが無い。 『どけぇ!!』 『何でお前が!イオマグヌッソへは行かせんぞ!(かつての自分の“愛機”と戦う日が来るとは?!)』 しかし奴の為に幾つもの因果を捻じ曲げ、今回は数十億もの怨念の行き場を奪うかのように、依怙贔屓をやり過ぎてジオン共をのさばらせてしまったままの咎が、今ちょっと訪れているだけの事なのですから。 ・・・ですが何時までも邪な俯瞰の仕方をするべきでは無い。 最早取り返しがつかない所業を果たしてしまったニャアンを、そう諭したキシリアを一刻も早く止めなければ、次は地球そのものが危機に晒される! 逸るマチュの前には“御仲間”殺しのエグザベが立ち塞がるもの。 相変わらず感覚ズレてるっつーか身の程知らずっつーか・・・。 『悪いがお嬢さん!これはクランバトルじゃ無くて、“軍事作戦”なんだ!』 〈狡イ、狡イ〉 要塞毎友軍を消し飛ばす所業の何処が作戦だよコラぁ?! さっきのギレン派閥もその他も一緒くただろうに?! 凡百のジオン残党共も此処まで見境無しでは無かったぞ?! コレもシャリア同様、滅ぼされたルウムで地獄を見たせいなのか・・・まあその辺り引き摺り出す尺があれば良いね? 『此処は私が抑えます!往きなさい、ジークアクス!!』 何せエグザベ共、シャリアが御行儀良く無くば最低4機は即死していましたからな? イマイチ情勢が読めて居ないのか、躾がしっかりし過ぎて仁義が先に出たのか・・・。 『サンキュぅ!ヒゲマン!!』 最高にイケてる“フラグ”を立てていますが、エグザベ風情に後れを取る様にはとても・・・唯シャリアの願いからすると、見切って始末するのも心苦しいでしょうしなぁ・・・。 ですが今となってはマチュの師であり友とすら呼べる男は、此処で亡くすには余りに惜しい。 『私はニュータイプが、ニュータイプとして生きられる世を創りたいだけです!』 キモマンとは比べるべくも無い・・・ニャアンにはやや悪いですが、ミゲル達の元へ逝かせる事も一種の慈悲やもしれませぬ(酷 『うぅぅ、気持ち悪い・・・これ、何なの・・・ん?』 『アイツ、アイツが撃ったのか?』 次回はいよいよマチュとニャアンによる決闘勃発・・・の筈だったんですが・・・何かまた公式SNSは嫌な予感を漂わせるもので・・・。 『“誰”が乗ってるんだ・・・?』 派手に着飾られた真っ赤なジオンの士官服って、あのさあシロウズ?!真坂お前着替えるだけにトンズラを・・・?! #
by zendam
| 2025-06-14 02:26
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